キャプテン・アメリカ (クリス・エヴァンス)

chrisevans-captainamerica

映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(Captain America: The First Avenger)は、マーベル・コミックに登場する伝説的初代ヒーロー“キャプテン・アメリカ”を実写化した作品です。
クリス・エヴァンスは、主人公のキャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャース役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
第二次世界大戦中の1942年。強い愛国心を持つスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は兵士を志願していたが、肉体的問題を理由に何度も入隊を拒否されていた。親友のバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)と共に未来技術の展覧会を訪れた先でも兵士を募集していて、諦めきれなかったスティーブは今一度入隊を申し込んだ。戦略科学予備軍(=SSR)の科学者であるエイブラハム・アースキン博士(スタンリー・トゥッチ)はスティーブの強い意志を知り、彼にチャンスを与える。それは、SSRが行う「スーパーソルジャー計画」の被験候補者となり、チェスター・フィリップス大佐(トミー・リー・ジョーンズ)とイギリスの女性将校のペギー・カーター(ヘイリー・アトウェル)の下でテストを受けることだった。アースキン博士はスティーブを強く推すものの、フィリップス大佐は彼が貧弱な身体であることを理由に反対。しかし、スティーブの勇気を知ると、フィリップス大佐は納得し、ペギーも興味を示す。
実験前夜、アースキン博士は、かつてナチスに協力させられ、ヨハン・シュミット(ヒューゴ・ウィーヴィング)が不完全な超人血清で副作用を起こしていたことをスティーブに明かした。
一方、シュミットは、部下のアーニム・ゾラ博士(トビー・ジョーンズ)と共に“コズミック・キューブ”のエネルギーを使った新兵器を完成させていた。さらにシュミットはアースキン博士の居所を突き止め、彼のもとへ暗殺者を送り込んだ。
アメリカではいよいよスーパーソルジャー計画が実行に移された。スティーブには超人血清が打たれ、「ヴェータ線」が浴びせられた。実験は成功し、スティーブの身長は伸び、筋肉質な身体となった。その直後、実験の立会人に混じっていた暗殺者がアースキン博士を射殺してしまう。超人的な身体能力を手にしたスティーブはすぐさま暗殺者を追いかけて捕まえるが、暗殺者は隠し持っていた青酸カリによって自殺してしまう。
アースキン博士の死により血清の製造法は失われ、スーパーソルジャー計画は凍結された。政府が必要としていたのは軍隊であったため、行き場を失ったスティーブ。SSRは残るように言ってくれたが、血清の秘密を探るいわばモルモットとしてスティーブを必要としていることは明白。スティーブは、唯一の超人兵士としての価値を認めてくれた米国上院議員ブラント(マイケル・ブランドン)の依頼を引き受けることにした。
依頼の内容は、星条旗をモチーフにしたコスチュームを着て、“キャプテン・アメリカ”というマスコットキャラクターとして活動することだった。スティーブは最初は満足していなかったものの、軍の戦争資金集めの国債売りに貢献していることを誇りに思い、PR活動でアメリカ各地を回る。すると子どもたちが大喜びして、キャプテン・アメリカは国民的スターになる。スティーブも、はじめて人の役に立ったと満足し、これが自分使命だと錯覚する。ところが、戦地の兵士慰問に訪れたところ、兵士たちからは相手にもされず、自分はただの見世物に過ぎなかったことを痛感する。
そんな中、親友のバッキーが所属する107部隊が敵の襲撃を受けたことを知る。フィリップス大佐からバッキーは戦死したと聞かされるが、バッキーの死を信じられなかったスティーブは、ペギーとハワード・スターク(ドミニク・クーパー)に敵地上空まで輸送してもらい、単身で敵の基地へと乗り込む。そんな彼の前に立ちはだかるのは、ナチスの極秘化学部門“ヒドラ党”の支配者で、未完成の血清の副作用によってレッド・スカルとなったシュミットであった…。
多くのアメコミヒーローを輩出してきたマーベル・コミックが最初に世に送ったのが「キャプテン・アメリカ」です。初代ヒーローだからか、目立った超人的な能力を持っていなくて正直地味です。でも通常の人間を遥かに超える強靭で丈夫な身体を持ち、耐久力があり、俊敏で機敏です。私が特に気に入ったのはキャプテン・アメリカの純粋な正義感です。彼はアースキン博士の「ナチスを殺したいのか?」との問いに、「誰も殺したくない。悪が嫌いだ。出身は関係ない」と答えたのです。つまり、戦時中であるにもかかわらず、敵国だから倒したいというわけではなく、悪の行いをするから倒さざるを得ないという考え方を示したのです。彼の唯一のアイテムが盾(シールド)であることもある意味それを象徴しているのでしょう。キャプテン・アメリカはあくまでも平和を取り戻すために己の正義を貫き、仲間や愛する人を守るためであるからこそ、危険をいとわずに先陣を切って戦地に突入するのです。“戦う強さ”というよりは“守る強さ”を重視する彼に魅力を感じました。
キャプテン・アメリカは、来年公開予定の『アベンジャーズ』(The Avengers)にも登場します。その映画には他にもすでに単体映画をやっているアイアンマン、ハルク、ソーなども登場します。スーパーヒーローたちが一堂に会することを考えると今からワクワクします。本作でもそれらのリンクネタが満載でした。例えば、キャプテン・アメリカのシールドやコスチュームを開発したハワード・スタークは、映画『アイアンマン』、『アイアンマン2』に登場したトニー・スタークの父親にあたります。また、キャプテン・アメリカのシールドの素材として使われている架空の元素“ヴィブラニウム”は、『アイアンマン2』でトニーが新型リアクターのコアとして生み出したものと同じです。レッド・スカルが兵器の力を増大させるために使った“コズミック・キューブ”は、『マイティ・ソー』にも登場していました。もちろん、諜報機関S.H.I.E.L.D.の長官であるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)も登場しました。
本作で個人的に残念だったのは、ストーリーが単純な上に大味に感じられたこと、レッド・スカルを倒すシーンで主人公・キャプテン・アメリカの活躍がイマイチだったこと、3Dの効果があまり活かされていなかったことなどが挙げられます。意地悪な言い方をすれば、『アベンジャーズ』のための壮大な予告編にも見えなくもないのですが、別の側面から見れば、『アベンジャーズ』を楽しむには外せない作品といえるでしょう。エンドロール後に本当の予告編があるのでお見逃しのないようお気をつけください。