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映画『アントマン』(Ant-Man)は、マーベル・コミックの同名のキャラクターをフィーチャーした実写映画化作品です。『チアーズ!』などのペイトン・リード監督がメガホンを取っています。
ポール・ラッドは、主人公のアントマンことスコット・ラング役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
1989年。S.H.I.E.L.D.(=シールド)本部にて、ハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)は自身の開発したピム粒子の無断複製を巡って組織と対立。ハワード・スターク(ジョン・スラッテリー)やペギー・カーター(ヘイリー・アトウェル)が説得しようとするが失敗に終わり、ピム博士は組織を離れてしまう。
時は流れ現在。刑務所を出所したスコット・ラング(ポール・ラッド)は、別れた妻と暮らす最愛の娘のために足を洗うことを決心。アイスクリーム専門店でアルバイトを始めるものの、3年間刑務所にいたという経歴がバレてすぐにクビになる。
一方、ピム博士は、自らが設立したピム・テック社を訪れる。彼の元弟子であり会社を引き継いでいるダレン・クロス社長(コリー・ストール)からあることを口実に招かれたからだ。それは新製品の説明会だ。アントマン伝説からヒントを得て開発したというイエロージャケットは、戦争を終わらせることができるとダレンが豪語。それはスーツではなく万能機だと説明する。ピム博士は、それがあることを理由に自ら葬った技術と似ていることに危機感を募らせる。
スコットは、娘・キャシー(アビー・ライダー・フォートソン)のお誕生日会に出席。キモカワ系ぬいぐるみをプレゼントしてキャシーに喜ばれるものの、元妻・マギー(ジュディ・グリア)から養育費を払えない身分であることを責められて追い返されてしまう。そこでスコットは養育費を稼ぐために、最初は足を洗うことを理由に断っていた窃盗仲間の儲け話に乗ることにする。それは金庫持ちのお年寄りの家に空き巣に入ることだった。
スコットは、ルイス(マイケル・ペーニャ)、デイヴ(ティップ・”T.I.”・ハリス)、カート(デヴィッド・ダストマルチャン)たち窃盗仲間と一緒に入念な下準備をする。そしてついに迎えた空き巣決行日。手はず通りセキュリティを解除し、スコットは金庫の前に辿り着く。金庫の外側が指紋認証タイプであったり、タイタニック号に使われていたような堅牢な金庫が待ち構えていたりと困難を極めたが、スコットは見事に金庫を開けた。ところが、中には現金も宝石もなく、風変わりなスーツがあるだけだった…。
スコットは、まんまとピム博士の策略にはまり、アントマンとして図らずも世界を救う重大なミッションを負うことになります。そしてスーツの性能に適応すべく、ピム博士とピムの娘・ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)の下で、肉体的なトレーニングを積んだり、アリを操る術を体得したりします。それは理想や正義のためではなく、すべては最愛の娘・キャシーのためです。そこが何とも人間らしいといいましょうか、いわゆるヒーロー像とはかけ離れていますが、親近感を抱かせます。また、そんなスコットとキャシーの父娘関係とピム博士とホープの父娘関係がオーバーラップしていてよくできていると思いました。
見どころはやはり、1.5cm大のアントマンの視点が織り込まれるアクションでしょう。アントマンスーツを着たスコットは、アリ並みの大きさに縮小したり元のサイズに戻ったりして敵をかく乱しながら戦います。さらに特殊な電波でアリと心を通わせることができ、相棒のクロオオアリ「アントニー」の背中に乗って空を飛んだり、様々な特性を持つアリの軍団を率いるなど、これまでのヒーローとは一味違った戦い方をします。個人的に感心したのは、アントマンスーツに使われている特殊な薬品を使って携行用にピム博士が開発した縮小化&巨大化ディスクです。それをフリスビーのように投げつけることで、ディスクに触れたものの大きさを変化させることができます。スコットはそれを戦いにおいて効果的に駆使していました。
これまでの“マーベル・シネマティック・ユニバース”シリーズと比べると、 コメディ色が強いのも特徴でしょう。個人的に特に気に入ったのは、スコットの窃盗仲間であるルイス、デイヴ、カートの3バカトリオです。中でもルイスがとびっきりいい味を出していました。彼が経過説明をする際の軽妙な言い回しと回想シーンの映像のコンビネーションが絶妙でした。ちなみにこの回想シーンで、マーベル作品お約束のスタン・リーがバーテンダーとしてカメオ出演していました。
シリーズファンとしては、冒頭でのトニー・スタークの父親ハワード・スタークとキャプテン・アメリカの元恋人ペギー・カーターの登場に心が躍りました。そしてファルコン(アンソニー・マッキー)も登場し、なんとアントマンとちょっとした戦いを繰り広げています。クロスオーバーの感動も相まって興奮しました。どうやらこの出会いがきっかけで、アントマンはキャプテンアメリカたちと関わっていくことになるようです。本作エンドクレジット後に、キャプテンアメリカ(クリス・エヴァンス)、ウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)、ファルコンが登場して、アントマンのことを示唆するような会話を交わしていました。恐らく来年公開予定の映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』につながる布石でしょう。今から楽しみで仕方がありません。

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