BALLAD 名もなき恋のうた (新垣結衣さん & 草なぎ剛さん)

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映画『BALLAD 名もなき恋のうた』に新垣結衣さんは廉姫 役で、草なぎ剛さんは井尻又兵衛 役で出演しています。
本作は、アニメーション映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を原案とした作品で、監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで有名な山崎貴さんです。
先月、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
1574年(天正2年)の戦国時代。春日という名の小国に、無敵を誇る侍がいた。“鬼の井尻”と恐れられるその侍の名は井尻又兵衛(草なぎ剛さん)。彼は春日の国の姫君・廉姫(新垣結衣さん)を命懸けで守り続けていた。幼い頃から共に育ったいわば幼なじみである又兵衛と廉姫は、想いを寄せ合っていたが、身分の違いからお互いの想いを打ち明けられずにいた。
ある日の戦中、又兵衛は、鉄砲を持った足軽に密かに狙いを定められてしまう。ちょうどその時、川上真一(武井証さん)という少年が未来からタイムスリップして来る。真一に突然声をかけられた足軽は驚いて、狙いとは違う方向に撃ってしまい、又兵衛に当たらずに済んだ。
春日城に連れて行かれた真一は、タイムスリップする前に夢に何度も現れていた廉姫と出会って驚く。真一から夢の話を聞いた廉姫は、真一は自分の願いを叶えにやって来たのだと思い、又兵衛に真一の面倒を見るよう指示する。最初は困惑していた又兵衛だが、まっすぐな真一に次第に心を許し、又兵衛と真一の間に奇妙な絆が生まれていく。
その頃、春日の国では、大きな難題が持ち上がる。廉姫に密かな恋心を抱く、北関東の大名・大倉井高虎(大沢たかおさん)が、その権力を盾に廉姫との婚儀を申し入れてきたのだ。
そんな中、真一の両親・美佐子(夏川結衣さん)と暁(筒井道隆さん)も、“川上の大クヌギ”という名の木の下で、天正2年に真一が書いた手紙を見つけ、又兵衛のいる時代へとタイムスリップしてくる。親子再会を果たしたはいいが、いくら念じても現代に戻ることができない川上一家は、しばらく春日城に滞在することになってしまう。
春日城の城主で廉姫の父である春日康綱(中村敦夫さん)は、暁から未来には春日の国はおろか大倉井の国も存在しないことを聞いて、政略結婚によって今日の安寧を得ても無意味と考え、廉姫と高虎との縁談を断る。小国から縁談を断られ、プライドを傷つけられた高虎は、激怒して春日への進軍を開始。高虎率いる大倉井軍5000人に対し、又兵衛が指揮する春日軍500人。圧倒的に不利な状況を打開するために、又兵衛は、賭けともいえる危険な作戦に打って出るのだった…。

一介の武将と姫の儚い恋と、少年の成長を描いた物語でした。
戦国時代、身分の違いゆえにお互い想いを告げることができず、又兵衛はただひたすらに守ることで、廉姫はただひたすらに無事を祈ることで、大切な人への想いを表現しています。又兵衛の不器用さと優しさ、廉姫の凛とした美しさが印象的でした。
大切な人がいじめられていても何もすることができず、逃げてしまっていた真一は、又兵衛や廉姫と出会い、少しの間ですが戦国時代を生きることにより、大きく成長しました。真一によって、又兵衛と廉姫は“奇蹟の時間”ともいうべき有意義な時間が与えられるのですが、それは真一にとってもそうであったといえるのでしょう。
綿密な時代考証に基づいて忠実に再現された壮大かつリアルな合戦シーンも見どころの1つといえるでしょう。ただ、派手な戦いのシーンを期待すると、拍子抜けするかもしれません。例えば、戦国時代といえば、兵士と兵士が刀で斬り合うというイメージがあるかもしれませんが、実際は、まずは長槍隊が槍を武器に戦うのが一般的だったようです。しかも槍は突くものではなく、叩くものだったそうで、映画の合戦シーンもその史実に忠実に描かれています。通常、戦国時代を描いた作品に登場するお城といえば、石垣と天守閣のある立派な城というイメージがありますが、映画では、春日の国の城は、山の地形を利用したような砦である山城になっています。退き貝が鳴るとその日の戦いが終了であったり、敵方の大将の首を獲れば戦いが終わりであったりと、命を奪い合う合戦ながら、その中にもきちんとした戦のルールみたいなものがあり、全員がそれを守って正々堂々と戦っているというのも印象的でした。
話の流れは、基本的には原案であるアニメーション映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』と一緒です。それゆえにアニメーション映画の方を観たことがある人にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。それは、話の流れ、結末がわかってしまうというのもありますし、少年・真一がアニメーションの野原しんのすけほど個性的ではなくて、あまり活躍していないというのもあるでしょう。ただ、あのキャラクターを実写で表現すると、とても不自然になるでしょうし、どこにでもいる普通の家族の方が現実味があって自己投影できるとも言えますし、何と言ってもスケール感、リアル感は実写ならではともいえます。要は、作風の好みやどちらを先に観たのかで作品の優劣の印象は変わってくると思います。それはこの映画が、原案であるアニメーション映画で伝えたかった核の部分をきちんと表現しているからだともいえるでしょう。ただ、あれだけ話の流れを同じものにしたのだから、“金打”と“青空侍”のシーンも残してほしかった気もします。

『クレヨンしんちゃん』の作者である臼井儀人さんのご逝去を悼み、謹んで哀悼の意を表します。

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