中学生円山 (草なぎ剛さん)

kusanagi07
SMAPの草なぎ剛さんは、宮藤官九郎さんが監督・脚本を務めている映画『中学生円山』に下井辰夫 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
中学2年生の春を迎えた円山克也(平岡拓真さん)は、平凡な父・克之(仲村トオルさん)と地味な母・ミズキ(坂井真紀さん)、無神経な妹・あかね(鍋本凪々美さん)の4人家族でずっと団地で暮らしている。彼の目下の最大の目標は自分のある部分を舐めることだ。そこに舌が届くためには身体を柔らかくする必要があり、熱い風呂に入って酢を飲んだり、わざわざレスリング部に入部し、部活でもベンチでもベッドの上でも自主トレの前屈に励んでいる。そして克也に異変が起こる。限界まで背骨を折り曲げると妄想の世界にトリップするようになってしまったのだ。
そんなある日、団地の上の階に下井辰夫(草なぎ剛さん)という男が引っ越してくる。いつもベビーカーを押しているシングルファーザーの下井は、仕事をしている様子もなく、妙に団地の主婦の輪に溶け込む謎の人物だ。学校帰りに下井と偶然会った克也は、エレベーターの中で下井から「もうすぐ届くよ」と言われて驚く。下井が自分の自主トレの秘密を知っていたからだ。その後も「届いた?」と執拗に質問してくる下井。克也はその度に変態への自覚を促されているように感じ、激しい罪悪感と自己嫌悪に襲われる。克也は、秘密を握られた仕返しにこっちも秘密を握ってやろうと考えて下井を尾行する。しかし分かったことは、下井がとても不器用で、父としても人間としても大事な何かが欠落しているということだけだった。
そんな中、団地の近くで殺人事件が発生する。克也はもしも下井が殺し屋だったらという妄想にとらわれ、下井を“凄腕の殺し屋・子連れ狼”に仕立てたストーリーを“俺のMYノート”こと妄想ノートに書き始めるのだった…。

いわゆる“クドカンワールド”が炸裂していました。思春期真っ盛りの克也の妄想が面白かったです。安心の価格と真心のアフターサービスの東亜デンキ従業員のパク・ヒョンホン(ヤン・イクチュン)が“処刑人 プルコギ”になったり、よく徘徊する井上のおじい(遠藤賢司さん)が“認知症のデスペラード”になったり、柄の悪い団地の住人・細野(皆川猿時さん)が“ゴールドメッシュマン”になったり、団地の自治会長の村田(宍戸美和公さん)が“Miss セキュリティ”になったり、克也の父・克之が“9時5時戦士 キャプテンフルーツ”になったりと、克也の妄想は暴走していきます。
克也の妄想を肯定してくれる下井には悲しい過去がありました。中学生は妄想するくらいが正常ということでしょうか。下井の悲しい過去には中学生が関わっていて、いろいろと意味深でした。そんな下井の「考えない大人になるくらいなら、死ぬまで中学生でいるべきだ!そうだろ!!」と叫ぶシーンが印象的でした。思考停止に陥るくらいなら、妄想でもなんでも頭を使っていろいろ考えるべきだということでしょう。
克也の家族や団地の住人たちも個性的で面白かったです。エロい動画と食後のフルーツだけが楽しみのサラリーマンの父・克之、『愛そしてチャンジャ』などの韓流ドラマに夢中な専業主婦の母・ミズキ、まだ初恋を経験していないことを気にしている小5の妹・あかね、一見認知症ながら音楽魂を忘れていない井上のおじい、噂話が大好きな主婦3人衆の清水(YOUさん)・三浦(原史奈さん)・小暮(家納ジュンコさん)、熱血バカとも言えるレスリング部顧問の梅田(三宅弘城さん)など、登場人物みんながいい味を出していました。
裸のシーンが多い克也もさることながら、克也のクラスメイト・清水ゆず香(刈谷友衣子さん)もなかなか体を張っています。克也の妄想である、道場でのブリッジのシーンやプールのシーンが特に印象的でした。
恐らく宮藤官九郎さんの狙い通りで意図的なものだと思いますが、後半へ進むにつれて、現実と妄想の世界の区別が分かりづらくなります。下井が克也に向かって言い放つ「現実に負けるな、妄想と向き合え。妄想が現実を超えた時、それは真実になるんだ」という言葉が印象的でした。
ラストでゆず香に「正義の味方」と言われた克也はそれを否定し、“人を殺しちゃいけない理由をちゃんと知っている人”がそれに該当すると答えます。克也の成長が感じられて、なんだか感慨深かったです。

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