相棒season10 最終回

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テレビ朝日系列にて毎週水曜夜9時から放送されていた連続ドラマ『相棒ten』は、一昨日、最終回(第19話)を迎えました。
最終回「罪と罰」は夜8時から放送されました。
●導入部のあらすじと結末を含めた感想
バイオテクノロジー研究所の主席研究員・嘉神郁子(真野響子さん)が、娘の茜(浅見れいなさん)の体内にクローン人間を作っていた。茜が1年ほど前に夫と5歳の息子を事故で亡くし、自殺未遂を起こすほどのショックを受けて、息子のクローンを作るよう郁子に懇願したからだ。
しかし、郁子の息子で茜の兄でもある隼斗(窪塚俊介さん)は、茜が身ごもっているのがクローン人間であると知って猛反対。隼斗は信仰心が強く、クローン人間を作ることは神への冒涜であると考えていたからだ。そこで隼斗は文科省に告発文を送り付けたが、郁子は糾弾されなかった。それどころか、隼斗は衆議院議員・片山雛子(木村佳乃さん)と警察庁長官官房付き・長谷川宗男(國村隼さん)に首相官邸に呼び出され、「今後一切このことは口外しないこと」と言われてしまう。クローン人間のことが明るみに出れば、国内外で物議を醸して大問題となってしまうからだ。
やりきれない隼斗は公園で大声で演説。あと数カ月でこの日本に法律で禁じられたクローン人間が誕生すること、政府はそのことを知っていながら隠すつもりであることなどを話す。そこを特命係の杉下右京(水谷豊さん)と神戸尊(及川光博さん)が偶然通りかかって興味を持つ。
そんな矢先、隼斗が自宅で刺殺体となって発見され、まもなく母の郁子が自首をするのだった…。
今回は事件の解決方法をめぐって右京さんと尊が対立しました。
郁子を検挙すれば、クローンの事実が公になり、罪を犯したのは郁子なのに、生まれてくる子どもがクローン人間として“怪物”扱いされ、世間から罰を受けることになります。それを案じてクローンの件については目をつぶろうと提案する尊ですが、犯した罪は断じて償わなければならないというのが信念の右京さんは当然のことながら同意しません。そこで尊は大胆にも茜を連れ去り、電話で右京さんに二者択一を迫りました。それは、郁子の検挙をあきらめてクローンのことには目をつぶるか、検挙するために自分(尊)に茜のお腹の子を始末させるかです。右京さんは「君に人殺しをさせるわけにいかないじゃありませんか」と言って、尊の提案を受け入れることにしました。その後、尊は大河内春樹監察官(神保悟志さん)に「俺をどこかへやるように人事にかけ合ってください」とお願いしました。右京さんの大事にしているものを踏みにじったから、自分は特命係にいる資格はないと考えたのです。でも、その話を大河内から聞いた右京さんは、「僕は君を追い出すつもりはありませんよ。そもそも資格などというものはありません」と言いました。大河内の伝言は人事にかけ合っても無駄だというものでした。
ところが、尊に警察庁長官官房付きの辞令が出ました。どうやらそれは長谷川の仕業のようです。今回、雛子と共にクローン人間の事実を隠ぺいするために暗躍した長谷川は、元警視庁副総監で、『相棒-劇場版II-』の警視庁人質籠城事件を受けて警察庁長官官房付きという閑職の身分にいた人物です。長谷川は尊に「色々あったが、これからは仲良くやろうじゃないか」と言いました。なにやら不穏な空気です。
茜は法廷で倒れ、お腹の子どもは流産してしまいました。郁子は「天罰かしらね・・・自然の営みに背いた」と言いました。右京さんは、郁子は自首をするだろうから検挙の必要はないと判断しました。
尊が卒業するのは“贖罪”絡みであると思っていたので、個人的には少し肩透かしを食らったような印象です。尊が神様を怒らしてでも再生させて会いたいというのは、今シーズンの第1話に登場した城戸充(池内万作さん)であったとして、確かに“贖罪”に触れられてはいますし、根底に流れるものではありましたが、メインではありませんでした。あと、個人的には謎解きやどんでん返しの展開が好きなので、今回のような最初から犯人が明かされているスタイルはなんだか物足りなかったです。でもそれは人間ドラマに比重を置くためだったのかもしれません。確かにそのおかげでいろいろと考えさせられました。
右京さんが相棒・尊のために、自らの信念を曲げたところが印象的でした。もはや償う術のない罪に尊が苦しんでいるということを知っていた右京さんだからこそ、思うところがあったのでしょうか。「君を説得することができなかった。これは僕の罪なのでしょうね」と右京さんがしみじみと言っていたのも印象的でした。
尊が「ではまたいつか、どこかで」と言い、それに右京さんがうなずいて「じゃあ」と言って、2人はそれぞれ歩き出しました。尊は警察を辞めたわけではありませんので、なんらかの形で再登場するかもしれません。『相棒』の次なるステージも楽しみです。