グ・ラ・メ! 総理の料理番 最終回 (高橋一生さん & 小日向文世さん)

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テレビ朝日系列の毎週金曜深夜の「金曜ナイトドラマ」枠にて放送されていた連続ドラマ『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』は昨日、最終回(第8話)を迎えました。
高橋一生さんは清沢晴樹 役で、小日向文世さんは阿藤一郎 役で出演しました。
●あらすじと感想
古賀征二(滝藤賢一さん)が政務秘書官を辞めてからぱったり会食もなくなり、一木くるみ(剛力彩芽さん)は時間を持て余す日々を送っていた。
そんな中、日本進憲党の議員・氷室誠之介(葛山信吾さん)が、記者たちの前で阿藤一郎(小日向文世さん)と官邸グラン・メゾンを批判し、次期内閣総理大臣への意欲を示す。氷室は祖父が総理大臣、父親も大臣を歴任したスーパー3世で、国民に大変人気があり、阿藤総理よりも影響力があるのではないかと言われるほどの存在だ。
その矢先、阿藤総理はマスコミに官邸グラン・メゾンを公開する。しかしその日、阿藤総理は報道陣の前で突然倒れてしまう。医者の話によると、疲労の蓄積から貧血を起こしただけで大したことはないとのこと。
総理の健康不安から内閣支持率はさらに急降下してしまう。与党の重鎮からも政権維持を不安視する声が上がる。進憲党本部で打ち合わせを終えた氷室は記者団の質問に答え、「どうかこの氷室誠之介を官邸グラン・メゾンにお呼び下さい」と言って総理との直接会談を申し出る。マスコミは、氷室議員が阿藤総理に退陣要求するのではないかと報道し、史上最年少総理大臣の誕生なるかと騒ぎ立てる。
阿藤総理は1週間後に氷室を官邸グラン・メゾンに招待することに決める。くるみにそのことを報告した阿藤総理は、「僕は今が潮時なんだよ」と意味深な発言をするのだった…。
最終話となる今回は、現総理・阿藤と次なる総理候補・氷室の直接対決でした。古賀が連日のように大物政治家と密会して阿藤総理の退陣を画策しているのではないかという週刊誌の記事まで飛び出し、完全に阿藤総理が劣勢の中、くるみは氷室そして阿藤のことを調べ上げ、さらに古賀の密会場所を突き止めて真意を問いただしました。それから氷室に直接疑問をぶつけたりもしました。
そしてくるみが導き出した料理は、「ガチョウのコンフィ~蓮の実のリゾット添え~」でした。ガチョウの脂肪には耳の聞こえを良くする効果、蓮の実のおかゆには目を良くする効果があると言われているとのこと。そして総理が言っていた“潮時”。潮時とは「終わり」という意味ではなく、本来の意味は「ちょうどいい時期」で、阿藤総理は今がちょうどいい時期ということを意味していました。前述の「耳の聞こえと目を良くする」効果に込められたメッセージは、阿藤総理に対してではなく、氷室に当てはまるものでした。氷室の周りに集まり、氷室を担ぎ出そうとしている人たちの本当の思惑を、氷室は見ることも聞くことも出来ずにいたのです。そして氷室を担ごうとしていた人たちの真意は、古賀が明かしました。密会の成果です。彼らの狙いは本当にこの国を良くしようということではなく、政界を引退するまでのわずかな期間、自分たちの居心地のいい場所を確保するということだけでした。氷室に新党結成を持ちかけた福井は引退を決意し、阿藤総理支持に回ると判明。経済三団体のトップが会談して阿藤路線の継続を発表。ネプチューンコーポレーションのオリビア・リー会長(ジュディ・オング)とアメリカ合衆国大統領の首席補佐官のアリー・コウノ(草刈民代さん)もそれぞれ阿藤総理とさらなる関係強化を図るとの声明を出しました。すべて阿藤改革の賜物でした。阿藤総理は氷室に「どうすれば、政治家にとって大切な志を守れるのか、それを考えてください」と言いました。くるみいわく、薬膳の原典である『飲膳正要』によると蓮の実のおかゆには志を強くするという説もあるとのこと。氷室は阿藤総理の大きさを認めて従うことを伝えました。阿藤続投が決まったのです。
清沢晴樹(高橋一生さん)は、阿藤総理から改めて総理専属の官邸料理人に任命されました。くるみはマスコミの面前で「阿藤総理を辞めさせる料理を作ります」と言い放った責任を取って官邸料理人を辞めることになりました。
清沢はくるみに対し「おまえは官邸の都合で使い捨てられた」と言いますが、くるみはそれを否定し、意外にも清沢に感謝の言葉を述べました。今回の会食が成功したのは清沢のおかげだと言ったのです。清沢の「彼ら(=政治家・秘書・役人・マスコミ)が発する言葉は、いつも真実とは裏腹の意味を持つ」という言葉が参考になって、くるみは阿藤総理や古賀たちの言葉の裏の意味を読み取ることができたようです。
くるみは別れ際に清沢に「若鶏のソテー 総理官邸風」の料理を振る舞いました。見た目からすでに王道を逸脱しているその料理の味は、意外にも清沢のものと同じ味でした。しかし、ショウガ・ゆず・ゴマ・わさびがほのかに香り、基本のレシピはそのままにくるみの感性で変化が加えてありました。そこから清沢は、変化することもまた悪くないということを悟りました。
阿藤総理のもとを去って行ったくるみと古賀ですが、阿藤総理がまた追い詰められた時にはどこにいてもいつでも駆けつけてくれるのでしょう。最後に映し出された古賀、くるみの世話役だった田村友和(三宅弘城さん)、清沢、阿藤総理、そしてくるみの柔らかな表情が印象的でした。国会議事堂を後にするくるみの手にはパスポートがありました。また海外で修行でもするのでしょうか。人間関係や料理に対する着眼点が面白いドラマでした。

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