相棒season8 (岸部一徳さん)

kishibeittoku

岸部一徳さんは、毎週水曜夜9時テレビ朝日系列にて放送されている連続ドラマ『相棒 Season8』に小野田公顕 役で出演しています。
昨日は第7話「鶏と牛刀」が放送されました。
●導入部のあらすじと感想
ホテルの一室から年金事務所の係長・藤石正輝(江藤大我さん)が転落死した。自殺と断定され、参事官・中園照生(小野了さん)の命令により、捜査は打ち切られるが、遺体に不審な点を発見した杉下右京(水谷豊さん)は捜査を開始する。
藤石の婚約者・栗田亜由美(久遠さやかさん)により、藤石が不正を告発しようとしていたことや、会社も辞めることを口にしていたことが判明。さらに右京と神戸尊(及川光博さん)は、藤石の上司である課長・柴田真(三井善忠さん)たちから、藤石が亡くなったホテルには職員は誰も泊まったことがないこと、この事務所でも5年前まで企業の納付率を上げるために違法な脱退届が行われていたことを知る。内部告発をしようとしていたはずの藤石だが、捜査二課の情報により、横領の被疑者だったことが判明する。藤石は死亡した人を生きていることにして年金を横領していたらしいのだ。しかし、上からの圧力により逮捕を止められていたということを知った右京は、その理由に疑問を持ち、警察庁長官官房室長・小野田公顕(岸部一徳さん)に会って話を聞くのだった…。
「社会保険庁」を「年金保険庁」、「日本年金機構」を「社会年金機構」と表現して、一応架空のお話となっていました。しかし、違法な社会保険の脱退、死者からの横領などは現実にもあったことで、いろいろと考えさせられました。
タイトルの「鶏と牛刀」も深いです。元になったのは、論語「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」で、小さなことを処理するのに不必要なほど大げさなやり方をするたとえです。
今回、複雑に見えた事件でしたが、犯人を追い詰める決め手となったものは至ってシンプルでした。それは、最初に事情を聞いた時に、犯人しか知り得ない情報を語ったことでした。結局、犯人は自己保身のために藤石を殺してしまったわけですが、その元凶は、年金の担当省庁が作成したFAデータでした。FAデータは、年金の担当省庁が年金の納付率を上げるために、保険料滞納企業を社会保険から脱退させる通達を全国の年金事務所に出したもので、これが公になると大スキャンダルになりかねないことを懸念して、年金関連の省庁の官僚もFAデータの回収・消去に躍起になっていました。「国民が働いて得た所得から強制的に徴収した年金を横領し、湯水の如く使いまくってたんでしょう。そんなあなた方のおかげで、将来が台無しになった人が大勢いるんですから、あなた方からも将来が台無しになる人を大勢出しなさいよ。そうして、新しい組織は、最低限警察に、いや、国民に迷惑をかけない組織になってくださいね」と、小野田官房室長が年金関連の省庁の官僚に言っていたのが印象的でした。右京さんに暗に促されて、小野田官房室長は、焼かれたFAデータは1カ月で復元すると官僚たちに嘘をつきました。その駆け引きの結果、職員の9割が年金保険庁から移行する予定だった社会年金機構は、懲戒処分歴のある職員の採用を完全にやめることになり、外部採用が圧倒的に増える見込みとなりました。ちなみに、ドラマではなく現実の世界では、来年1月に社会保険庁が廃止され日本年金機構が発足する際、機構に移行できない職員について、懲戒処分歴のある者を含め、厚生労働省の非常勤職員として採用する方針のようです…。
組織犯罪対策5課長・角田六郎(山西惇さん)が家宅捜索で一役買ってくれたのも良かったですし、よく特命係の様子を覗き見している大木長十郎(志水正義さん)&小松真琴(久保田龍吉さん)の登場シーンが多かったのも良かったです。
藤石の婚約者・亜由美への、捜査一課・伊丹憲一(川原和久さん)と芹沢慶二(山中崇史さん)の心遣いも感動的でした。
神戸が、きちんと変装することによって、右京さんと小野田官房室長の会話を盗み聞くことに成功したというオチも面白かったです。

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