- 2007年8月24日
テレビ東京系列にて毎週金曜深夜の「ドラマ24」枠において放送されていた連続ドラマ『まほろ駅前番外地』は先週、最終回(第12話)を迎えました。
瑛太さんは多田啓介 役で、松田龍平さんは行天春彦 役で出演しました。
●あらすじと感想
東京の郊外、まほろ駅前にある便利屋「多田便利軒」。その経営者である多田啓介(瑛太さん)と、そして彼の元へ転がり込んできた行天春彦(松田龍平さん)。多田は「頼まれた仕事は極力引き受ける」がモットーで意外と真面目で、行天は自由気ままな性格でよく勝手に面倒くさい依頼に首を突っ込んでしまいます。そんな2人のもとへ舞い込んでくるどこか奇妙で、きな臭い依頼にかかわっていくうちに、様々な人間模様が浮かび上がっていくお話でした。
本作の原作は三浦しをんさんの第135回直木三十五賞受賞作である小説作品『まほろ駅前多田便利軒』の続編『まほろ駅前番外地』です。『まほろ駅前多田便利軒』は、すでに2011年に本作と同じ瑛太さん&松田龍平さん主演で映画化されています。ドラマでは、原作の世界観や主演2人のキャラクターは活かしつつ、小説や映画とは違うパラレルなものを描こうと企画され、原作にないオリジナルストーリーを多く盛り込んだそうです。
最終回では、事務所の立ち退きも決まり、お金も無く、何より便利屋に対するモチベーションも下がったので、多田は廃業することを決めました。そこへ前回、遺品整理を請け負った柏木亜沙子(真木よう子さん)から電話が来ます。亜沙子の兄・貞雄(山本浩司さん)はヤバイ連中に金を借りていて、拉致され殺されかけ、助けてほしければ借金のカタに店の権利書を持ってくるよう亜沙子に連絡があったのです。亜沙子にも廃業することを伝えていた多田ですが、「多田便利軒はまだ営業中です。依頼してください」と言います。かくして多田便利軒は、亜沙子の兄・貞雄をチンピラから助けるという最後の仕事をやることになりました。
多田と行天はお揃いの仕事着であるツナギを着て、チンピラの待つ怪しげな倉庫に向かいました。チンピラとの戦いは、すばしっこい行天と必死の多田が優勢に持ち込みます。殴る快感におぼれた多田が背後からチンピラに鉄の棒で殴りつけられそうになりましたが、行天がチンピラのお尻を拳銃で撃って救いました。拳銃は、以前、処分を頼まれた時に行天が海に捨てるふりをして替わりに石を投げ込み、密かに持っていたのです。行天は多田に「亜沙子さんを守ってあげて」との依頼を言い残して警察に連行されていきました。
結局、拳銃は誰の物か分からず、多田たちも殺されかけたので、行天の判決は正当防衛で執行猶予もつきました。そのことを多田は電話で亜沙子に伝え、いつものように軽トラックを走らせました。車体に書かれた「頼まれた仕事は極力引き受けます!!」は、「頼まれた仕事は何でも引き受けます!!」に変えられていました。どうやら多田は廃業せずに便利屋を続けているようです。きっとそれはそのうち戻ってくるであろう行天のためでもあるのでしょう。
多田と行天の、かみ合っていないようで、どこか切っても切れない絆で結ばれている関係が良かったです。それは要するに友情なんでしょうけど、ベタな表現ではないところに感心しました。面倒ごとを嫌いつつもカッコつけてついつい依頼を引き受けて、極力頑張ってしまう多田。ひょうひょうとして何も考えてしないように見えて、意外と物事の本質を見抜いている行天。きっと今頃は行天も多田のところへ戻っていて、以前と変わらず便利屋を続けていることでしょう。そんな風に思わせてくれる味のあるドラマでした。