探偵はBARにいる2 (大泉洋さん & 松田龍平さん)

oizumiyo07
matsudaryuhei04

シリーズ2作目となる映画『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』は、東直己さんの小説『ススキノ探偵シリーズ』の「探偵はひとりぼっち」が原作です。前作に引き続き橋本一監督がメガホンを取っています。
大泉洋さんは主演の探偵 役で、松田龍平さんは高田 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
北海道札幌市の繁華街・ススキノのバー「ケラーオオハタ」に入り浸る探偵(大泉洋さん)とその助手・高田(松田龍平さん)は、相変わらずヤバい仕事で日銭を稼ぐ毎日を送っていた。
そんなある日、常連のショーパブ「トムボーイズ・パーティ」で働く友人のマサコちゃん(ゴリさん)が、探偵の後押しもあってか、マジックコンテストに挑戦。全国大会に出場する運びとなり、見事に優勝した。ところがそれから2日後に撲殺死体で発見される。
マサコちゃんは“オカマジシャン”として人気者になっていて、事件も世間の注目を集めていたことからすぐに解決するものと思われたが、警察の捜査は一向に進まず、世間の関心も薄れていった。探偵は探偵でタチの悪い恋の病にかかっていて、極上女(麻美ゆまさん)とほとんどベッドの上で過ごし、ススキノの街にも顔を出せないほど重篤だった。しかし、「金も無いのにカッコつけるんじゃねぇ!」と言われて破局。本来は北大農学部の研究助手である高田をススキノに呼びつけて、探偵は街に復帰する。マサコちゃんの事件のことが気になり、ついに動き出す探偵だが、「トムボーイズ・パーティ」のママ・フローラ(篠井英介さん)をはじめとする仲間たちの対応はどこかおかしい。探偵が無理やり聞きだしたところ、どうやら事件の背後にはカリスマ的な人気を誇る脱原発派の二世議員・橡脇孝一郎(渡部篤郎さん)が絡んでいるらしい。もちろん探偵は、友人・マサコちゃんのために相手が誰であろうと引き下がるつもりはない。そんな探偵の前に人気の美人ヴァイオリニスト・河島弓子(尾野真千子さん)が現れる。弓子が言うには、マサコちゃんは弓子の熱烈なファンで、弓子にとっても大事な存在だったとのこと。憎き犯人を自力で捕まえてやると意気込む弓子に対し、探偵は自分の依頼人となって大人しくしているよう説得する。素直に聞き入れたかに見えた弓子だったが、電話一本で蜂の巣を突くような大騒動を引き起こす。ターゲットにされたのは探偵たちで、3つの集団から追われるはめになるのだった…。
三枚目のようできめるところはビシッときめ、依頼人を守りとおそうとする男気も持ち合わせている探偵。ケンカはかなり強いですが、探偵のピンチにいつも遅れてやって来たり、スキあらば眠ってしまうマイペースな高田。そんな微妙にかみ合わない2人の絶妙なコンビネーション、そしてアマノジャクなオンボロ車“高田号”こと高田の愛車も健在でした。彼らと高田号が織り成すカーチェイスが面白かったです。また、路面電車内で展開される2人対大多数の集団バトルも見ごたえがありました。
探偵の、女に目がなく間抜けな面を表現するためか、大胆な濡れ場がありました。個人的にはあまり必要なかったように感じましたが、映画ならではのお色気シーンとしては印象的でした。
今回の依頼人となるヒロイン・弓子は、関西弁でまくしたてる男っぽくてガサツな一面と、心に傷を抱える繊細な女性という二面性を持つどこかミステリアスな女性で独特の存在感を放ちます。存在感と言えば、脇を固める登場人物たちも負けていません。前作に引き続き登場する、探偵のことを愛してやまない「喫茶モンデ」の看板娘・峰子(安藤玉恵さん)、前作では花岡組系「則天道場」の副長として登場して鼻をへし折られた佐山(波岡一喜さん)、「北海道日報」の新聞記者で妻子持ちの両刀使い・松尾(田口トモロヲさん)、「桐原組」の若頭で探偵とは腐れ縁の相田(松重豊さん)、本作初登場である、その筋では有名な同性愛者らしい二世議員・橡脇孝一郎、橡脇の後援会長で探偵いわく“利権の山で暮らす女王様”である新堂艶子(筒井真理子さん)、マスク集団のリーダー格で最近の選手を知らない野球男(矢島健一さん)など、強烈な面々が揃っています
「誰かが動き出せば、あとに続く者が出る」との弓子の言葉通り、いろいろな人が現れ、事件の核心へと迫る探偵たちですが、そこには、やるせない真実や切ない愛情が隠されていました。マサコちゃんの形見ともいえる白いバラの造花を胸に挿して、弓子が涙ながらに、それでいて笑顔でヴァイオリンを演奏する場面が、回想シーンもあいまって感動的でした。
敵に殴られて倒れる高田を見た探偵が心底心配する場面があったり、高田が探偵のためにタバコをスッと差し出す場面もあったりして、前作より若干絆が強くなっているかのように見える2人。ラストでは、相変わらずオンボロ車に乗りつつも「同じ色の車に買い換えた」と言い張る高田に対して、探偵が「次は真っ赤なやつ買ってくれ!」と突っ込む和やかな場面もありました。そんな2人の活躍をまた見てみたいものです。