モヒカン故郷に帰る (松田龍平さん)

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映画『モヒカン故郷に帰る』は、『横道世之介』などの沖田修一さんが監督と脚本を担当した作品です。
松田龍平さんは田村永吉 役で出演しています。
先日、J:COMオンデマンドによる先行試写会で鑑賞しました。明後日4月9日より全国公開されます。
●導入部のあらすじと感想
モヒカン頭の田村永吉(松田龍平さん)は、売れないデスメタルバンドのボーカルを務めている。ライブを言い訳にあることを後回しにしていた永吉だが、重い腰を上げて実行することにする。それは、彼女・会沢由佳(前田敦子さん)を連れて7年ぶりに自身の故郷・戸鼻島へ帰ることだ。実は由佳が妊娠していて、結婚の報告をするためだった。実家に行くと、しょっちゅう帰省している弟・浩二(千葉雄大さん)、筋金入りの広島東洋カープファンの母・春子(もたいまさこさん)、そして矢沢永吉をこよなく愛する父・治(柄本明さん)がいた。
永吉は由佳からせっつかれて結婚と妊娠を治たちに報告。質問をのらりくらりとかわす永吉に対してイライラする治だが、永吉がバンドでは食っていけず由佳に養ってもらっていることを知ると怒りが爆発する。ド派手な親子喧嘩が始まったが、治は腰を痛がりだし、そうかと思えば突然友人に電話をかけだして宴会の準備を始める。なんだかんだ言っても、内心は2人の結婚が嬉しいようだ。
2人の結婚を祝う大宴会が開かれたその夜、治は突然倒れて病院に運ばれる。検査結果は末期癌だった。肺に癌が広がっていて、腰椎にも転移していたのだ。浩二と春子がひどく動揺し、結局その病状は治自身も知るところとなるのだった…。
父親のやりたいことを叶えてあげようと、永吉が四苦八苦する様子がなんだかよかったです。不器用ながらも懸命に向き合う姿が健気でした。
治がコーチを務める吹奏楽部の唯一の男子部員・野呂清人(小柴亮太さん)と永吉との会話も印象的でした。永吉が「俺も最近知ったんだけどさ。やっぱ親って死ぬんだな。いや、分かってたんだけどさ。いざそうなってみると実際、なに話したらいいもんかねぇ」と話すと、清人はコーチが寂しそうだったからそばにいるだけでいいのではないかと答えました。シンプルながら実に的確な答えだと思いました。実際、永吉はそのアドバイスが効いたのか、東京に戻るのを遅らせました。
永吉と治の広島弁でひょうひょうとした掛け合い、見かけによらず粗野な面もある由佳の天真爛漫ぶり、矢沢永吉さんや広島東洋カープのフィーチャーぶりも見どころの1つでしょう。治とのお別れのシーンは賛否両論あるかもしれません。コメディ色の強いホームドラマとは言え、なかなかシュールでした。
舞台となった戸鼻島は架空の島ですが、実際に撮影が行われた下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島といった広島県呉市にある瀬戸内海の島の景色も美しくて印象的でした。