- 2011年7月2日
織田裕二さんは、フジテレビ系列の毎週月曜夜9時枠にて放送されていた連続ドラマ『太陽と海の教室』に櫻井朔太郎 役で出演しました。
一昨日は第10話(最終回)が放送されました。
●あらすじと感想
履修不足問題が表面化する。不正を誤魔化すのはよくないとして、放課後に補習を受けて不足分を補うという櫻井朔太郎(織田裕二さん)と、受験終了後に未履修教科のレポートを提出することで卒業資格を得るという神谷龍之介理事長(小日向文世さん)とで対立。根岸洋貴(岡田将生さん)、澤水羽菜(谷村美月さん)と屋嶋灯里(吉高由里子さん)の3人以外は、受験の追い込みを理由に櫻井の意見には賛成しなかった。
櫻井は、体育教師・与田典人(今井ゆうぞうさん)や音楽教師・赤木保則(池田鉄洋さん)に補習授業への協力を頼み、自らも放課後、誰も来ない中、校庭を走り体育の補習を開始。3年1組の生徒たちの大半は冷ややかな視線を向けるが、教師たちに変化が起こる。柴草は担当の数学の授業を、自身が資格を持っている補習科目の世界史の授業に切り替える。槇村肇副校長(小林すすむさん)も、家庭科の授業ができると櫻井に伝え、補習計画の協力を申し出た。
そんな中、理事長室に呼び出された櫻井は、より好条件の学校を紹介するから湘南学館を辞めるようにと神谷に告げられる。生徒を信じると言う櫻井はそれを断る。神谷はそんな櫻井に、必要悪と呼ばれるものは無い方がいいに決まっているという考えを表明しつつも、自分がいくら思い描こうとなくならないものはなくならないんだと、はき捨てるように言う。神谷は櫻井の生徒を信じているという強い意志を確認した後、自らの辞任を告げる。教育委員会は、履修問題に関しては考慮したが、神谷の行った事実の隠ぺいは問題視したようだ。自分が辞任するのは、自分が組んだカリキュラムが原因ではなく、自分の必要悪の理念に変わりはないと強調する神谷に、10年後の生徒たちの姿をもって、いずれ答えは出ると櫻井は告げる。
その頃、3年1組の教室では、榎戸若葉(北川景子さん)が補習を受けるよう生徒たちを説得しようとしていたが、簡単に反論されてしまう。そこで洋貴、灯里、日垣茂市(鍵本輝さん)、楠木大和(冨浦智嗣さん)、羽菜たちが今まで櫻井から教わったことを話す。その話を聞いて、幼い兄弟を養うために受験に失敗できないと焦って大反対していた川辺英二(山本裕典さん)も櫻井の教えに気づく。「もう1回、みんなで決めよう」との白崎凜久(北乃きいさん)の呼びかけで補習の決議が行われ、採決の結果、全員一致で3年1組は補習授業を受けることが決まる。
田幡八朗(濱田岳さん)の死をきっかけに、羽菜は介護士になるために介護士の専門学校に行くことを決意し、灯里は学校の先生になるために志望校を変えて教育大に行くことを決意、洋貴は父親の会社を継ぐために造船工学科のある広島の大学に行くことを決意した。凛久は、そんな状況を受け入れることができず、いつまでもみんなと一緒にいたいという気持ちを引きずっていた。
3年1組が補習授業を受け始めたことにより、他のクラスもだんだん受け入れるようになり、このままいけば卒業までに全科目履修できる見通しが立った。櫻井は3年1組の担任に復帰することになった。日輪祭も、思い出作りのために3年1組で実施することになり、10年後の自分に手紙を書いて、モニュメントを燃やす時に中に入れることが決まった。櫻井は、生徒たちから10年後の自分たちの想像は、嫌な大人になっていることばかりだと聞いて、これから立ちはだかってくる壁は、本当は壁なんかではなく、自分自身を写す鏡なんだと説く。そして、どんな時代になっても、世界中のどこにいても、目の前にある鏡をしっかりと見て、自分らしくあるか、今を生きているかを自分自身に問いかけて欲しいとお願いした。それから櫻井は、10年かけて解いて欲しいという問題を出す。それは、名前ではなく、学歴や職業でもなく、性別や国籍でもなく、君たちは誰か?というものだった。
放課後、みんなに置いてかれる気がしてたと言う凜久に、洋貴は、あの時のままだと自分はまだ凜久に好きだって言ってないと話し、自分は明日のことを知りたい。来年の夏、自分がどうなっているのか、凜久がどうなっているのか、自分たちがどうなっているのかを知りたいと告げる。告白めいた洋貴の言葉に、凜久の心のもやもやも晴れたようだ。
そして迎えた日輪祭の夜。3年1組の生徒たちは、モニュメントの前に集まる。櫻井は次原雪乃(大政絢さん)を連れて現れ、灯里たち生徒も雪乃を温かく迎え入れる。櫻井は1人ずつ名前を呼び、呼ばれた生徒は10年後への思いを書いたプレートをモニュメントに吊り下げていく。最後に「田幡八朗」と呼んだ櫻井は、自ら色紙をモニュメントに掲げた。その色紙は、八朗への感謝の気持ちをクラス全員で寄せ書きしたもののようである。カウントダウンで櫻井の手によりモニュメントに火が放たれる。モニュメントは勢いよく燃え上がり、歓声が上がる。それから生徒たちは感慨深くモニュメントを見つめ、洋貴の掛け声で櫻井を胴上げした。
時は経ち、3年1組の生徒たちは、卒業式を迎えた。凜久、洋貴、茂市、灯里、羽菜、大和、英二が海岸ではしゃぎながら帰っていると、櫻井の姿があった。洋貴たちが卒業パーティに誘うと、櫻井は参加すると答え、先に行っててくれと言う。櫻井が「今を生きてるか?」と呼びかけると、一同は「はーい!!」と手をあげながら声を揃えて答える。そして元気よく走って行き、その後ろ姿を櫻井は笑顔で見つめるのだった…。
神谷が最後まで理念に変わりはないと自分の意志を貫こうとしたところが印象的でした。私はてっきり、最後は櫻井の意見に同調するようになるのかと思っていました。神谷の最終学歴は中学校ということで、社会に出てから屈辱的な思いや様々な苦労をしてきたんだろうなあという背景が推し量られ、神谷が必要悪を語る場面も説得力のあるものでした。
櫻井の話すことは、正直に申し上げると、単なる綺麗事に聞こえる時もありました。それは恐らく私が、櫻井の言うところの“魔法の言葉”を唱えて大人になっているからなのでしょう。「しょうがない。社会が悪い。みんなしてることだから」といった魔法の言葉を、私も散々唱えてきた気がします。
ドラマの構成上、八朗の死が本当に必要だったのかという疑問は残ります。もちろん、人間、いつ死が訪れるか分かるものではありませんし、誰かの死に必ず深い意味があるとまでは言いません。最後の櫻井の「今を生きているか?」を導くための象徴的な出来事だったのも確かです。でも、ドラマである以上、盛り上げのためだけに安易にそうしたと思われるような展開は避けて欲しいと思ったのも事実です。
何はともあれ、友達の死と履修不足問題を乗り越えた凜久たちと、櫻井の最後の笑顔が素敵でした。