踊る大捜査線 THE FINAL (織田裕二さん & 柳葉敏郎さん)

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映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は、フジテレビ製作の連続テレビドラマ『踊る大捜査線』の劇場版第4作であり、15年に渡るシリーズ最終作です。
織田裕二さんは青島俊作 役で、柳葉敏郎さんは室井慎次 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
湾岸警察署の青島俊作(織田裕二さん)と恩田すみれ(深津絵里さん)、和久伸次郎(伊藤淳史さん)たちは、“からあげ専門店”を開いて商店街に潜入し、被疑者逮捕にこぎつけた。
青島たちが湾岸署に戻ると、署内がいつもに増して慌ただしい。管轄内で行われている国際環境エネルギーサミットの警護に駆り出されて出かけるところだったからだ。そんな中、その会場内で誘拐事件が発生し、被害者は数時間後に射殺体で発見される。
捜査会議が開かれるが、すべての捜査情報は管理官・鳥飼誠一(小栗旬さん)に文書として報告することが義務付けられ、所轄である湾岸署の捜査員には一切の情報が開示されないという異例の捜査体制となる。なぜなら、犯行に使用された拳銃がかつて警察が押収したものであると判明し、それはすなわち、警察官による犯行であることを示唆していたからだ。
警察の上層部のもとには、隠ぺいのプロと呼ばれている情報技術執行官・横山邦一(大杉漣さん)が来る。押収拳銃を持ち出した犯人が捜査本部にいる久瀬智則(香取慎吾さん)であることを突き止め、公安に監視させるとともに、身代わりの人物を用意するよう指示。何も知らない湾岸署の捜査員は、捜査本部からの指示通り、被疑者とする男性を探し出して身柄を確保した。すみれの話によりその男性にアリバイがあることを知った青島は、鳥飼に報告するが無視され、上層部が何かを隠していると悟る。そんな中、第2の殺人事件が発生してしまうのだった…。
前作『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』、本作の1カ月前の出来事を描いたスペシャルドラマ『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』が個人的にはイマイチだったので、本作はどうなってしまうのかと心配していましたが、大いに楽しめました。
個人的に特に良かったのは、きちんと青島君と室井さんがドラマの縦軸になっていた点です。これまでのシリーズの名場面へのオマージュともいえるシーンが随所に盛り込まれていたのも嬉しかったです。特にラストシーンの青島君と室井さんのやり取りは感動的でした。室井さんの「あいつ(青島)の背中を見てろ。俺は教えられた。組織の中で生きる人間こそ信念が必要だと…」といったセリフが印象的でした。
オマージュと言えば、青島君が鳥飼に言った「正義なんてものは、胸に秘めておくのがいいんだ」という言葉にじんとしました。これは和久さんこと和久平八郎(いかりや長介さん)が青島君に言っていたことです。
確かに突っ込みどころは多々ありますし、特に終盤のご都合主義的な展開には納得のいかない人もいるでしょう。でも、シリーズファンからしてみれば、当初から描かれてきた、現場の判断よりも警察官僚の不適切な指示が優先されること、規律を優先することによって現場が危険にさらされること、そしてそれらの問題点の大本ともいえる警察機構の腐敗した権力構造などに踏み込んでいたことに大いなる意義を感じる人も多いことでしょう。
「俺たち警察は、街の人を守る最後の砦なんです」と誇りを持って現場に急行する青島君は、いい意味で15年前から変わっていません。そしてそんな青島君が「警察なめんなよ」と言っているところは、すみれさんの「青島君から捜査をとったら、ただのガキ」というセリフがなんだか思い出されて微笑ましかったです。
ファイナルということもあり、本作の紹介で“青島、最後の捜査”という表現が散見されますが、青島君はボチボチきつい体をひきずりながらも、今後も現場で走り続けるに違いありません。
そういえば、本作でも室井さんの秋田弁が登場しました。それは「おじまげな」で、“カッコつけるな”という意味だそうです。