チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮 最終回 (仲村トオルさん)

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仲村トオルさんは、フジテレビ系列の毎週火曜夜10時枠にて放送されていた連続ドラマ『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』に白鳥圭輔 役で出演しました。
先日は最終回(第11話)が放送されました。
●あらすじと感想
碧翠院の螺鈿の部屋で行われていたのは積極的安楽死でした。そのことにまつわる秘密を守るために、放射線科医・立花善次(宅間孝行さん)と放射線技師・戸山久司(渡部豪太さん)は、桜宮華緒(相築あきこさん)の手によって殺されたのです。安楽死は、華緒が患者の最終的な意思確認を行い、院長で華緒の夫である巌雄(柳葉敏郎さん)がキセノンガスと筋弛緩剤を絶妙のタイミングで使って行っていました。そのことは、厚生労働省の白鳥圭輔(仲村トオルさん)が、東城医大から特別なCT搭載車を持ってきてもらって、碧翠院で亡くなった加賀博之(山本圭さん)の遺体を専門家に様々な方法で撮影して解析してもらうことによって暴きました。Ai(=死亡時画像診断)が巌雄たちのやってきた安楽死という名の殺人行為のすべてを証明するというわけです。
観念した巌雄は、患者の終末期に伴う肉体的・精神的・経済的様々な苦しみから解放したかったと動機を明かしました。罪を犯してでも死の恐怖にある患者を救いたかったと話す巌雄。それに対して白鳥は「神にでもなったつもりか!?人の命の長さを決めるのは医者じゃない!あなたがやってきたことは医療の名を借りた独善だ!あなたはもう医者でも何でもない」と怒りました。巌雄の長女・小百合(水野美紀さん)は安楽死に進んで加担していました。次女・すみれ(栗山千明さん)は反対の立場をとって螺鈿の部屋には立ち入りませんでしたが、螺鈿の部屋のみとり以上に安らかな死を患者に与えることはできないとして黙って見過ごしていたのです。
白鳥の連絡で、警察が殺人事件と安楽死に関することを捜査するために碧翠院に来ました。そんな中、巌雄と華緒、そして一緒に逝くことを望む長男・葵(山﨑賢人さん)は火に包まれました。巌雄と華緒は、安楽死を始める時に最初に決めたことがありました。それは、いつかもし安楽死が暴かれたら、2人ですべの罪を抱えてこの世を去るというものでした。だから自ら螺鈿の部屋に火をつけて、焼身自殺を図ったのです。心療内科医・田口公平(伊藤淳史さん)はそれを阻止しようとしましたが叶わず、白鳥と一緒に小百合とすみれを救って、命からがら燃えさかる螺鈿の部屋を後にしました。
その後、小百合は安楽死に直接関わっていたと警察に告白して出頭。世間では大騒ぎになり、「そもそも安楽死とは罪なのか」という意見まで飛び交うようになりました。碧翠院は東城医大が医師を派遣して存続できるようにする方向に決まったようです。しばらくの間は、碧翠院に入院していた患者は東城医大が預かることなりました。東城医大の医学生で休学して碧翠院でアルバイトをしていた天馬大吉(上遠野太洸さん)は、葵との約束を守ることにしたのでしょう。医師になったら碧翠院で働くと言って医学部に戻りました。すみれは全身に30%の熱傷を負ったものの回復に向かっています。ただ、一切の感情を断ち切っている感じで、医師や看護師が声をかけても何の反応もありません。しかし、田口が優しく話しかけ、関係者の近況を知らせて、巌雄が遺した手紙を読み上げたところ、「ひどい父親」と言って反応を示しました。田口が「でも僕、巌雄先生のもとでもっと働いてみたかった」と言うと、すみれは涙を流して「私も」と答えました。
田口は東城医大に戻ることになり、特別愁訴外来も再開できました。そんな田口のもとに白鳥が訪れ、「ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだよね」と言います。院長には話を通してあるようなことを言う白鳥は、すでに田口の新しい名刺まで用意していました。怒りを通り越して呆れるといった様子の田口ですが、「いいですよ。もうどんなミッションも付き合います」と答えました。白鳥はミッションの中身も説明せず、急いでいることを伝えて、名刺を田口に放るようにして渡して「行くよ。グッチー」と言って歩き出しました。田口は戸惑いつつ、白鳥の後を追いながら、名刺の長い肩書きの意味を尋ねるのでした…。
人間らしく安らかな死を迎えさせるという患者との約束を果たしてきた巌雄たち。しかし、その手段に問題がありました。それに対し、白鳥は「命を救うことが難しい終末期医療の現場で、医者も看護師もみんな必死で患者の痛みや苦しみ・恐怖を取り除こうとしてる。巌雄先生がやってきたことは、そういう現場の思いを踏みにじる行為だ」と言いました。
安楽死を望む患者・赤城美智(左時枝さん)を説得する時に田口が言った「命にしがみついて、会いたい人に会って、やれること全部やって1日でも長く生きたいってあがいて。その方がずっと人間らしい死に方だと思う。生きてさえいたら、何か変わるかもしれないじゃないですか」という言葉が印象的でした。
また、白鳥は「今この瞬間も新しい治療法や薬を開発しようと懸命の努力をしてる人たちがいる。生きることを簡単には諦めない。その先には必ず、必ず希望がある。僕はそう信じてる」と言っていました。理想論と言われればそれまでですが、私もこの考え方には賛成です。
白鳥の言うように、これからいよいよ団塊の世代が老人になり、3人に1人は65歳以上の超高齢社会がやって来ます。今のような医者任せの終末期医療はもう限界でしょう。本当に他人事ではない問題です。白鳥がマスコミに向かって話した「日本人は死を忌み嫌うべきものとして避けて通ってしまう。でもこれからは一人一人がどういう人生の最期を迎えたいのか、それを考えなきゃいけない時代が来たんですよ。さらには少ない若者で多くの高齢者の幸せをどう支えるのか。医療・行政・社会保障がどう取り組むべきなのか。それを真剣に考えないと、安楽死を望む人やそれをほう助する医者がまたどこかで生み出されてしまう」という言葉も印象的でした。
本作に続いて、3月29日にはシリーズ完結編となる映画『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』が公開予定です。

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