SP エスピー 革命篇 (堤真一さん)

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堤真一さんは、フジテレビ系土曜ドラマ枠にて放送された連続ドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』の劇場版である『SP THE MOTION PICTURE』に尾形総一郎 役で出演しています。
『SP THE MOTION PICTURE』は「野望篇」「革命篇」の2部作で公開。
先日、最終章となる「革命篇」を劇場で観ました。
●導入部のあらすじと感想
官房長官襲撃事件の2カ月後。井上薫(岡田准一さん)、笹本絵里(真木よう子さん)、山本隆文(松尾諭さん)、石田光男(神尾佑さん)たち警視庁警護課第四係のメンバーは、テロリストとの死闘による怪我も回復し、要人警護の通常業務に復帰していた。しかし、相変わらず係長の尾形総一郎(堤真一さん)と井上の間には大きなわだかまりが存在していた。
そんな中、尾形の指令で第四係のメンバーたちは国会議事堂に向かう国会議員たちの警護を担当することになる。井上たちに警護された国会議員が次々と衆議院棟・本会議場内へ入っていく中、その裏で尾形の人生をかけた計画が着々と実行に移されていた。“革命”に共鳴するテロリストたちと精鋭SPたちは、水面下で衆議院棟を分断して制圧。そして尾形たちは、まさに麻田雄三(山本圭さん)内閣不信任決議が行われている最中の本会議場へ突入する。尾形は銃声を響かせ、国会議事堂の制圧を宣言し、革命行為を一言一句余さず記録し、内容に改編を加えることなく全国民に伝えることを要求する。
一方、尾形の命令によって本会議場から引き離されていた井上たち第四係のメンバーは、記者クラブのテレビで尾形の行動を知る。井上は、あえて自分たちを国会議事堂での警護に当たらせた尾形の意図を考え、SPの誇りのため、尾形の無謀な行為の阻止を決意するのだった…。
本作も前作「野望篇」同様、アクションが見応えありました。特に井上たち第四係と木内教永(古山憲太郎さん)たち新第四係の集団戦、井上と最強のテロリスト・中里(高橋努さん)との死闘、井上たち第四係のメンバーが本会議場へ突入してテロリストを制圧するシーンなど、手に汗握るアクションが満載でした。そして何と言っても尾形と井上が対峙するシーンが圧巻でした。躊躇無く銃を発砲する尾形と、銃口を向けながらもなかなか発砲できない井上など、動きで感情を表現していて印象的でした。
尾形の大義、与党幹事長・伊達國男(香川照之さん)の野望、強固な官僚国家を目指す若き策略家たち、力によってシステムを変えようと画策するテロリストたちなど、様々な思惑が渦巻く中、テレビドラマから描かれてきたいろいろな伏線がようやく繋がり、物語もクライマックスを迎えました。
尾形と同じ思いを共有していたはずの伊達でしたが、実は尾形には伝えていないシナリオを用意していました。若手官僚はそのシナリオを「大河ドラマ」と表現していましたが、そんな大層なものではなく、尾形が「おまえが目指したのはニセモノたちの王様か」と失望していたように、かなり浅はかなものでした。若手官僚たちも、要は甘い汁を吸い続けることが目的で、尾形の目指す“革命”とはかけ離れたものだったのです。
尾形は、政治家たちの悪事をメディアにさらすことで、国民たちの自立意識を高めさせようとする目的もありましたが、真の目的は別にありました。その動機に伊達も深く関わっていたのは意外でしたが、若くして政権与党の幹事長に就任した伊達が取った行動は、皮肉にも、憎むべき麻田総理と同じようなものでした。
本作は“すべての謎に決着をつけるファイナルステージ”といった触れ込みがありましたが、警察内部に存在するであろう闇の組織に関しては謎に包まれたままでした。尾形と同じ雄翔会出身で、伊達の秘書・横溝雅治(堀部圭亮さん)と連絡を取っていた警護課理事官・梶山光彦(伊達暁さん)は、警護課管理官・小波(津村知与支さん)に自殺に見せかけて殺されてしまったようですし、同じく雄翔会出身の若手官僚・滝川英治(平岳大さん)や安斎誠(波岡一喜さん)たちも、掃除屋・リバプールクリーニングに始末されたようです。尾形が井上に宛てた手紙の内容は明かされていませんし、拘置された尾形は看守に「もう少しの辛抱ですから」と意味深な言葉をかけられていました。
なにはともあれ、井上、笹本、山本、石田たち第四係のメンバーは、これからもSPの誇りのため、命をかけて職務を全うしていくのでしょう。私たち国民は政治に無関心であってはいけません。井上たちSPとは別の意味で、政治家たちを監視していく必要があるのです。「政治に無関心な国民は愚かな政治家に支配される」との古代ギリシャの格言をいま一度思い起こすべき時なのだと感じました。