薔薇のない花屋 最終回

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一昨日はフジテレビ系列の毎週月曜夜9時枠にて放送されていた連続ドラマ『薔薇のない花屋』の第11話(最終回)が放送されました。
●あらすじと感想
「俺は雫の…雫の本当の父ちゃんじゃないんだ」
ついに汐見英治(香取慎吾さん)が雫(八木優希さん)に事実を告白。
それを近くで聞いていた神山舜(玉山鉄二さん)は、いらだちながらも約束通り病院へと向かい、美桜の父・平川辰巳(尾藤イサオ)の執刀をする。
辰巳の心臓が停止してしまうという危機に見舞われるが、舜は機転をきかせ、美桜をオペ室に引っ張り、父親に呼びかけるよう指示。
「私はここにいるの!! お願い戻ってきて!! 嫌よ一人にしないで!! お父さん!!」
美桜の泣き叫ぶ声に呼応するかのように辰巳の心臓が動き出し、手術も無事成功。
礼を言ってきた美桜に、舜は礼を言う相手が違うと言って、交換条件を英治に出したことを話す。
小学校の体育館で体育の授業を受ける雫の姿を遠くから見守るように見つめる舜。小野優貴先生(釈由美子さん)がそのことに気付くと、舜はいつの間にか姿を消していた。
安西輝夫院長(三浦友和さん)は、英治にこれまでの復讐行為に対する謝罪と娘・瑠璃(本仮屋ユイカさん)と孫・雫のことに関する感謝の言葉を述べ、雫を英治に戻すことを申し出るが、英治はこのまま育ててほしいと言う。そして、英治は、安西院長に育てられたから瑠璃は素敵な女性になったと言い、溢れるくらいの愛情をもらって育ったから、これ以上はもらえなくても平気だと瑠璃が話していたことを安西院長に伝える。
安西院長は、アカデミーの推薦状を舜に渡し、素晴らしいオペだったと言う。それから、次のことを言って釘をさす。
「だが私は、まだ君を許すことは出来ない。若さとは時に残酷なものだ。悔いる間もなく過ぎていく。行きたまえ」
空港で、海外に行く舜を見送る英治は、一人に耐えられなくなったら戻ってきなと言い、その時は雫に本当の父親だと紹介すると話す。それに対し、父親はおまえだろと舜は言い、英治は自分は父親役だっただけだよと答え、自分はもっと強い母親でもあったんだと言う。泣いても意味がないから泣いたことが無く、そのうち本当に涙が出なくなってしまったと言う舜は、雫の名前は涙の一滴を意味し、それをつけたのは英治だと指摘する。そんな舜に英治はハリーポッターの新作で泣けると言ってDVDを渡す。飛行機の中で舜がDVDを再生すると、それは、瑠璃のビデオレターだった。
「私だって、バカじゃないんだよ。これだけ連絡がなければ、きっと君に捨てられちゃったんだろうなって感じてはいるの。だけどね、多分それからが勝負なんだろうなって。(中略)バカじゃないって言ったけど、やっぱりバカな私。…私の勝ちよ。ううん。私とこの子の勝ち。Winner!」
それを見た舜の目からは一滴の涙が…。
一方、女性同士意気投合して居酒屋で盛り上がる美桜と優貴先生。2人は酔っ払って一緒に優貴先生の家に帰ると、さっきまで笑っていたはずの美桜の表情が一転して、お花屋さんに会いたいとの本音を吐いて、泣き出してしまう。優貴先生はそんな美桜の頭を慰めるように撫でる。
英治と雫が、電話による事実の告白後初の再会で、本物の親子のように2人の関係を確かめ合いながら無邪気に遊ぶ最中、美桜の父は退院の日を迎えていた。安西院長が見送りに来て、英治のことを訊くと、手紙を書いたと美桜は答える。
その手紙には、謝罪と感謝、それから、幸福の意味、愛という意味を知っている英治の側で幸せだったこと。自分のことを忘れないでほしいということと、自分も英治のことを忘れないということ。そして、さようならとの言葉で締めくくられていた。
そして月日は流れ、美桜がいなくなってから1年が経とうとしていた。その間、工藤直哉(松田翔太さん)も美桜を探してくれたが見つからずじまい。マスター・四条健吾(寺島進さん)はヒントぐらい置いていってくれたらいいのになとぼやく。英治のフラワーショップ雫は、薔薇の販売も始めていて、その仕入先である平川バラ園とメールでのやり取りをしていた。「花持ちが随分良くなったって評判ですよ」と英治が客の声を知らせると、「ありがとうございます。日々、勉強ですね」と返事が来る。それに対し、「頑張ってください。応援しています」と英治が送ると「はい。皆さんに喜んでいただけるよう、努力します」と平川バラ園はメールを送る。そのメールを打っているのは、なんと美桜だった!美桜は父・辰巳とともにバラ園を営んでいたのだ。
英治は美桜との思い出にふける中、美桜が自らのことを薔薇に例えていたことを思い出す。それがヒントとなり、英治は気付く。そして直哉に電話で美桜の父親の苗字「平川」を確認し、メールの平川バラ園の文字を見て微笑む。菱田桂子(池内淳子さん)もそこへ偶然顔を出し、英治が気付いたことを知って微笑む。実は菱田は、美桜親子に薔薇栽培の指導をしていたのだ。
英治は雫と一緒に平川バラ園を訪ねる。約1年ぶりに美桜と再会した英治は「愛してる」と告白し、「あなたはまるで花が咲くように笑う。その笑顔を俺は片時も忘れずにずっと探してやっと見つけた。世界に一輪しか咲いていない。今日、その花を摘みに来ました」と言う。美桜は泣きながら自分は身体中にトゲがある花だとし、英治にたくさん辛い目にあわせたことを言う。すかさず英治が薔薇の花言葉を訊ね、美桜が「情熱?」と答えると、英治はあまり知られていないという別の花言葉を紹介する。それは「忘れてしまおう」。遠くで辰巳と雫が一緒に見守る中、英治と美桜はキスを交わす。
日は変わり、英治の家で英治の誕生会が開かれる。
集まったのは、美桜、雫、安西院長、菱田、直哉、四条、優貴先生だ。菱田が美桜の代わりに平川バラ園に行くことを報告。直哉が医学部を受けなおして、ゆくゆくは雫を嫁にもらって安西先生の病院を継ぐと話すと、雫は直哉なんかと結婚しないと言う。優貴先生が見合いの話を断ったことに喜んで調子に乗っている四条は、優貴先生に突っ込まれる。安西院長は、こういう狭いところで、気心の知れた人たちが集るというのは、にぎやかでいいものだと言って、直哉に狭いところというのは余計だと突っ込まれる。そういう意味じゃないと安西院長が英治に話をふると、英治は感動のあまり涙ぐんでしまう。幸せの意味を知る英治は、自分がその幸せの真ん中にいることを感じたのだ。英治がすみませんと席を立とうとするのを、美桜が止めて次のように話す。あなたは、誰の手も決して離さない人だから、ずっと怖がって避けてたこの場所、つまり幸せの真ん中にいるのに、誰よりもふさわしい人なんだと。英治の目からは大粒の涙が流れ、雫はうなずくように優しく見つめる。
そして、ケーキのロウソクに火がつけられ、みんながハッピーバースデーを歌って英治の誕生日を祝う。英治は雫と一緒にロウソクの火を吹き消す。雫が英治の頬にキスをして、直哉は俺にもとせがむ。四条はどさくさに紛れて優貴先生にキスをせがむ。みんながおめでとうと英治に声をかけ幸せそうな光景を、飼い犬・チロルが吠えながら覗き込むのだった。
時は流れ、ある雨の日、英治と美桜の店・フラワーショップ雫に、ある人が訪れる。学生服姿のその人は、いつかの少年の名もなき戦士・広田省吾(今井悠貴さん)だ。英治は、「いらっしゃい、よく来てくれたね」と声をかけ、「君に今すぐに言ってあげられる言葉が、一つだけあるんだ」と言う。
「それでも、人生は素晴らしい」
英治がそう言うと、省吾は頭を下げ、英治が差し出した手に一輪の赤い薔薇を渡す。そして、英治と美桜は、省吾を優しく迎えるのだった…。
最後に来た学生服の少年・省吾に、英治は施設に預けた時にこう言ってました。
「どうしても、寂しくなったり悩んだりした時は、中学生や高校生になってからでもいいんだ。そんな時は駅前にある小さな花屋を訪ねるといい。君が何も言わなくても、一輪の薔薇の花を持ってくれば、全部わかってくれるんだ」
省吾の身にその時が来てしまったようですね。
四条もまたその時に「その花屋の前のな、小さな喫茶店だっていいんだぞ」と言ってましたが、真っ先に向かったのはやはり花屋だったようです。四条が頭巾を被ったのは、その時の思い出にひたりたかったのか、それとも自分の所にも来るかもしれないと思って驚かせようとしたのでしょうか。脚本的にはその時のことを暗に(?)知らせる役割だったのでしょう。
舜が再び日本に戻ってきやすいようにと、英治は花屋の再開の資金を舜から借りました。舜もいつか省吾のように寂しくなったり悩んだりした時、あるいは、本当の愛の意味を理解できるようになった時に、再び英治の前に現れるのかもしれません。
以前、英治は、幸せは側で聞いてたり見てたりするのが好きだと言ってました。理由は、幸せの中に入ると、きっと長くは続かない、いつか神様にこの幸せは取り上げられちゃうんじゃないかなって身構えてしまって怖くなるから。そんな英治が無事幸せの真ん中に入ることができ、それを素直に受け入れることが出来たというのが良かったです。だからこそ、英治は最後に胸を張って「それでも人生は素晴らしい」と言うことができたのでしょう。
なにはともあれ、ハッピーエンドで良かったです。