ボクたちの交換日記 (伊藤淳史さん & 小出恵介さん)

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映画『ボクたちの交換日記』は、放送作家として有名な鈴木おさむさんによる小説『芸人交換日記~イエローハーツの物語~』を、ウッチャンナンチャンの内村光良さんが映画化した作品です。
伊藤淳史さんは田中洋平 役で、小出恵介さんは甲本孝志 役で出演しています。
先日、試写会で鑑賞しました。明後日3月23日に全国公開です。
●導入部のあらすじと感想
田中洋平(伊藤淳史さん)は、甲本孝志(小出恵介さん)に誘われて高校卒業と同時にお笑いコンビ“房総スイマーズ”を結成。コンビ名は千葉県出身の元水泳部というところからきている。しかし、現実は厳しく、結成して12年目だが、売れる気配は一向にない。コンビの将来について膝を突き合わせて話すことをしてこなかった2人だったが、30歳も目前になり、焦りを感じていた。そんな中、甲本が交換日記を発案。はじめのうちは田中は嫌がっていたが、次第にお互いに交換日記を通して本音を語り合うようになり、2人は再び夢に向かって走り出していく。
そんなある日、テレビ局のプロデューサーで、田中の才能を認めて気にかけてくれている川野純也(佐々木蔵之介さん)から“笑軍天下一決定戦”というお笑いコンテスト参加のお誘いを受ける。最後のチャンスとして意気込む田中だが、甲本は乗り気ではない。もし途中で負けたら、自分に才能がないことが決定的となり、さらに自信がなくなると考えたからだ。田中の必死の説得と、甲本の彼女・新谷久美(長澤まさみさん)に起きたある出来事により、甲本はすべてを賭け、田中と共に笑軍のコンテストに挑むことにするのだった…。
TSUTAYAでアルバイトをしながら狭いアパート暮らしで、芸人仲間との付き合いが悪く、ケチ芸人と陰で言われている真面目な性格の田中。彼女の家に転がり込んで、生活面を彼女に支えてもらいながらも陰で合コンばかりしているいい加減な性格の甲本。そんな2人が一緒に夢を追いかけ、壁にぶつかって悩み、葛藤していく姿が胸を打ちました。対照的と思われた2人ですが、情熱的なところと、意地を張るところは案外共通していました。
映画化に際し、原作では漫才コンビであるのをコントコンビに変更し、千葉県の高校の部活仲間という新たな設定が付け加えられています。同事務所のアイドルのバーターとして前座をやる辛さや、前説の仕事が現実を感じて一番こたえるといった描写が生々しく感じました。恐らく自らもウッチャンナンチャンとして活動する内村さんの経験が生かされているのでしょう。
甲本 役の小出さんと田中 役の伊藤さんはもちろんのこと、甲本と田中をそれぞれ支える久美 役の長澤さんと宇田川麻衣子 役の木村文乃さんをはじめ、プロデューサー・川野 役の佐々木さん、房総スイマーズが所属している事務所の社長・中山 役の佐藤二朗さん、甲本がよく行くバーのマスター・紺野 役の大倉孝二さん、房総スイマーズのライバルコンビ・BBのツッコミ担当の福田 役のムロツヨシさん、甲本と久美の一人娘・サクラ 役の川口春奈さんなど、そうそうたるキャストが役に合った良い味を出してくれています。
ストーリーは良く言えば王道、悪く言えばベタなのですが、後半はやはり感動せずにはいられません。ずっと追い続けてきた夢を諦める甲本の心情は、挫折を知る者であればその辛さが痛いほど分かるでしょうし、ラストの田中と甲本の再会には胸が詰まることでしょう。コントの練習やラストライブを行った公園の桜の木が娘の名前へと繋がり、2人が再会した病院のそばの浜辺にも桜が咲き誇っていました。
物語なので夢があるのは当然のことなのですが、うだつのあがらない主人公たちを支えてくれる良い女性、よくできた娘というのが理想的すぎて、自分の現実と比較して空虚感を若干抱いてしまいました。私も、この人のためなら夢を諦めてもいいと思えるような人と出会いたいものです。

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