- 2011年5月25日
映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』は、岩崎夏海さんの同名小説を映画化した作品です。
AKB48の前田敦子さんは川島みなみ 役で、川口春奈さんは宮田夕紀 役で出演しています。
先週、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
東京都立程久保高校2年生の川島みなみ(前田敦子さん)は、病気で入院した親友で幼なじみの宮田夕紀(川口春奈さん)のために代理で野球部のマネージャーになった。
みなみはマネージャーになる時に「野球部を甲子園に連れて行くのが私の目標」と挨拶するが、監督の加地誠(大泉洋さん)やエースピッチャーの浅野慶一郎(瀬戸康史さん)をはじめとする部員ら、幼なじみでキャッチャーの柏木次郎(池松壮亮さん)でさえも反応は冷めたものだった。現在の程高の実力では甲子園出場など夢のまた夢だったからだ。
部員たちに馬鹿にされたみなみは、まずはマネージャーのことを理解しようと、本屋の店員(石塚英彦さん)に薦められるままにP・F・ドラッカーの『【エッセンシャル版】マネジメント~基本と原則~』を購入する。家に帰りいざページを開くと、実は起業家や経営者のための本であることが判明し、みなみは落胆する。しかし、本文にあった「マネージャーに必要とされる資質は才能ではない。真摯さである」という言葉に衝撃を受け、みなみはこの本の内容の多くが野球部の組織作りに応用できると考え、夕紀や監督、後輩マネージャーの北条文乃(峯岸みなみさん)、部員で同じく『マネジメント』を愛読している二階正義(鈴木裕樹さん)たちに協力を仰ぎ、本に書かれている精神や理論を実際に当てはめて野球部の改革に乗り出すのだった…。
王道的な青春サクセスストーリーでした。アイドル映画的側面はそれほど強くはありませんが、この企画そのものや秋元康さん、AKB48等に対して嫌悪感を抱いている人はご覧にならない方がいいです。“先入観は罪、偏見は悪”とまでは言いませんが、単純に楽しむことはできないでしょう。私は基本的には映画は楽しんだもん勝ちと思っていますので、先入観や偏見で楽しめる範囲を自分で狭めてしまうのはもったいないと感じてしまいます。でも、こればかりは考え方や気持ちの問題なので仕方のないことでしょう。どう捉えても、やはり自分にとってつまらない作品というのは存在するものですし…。
さて、本作の見どころの1つとしては、高校野球と経営学という一見、関係なさそうな2つが絡み合うところにあるでしょう。例えば、「企業の目的と使命は顧客によって定義される」とか「真のマーケティングは顧客からスタートする」、「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させること」、「イノベーション戦略の第一歩は、古いものを捨てること」などといったドラッカーのマネジメントの理論を野球部に落とし込んでいくところが興味深いです。「野球部の定義は“感動を与えること”」など、その当てはめ方にも賛否両論はあるかと思います。ただ、着眼点や発想は面白いですし、自分ならこう定義すると考えること自体にも意義があるように思います。
もう1つの見どころであり、メインともいえるのは、思い込みで突っ走ってしまう主人公・みなみが、真摯に(=まじめでひたむきに)改革に打ち込み、やがて彼女を取り巻く人々に良い影響を与えていくという展開でしょう。弱小野球部が一年で甲子園に行けるはずがないとか、途中からマネジメントの理論とは関係なくなっているのではないかという突っ込みもあるでしょう。私にとっては、みなみたちの姿を通して“真摯さ”や“変化”について考えさせられたことが収穫であり、物語もベタながら伏線の回収等がしっかりしていて、素直に感動しました。
個人的に残念だったのは、映画の内容と主題歌「Everyday、カチューシャ」の歌詞が合っていなかったことです。映画の総合プロデュースも主題歌の作詞を担当したのも同じ秋元さんなのに、なんとかならないものだったのでしょうか。ちなみに前田敦子さんは本作の挿入歌「Flower」で6月22日にソロデビューを果たします。