キャプテンハーロック (三浦春馬さん)

miuraharuma07

CGアニメーション映画『キャプテンハーロック SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK』は、松本零士さんの漫画『宇宙海賊キャプテンハーロック』をオリジナルストーリーで映画化した作品です。
監督は荒牧伸志さん、脚本は福井晴敏さんと竹内清人さん、メカニックデザインは竹内敦志さんが務めています。
三浦春馬さんは、青年・ヤマの声を担当しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
人類が宇宙開拓に行き詰まった時代。人類は成長の限界を迎え、故郷である地球への帰還を夢見るようになっていた。しかし、衰えたとはいえ一度は宇宙全体に広がった人類の数は莫大で、地球が収容しきれるものではなかった。人類は地球帰還を争って、悲しいイス取りゲームとも言える“カムホーム戦争”を引き起こした。
泥沼化した戦乱の世を終わらせたのが統治機構であるガイア・サンクションだった。彼らは地球を“永遠不滅の聖地”と定め、立ち入り禁止の星とした。以来、人類は滅びゆく運命に向かって、寂れた植民惑星に身を寄せ、帰れぬ故郷・地球を遠くに仰ぎ見ながら生きてきた。
しかし、その運命に抵抗を続ける男がいた。全宇宙に広域指名手配を受ける宇宙海賊キャプテンハーロック(声:小栗旬さん)だ。不滅の肉体を持つと言われる彼は、100年の永きに渡ってガイア・サンクションに抗いながら、ある壮大な計画を実現させるために宇宙を旅し続けていた。
一方、ガイア・サンクションの元老院は、下部組織であるガイア・フリートの長官のイソラ(声:森川智之さん)にハーロックの暗殺を命じた。これを受けイソラは、自分の弟で腕利き工作員であるヤマ(声:三浦春馬さん)をアルカディア号に潜入させるのだった…。
本作はいわばリブート作品で、原作とはストーリーや設定が異なります。本作ではハーロックはいわば呪われた存在で、100年以上生きているとされ、過去に関してダークな部分を秘めています。ハーロックが過去に犯したことと地球に隠された真実、ハーロックの壮大な計画の真の目的には驚かされました。
ヤマは過去にある過ちを犯し、その呪縛から自分を解き放つことができないでいます。そんなヤマにハーロックが言った「自分を縛るものと戦え」というセリフが印象的でした。未熟でどこか危うい部分を持ったヤマが、ハーロックと対峙することで人間的に成長していきます。若きヤマに大きな可能性を見いだすハーロックと、ハーロックのカリスマ性に惹かれていくヤマの関係が面白かったです。
本作では詳細が描かれていませんが、アルカディア号の中央コンピュータには、ハーロックの親友・トチローの魂が宿っています。本作でハーロックが「友よ。これが最後の航海だ」等とコンピュータに語りかけていたのはそうした背景があるのです。アニメ版では若者に地球復興を託し、ハーロックがミーメ以外の乗員を降ろして、トチローの魂が宿るアルカディア号で地球を去るという形で終わっていますが、本作でもまた違った形で若者への継承が描かれています。絶望の危機に瀕しても前に進んでいく精神が、ハーロックからヤマへと継承されていくのです。
アバター』のジェームズ・キャメロン監督からクオリティを絶賛されたという映像の素晴らしさはもちろんのこと、継承と再生、真実を直視することの大切さが描かれていてよかったです。