- 2014年7月21日
テレビ東京系列の毎週金曜深夜の「ドラマ24」枠にて放送されていた連続ドラマ『アオイホノオ』は先日、最終回(第11話)を迎えました。
安田顕さんは庵野ヒデアキ役で、ムロツヨシさんは山賀ヒロユキ役で出演しました。
●あらすじと感想
庵野ヒデアキ(安田顕さん)、赤井タカミ(中村倫也さん)、山賀ヒロユキ(ムロツヨシさん)たちは、岡田トシオ(濱田岳さん)、武田(ぎたろーさん)からの依頼を受けて、大阪で開催された第20回日本SF大会(愛称「DAICON3」)のアニメ制作をおこないました。そのアニメは、音声が出ないトラブルがあったにも関わらず大成功を収めました。
一方、焔モユル(柳楽優弥さん)は、かねてより可愛いと思っていたワンダーマスミこと凩マスミ(小嶋陽菜さん)と直接会って一目ぼれしてしまい、漫画が手につかずにいました。そんな中、大阪芸術大学でもDAICON3のオープニングアニメが上映されます。それを見たモユルは、想像以上の出来に打ちのめされてしまいました。
しかし、庵野が東京に来るよう誘われていたことを南マサヒコ(遠藤要さん)から聞いたモユルは、自分もそうなるべく奮起。集英社の編集者・MADホーリィ(佐藤二朗さん)から言われていた31ページの漫画を完成させて送付し、上京を妄想しながら連絡を待ちます。そしてついにMADホーリィから電話がかかってきますが、君の漫画には根本的に重大な問題点があると言われてしまいました。
MADホーリィから指摘された点に納得がいかないモユルは、少し漫画から距離を置いてみることにします。大学生らしい青春を謳歌するべく恋に走ろうとするモユルですが、ワンダーマスミ、森永とんこ(山本美月さん)にはすでに彼氏がいました。親しくしていた津田ヒロミ(黒島結菜さん)も、モユルが漫画『タッチ』の予告絵について論じる過程で「女の子は絶対ロングヘアがいいに決まってる」と力説したせいか、疎遠になっていました。
青春を謳歌することを諦めたモユルは、読み切り漫画『必殺の転校生』を小学館新人コミック大賞に応募します。見事入賞して「週刊少年サンデー増刊号」でデビューを飾ったモユルは、教室で同級生たちからチヤホヤされますが、なぜか手放しで喜べません。そこへ庵野が現れ、モユルの気持ちを言い当てて、「認められたらすぐに、プロとしての責任感とそれに対する不安が襲ってくるからさ」と、その気持ちのメカニズムを説明してくれました。それから持参してきた掲載雑誌を差し出して、モユルにサインを求めます。この時の場面がなんだか感動的でした。
念願だったバイクを購入することにしたモユルは、バイク屋の店主(島本和彦さん)から行き先を尋ねられて「とりあえず大学まで」と答えます。するとその店主は、「違うぞ若者。おまえはこのバイクに乗って明日に向かって走るんだよ。いいか、大人になってから、学生時代は良かったな…などと振り返るようなくだらん大人にだけはなるなよ」と力強く言いました。大きな声で「はい!」と返事をしたモユルは、バイクにまたがって「俺はもう後ろは振り返らん。プロの漫画家になって常に新しいものを生み出す男として世界を切りひらくのだ!」と宣言しました。
すると、そこで編集者・三上(葉山奨之さん)の呼びかける声が聞こえて、モユルは目を覚ましました。目の前には描きかけの原稿があり、あと3時間であげないと連載漫画を落とすという説明を三上から受けます。そう、そんな時に漫画家・モユルは、学生時代を思い切り一から振り返った夢を見ていたのです。モユルが状況の打開策として言い放った言葉は「あえて寝る!」でした。驚愕する三上とアシスタント4人を前に、モユルは「1時間寝て、残りの2時間にすべてをかけるんだ!」と説明しますが、すぐさまみんなに「無理ですよ、先生!」と言われてしまいました。三上から「先生、それでもあんた本当にプロの漫画家か!?」と問われると、モユルは「俺は誰が何と言おうと、プロの漫画家だ!」と叫び、そのままベッドに向かって寝てしまいました。心配するみんなから「先生!」と大きな声で呼びかけられながらも、モユルが深い眠りについていくところで物語は幕を閉じました。
ドラマ全体の感想としては、内容もさることながら、真剣に悪ふざけをする福田雄一監督の演出がよかったです。ドラマならではのモユルの長いひとり語りや、いたるところに散りばめられた小ネタなどが面白かったですし、キャスティングも絶妙でした。
そして何と言ってもやはり、個性豊かな登場人物が魅力的でした。しかも実在する著名なクリエイターがモデルになっていたりするので、「この物語はフィクションです」という注意書きがあるものの、ついつい重ねて想像して面白さが倍増でした。
また、モデルとなった実在の人物が、本編で別の役としてカメオ出演しているのも面白かったです。例えば、第7話では喫茶店の店員役で山賀博之さん、教習所教官役で武田康廣さん、第10話では銭湯の番台のおばちゃん役で赤井孝美さん、最終話ではバイク屋の店主役で島本和彦さん、漫画の神様・手塚治虫役で岡田斗司夫さんが出演していました。
漫画が登場する場面で、アニメの実際の声優さんが声を担当していたのも興奮しました。例えば、『ナイン』では古谷徹さん、『宇宙海賊キャプテンハーロック』では井上真樹夫さん、『銀河鉄道999』では野沢雅子さんや池田昌子さん、『あしたのジョー』ではあおい輝彦さん、 『みゆき』では鳥海勝美さん、『リングにかけろ』では置鮎龍太郎さんが演じていました。
なにはともあれ、私もモユルたちのように熱く生きていきたいと思いました。