- 2018年9月13日
映画『BECK』は、「月刊少年マガジン」で連載されたハロルド作石さんの同名漫画を、映画『20世紀少年』や『TRICK』シリーズで知られる堤幸彦監督が映画化した作品です。
佐藤健さんは、コユキこと田中幸雄 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
平凡な毎日を送っていたコユキこと田中幸雄(佐藤健さん)が偶然出会ったのは、ニューヨーク帰りの天才ギタリスト・南竜介(水嶋ヒロさん)と、竜介の妹で、映画監督が夢の真帆(忽那汐里さん)だった。竜介は、最高のバンドをつくるという親友への誓いを果たすため、メンバー探しを始める。まず目をつけたのは、ベーシスト・平義行(向井理さん)だ。平は、自分と組みたければ凄いボーカルを連れて来いと竜介に言う。そこで竜介がボーカル候補として平に紹介したのは、卓越したラップで観客を盛り上げる千葉恒美(桐谷健太さん)だ。3人は、即興セッションを行い意気投合する。一方コユキは、竜介との出会いにより音楽の世界へのめりこみ、努力の甲斐もあって才能を開花させようとしていた。コユキについてきた同級生のサクこと桜井裕志(中村蒼さん)もドラムが上手なことが判明。こうして、バラバラの5人が集まったバンド「BECK」が誕生した。
そんな彼らにビッグチャンスが訪れる。バイトで金を貯めてやっとの思いでつくったインディーズCDが、イベント会社メタルグルーの社長・佐藤和緒(松下由樹さん)の目に留まり、彼女の会社が主催する最高峰のロックフェス「グレイトフル・サウンド」に出場することが決まったのだ。すべてが順調にいってるかに見えた「BECK」だが、J-POP界で大きな発言力を持つ音楽プロデューサー・蘭(中村獅童さん)に敵視されて妨害されたり、竜介の持つギターにまつわるある秘密が原因で、様々な問題に巻き込まれるのだった…。
時に激しく衝突しながらも、苦難と挫折を乗り越えて夢に向かって突き進む若者たちの姿には、理屈抜きで感動しました。コユキと真帆の恋物語も、甘く切なくてよかったです。
日本最大の野外ロックフェスティバル「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」の協力を得て撮影されたライブシーンも見ごたえがありました。メンバー、スタッフ、そして1500人の観客が一体となったライブシーンに心を揺さぶられました。
ただ、コユキのボーカルレスの演出は、賛否両論あるところでしょう。聞く人を一瞬にして魅了する天性の声の持ち主であるコユキ。堤監督はそれを表現するのに、コユキが歌っている様子と聴いている人が魅了されている様子を見せつつも、バンドの演奏しか聞こえないというスタイルにしました。コユキの歌無しは原作者の希望でもあったそうです。人によって好みが違い、すべての人を魅了する歌声を表現することは困難ですから、その演出もありだとは思いました。でも、個人的な感想としては、最後のライブシーンでは、やはり物足りなさを感じてしまいました。
なにはともあれ、王道的な青春物語なので、細かいことを気にしなければ十分楽しめる作品だと思います。