20世紀少年 (唐沢寿明さん)

karasawatoshiaki

唐沢寿明さんは、現在公開中の映画『20世紀少年』に主人公・ケンヂ(遠藤健児)役で出演しています。
昨日はいわゆる映画の日で、1000円で鑑賞できるということもあって、久しぶりに劇場に足を運びました。
●導入部のあらすじと感想
翌年に大阪万博開催を控え、人類が初めて月に降り立った1969年頃、小学生のケンヂこと遠藤健児は、同級生の仲間たちと空き地の原っぱに秘密基地を作って、仲間の印であるマークも考案される。地球滅亡をもくろむ悪の組織によって、世界各地に細菌がばらまかれ、東京は組織によって作られた巨大ロボットによって破壊し尽くされ、それに立ち向かい地球を救う正義のヒーローたちが現れるというような空想遊びをし、それは“よげんの書”と名付けられたスケッチブックに書き残される。
悪者から地球を守ることが夢だった少年・ケンヂは、その後ロックに目覚め、大学時代にバンドを結成するが、成功を納める事なくバンドは解散。今は失踪した姉・貴理子(黒木瞳さん)の子ども・カンナを育てながらコンビニを営み、コンビニの本部教育員に叱られっぱなしのしがない中年男となっていた。
そんなある日、同窓会で会った旧友から、“ともだち”と呼ばれるカリスマが率いる集団が、ケンヂたちの使っていたマークを掲げ勢力を伸ばしていることを知る。一家で失踪したお得意先の教授の家の壁にもそのマークがあり、気になっていたケンヂは、思いがけない形でそのマークを再び目にすることになる。それは、少年時代の仲間の1人だったドンキーこと木戸三郎(生瀬勝久さん)が生前ケンヂに送った手紙である。その手紙は「このマークを覚えているか?」という質問と今度会おうという内容のものだった。ドンキーは自殺として警察に処理されたが、その手紙の存在をドンキーの葬式当日に知ったケンヂは疑問を持ち、調査を始める。すると、同窓会の時にも話に出た“ともだち”にたどり着く。やがて、ケンヂは、世界各地の異変が、自分たちが少年時代に作った“よげんの書”通りに起こっていることに気付く。
そんな中、予知夢を見ることができる“神様”と呼ばれるホームレス(中村嘉葎雄さん)の計らいで、ケンヂは“ともだち”の元から逃げてきた血まみれの男(遠藤憲一さん)と会い、その男がドンキーを殺したことを告白する。怒り悲しむケンヂに、その男はドンキーの最後の伝言を手渡して息絶える。その伝言には、“ともだち”は本当に地球を滅ぼそうとしていることなどが記されていて、最後に、「お前にしかできない。地球を救え」というメッセージが書かれていた。
ケンヂは“ともだち”のコンサートに乗り込み、“ともだち”と遭遇するが、“ともだち”はお面をしていて誰だか分からない。“ともだち”はケンヂに自分がカンナの父親であることを告白し、ケンヂを会場から追い出す。
大阪で病原体がばらまかれたり、羽田空港が爆破される。カンナが拉致されそうになった挙句、ケンヂのコンビニが放火される。そして、ケンヂは、家の焼け跡から、少年時代に埋めたと思われる“よげんの書”を発見する。
ケンヂは“ともだち”によって、テロリストの汚名を着せられてしまった。それにもめげずに“ともだち”との対決を決意したケンヂの呼びかけにより、少年時代の仲間たちが集まる。それは、オッチョ(豊川悦司さん)、マルオ(石塚英彦さん)、ヨシツネ(香川照之さん)、フクベエ(佐々木蔵之介さん)、モンちゃん(宇梶剛士さん)、そしてユキジ(常盤貴子さん)。彼らは拳銃やダイナマイトを用意し、地下道に作ったアジトで決戦の時に備えていた。そんな時、国会議事堂が爆破されるという事件が起きる。それは人類滅亡へののろしを意味するのだ。そして迎えた2000年12月31日。東京都心に巨大ロボットが出現し、細菌をばらまきながら街を破壊していく。状況は絶望的だが、ケンヂたちは現実から目をそむけずに、地球の平和を守るために立ち上がるのだった…。
原作は、1999年から2006年まで「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載された浦沢直樹さんの青年漫画です。単行本は「20世紀少年」が全22巻、「21世紀少年」は上・下巻の2巻が発売されました。今作〈第1章〉は、原作の5巻目途中、2000年の“血のおおみそか”までにあたります。
私は原作を途中までしか読んでいませんが、基本的には原作通りの展開という印象でした。
邦画では異例の60億円という製作費を投入しただけあって、映像も凄く、出演者の役者陣も実力派の方が多く安心して観ることができました。配役も原作のイメージにとても近いと思いました。
残念だったのは、時間の都合と思われますが、それぞれの登場人物に対する感情面における掘り下げが弱く感じたことです。例えば、ケンヂの呼びかけにより、少年時代の仲間たちが集まりますが、世間的には犯罪者であるケンヂに、命を懸けてまで協力する動機がいまひとつ見えてきません。ユキジはケンヂに思いを寄せている節があるのでまだ分かりますが、その他の男性メンバーは、それほどまでに友情があったということなのでしょうか。それとも“よげんの書”を知っている者として、地球をなんとしても救いたいという使命感からなのでしょうか。いずれにせよ、もう少しそれに関する描写がほしかったです。
“ともだち”の正体。私は原作を途中までしか読んでいませんので、あくまでも推測なんですが、コンサートでお面を被っていた人は、背丈や体格、耳の形からしてフクベエのように見えました。フクベエは、巨大ロボットを遠隔操作している疑いのあった人と揉み合って、一緒にビルから転落してしまいましたが、実はそれもわざとで、何らかの仕掛けで生きているのではないかと私はにらんでいます。
2014年、漫画家を志望する青年・角田(森山未來さん)は、世界を救ったヒーローが実はその事件を起こした張本人だったという内容の漫画を描いてネットに公開したところ、新青少年保護育成条例違反で逮捕されてしまいました。それは、今後、ケンヂではなく“ともだち”が世界を救った者として称えられるであろう展開を考えると、漫画の内容が偶然“ともだち”のとった行動と似ていたためと思われます。
第1章の最後には、成長したカンナ(平愛梨さん)が登場しました。『20世紀少年』は3部作の予定で、第2章は2009年1月31日、第3章は2009年秋公開予定です。