20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

tomodachi

『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』は、浦沢直樹さんの長編漫画「20世紀少年」と完結編である「21世紀少年」の2作を、邦画史上初の3部作で実写映画化したうちの最終章です。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
「世界大統領」となった“ともだち”が、世界を支配する“ともだち歴3年”(西暦2017年)。殺人ウイルスがまん延する東京は高い壁により分断され、都民の行動は監視されて完全に制限されていた。
そして“ともだち”は「8月20日正午、人類は宇宙人に滅ぼされる。私を信じる者だけが救われる」という声明を発表。それは、その日時に新たな殺人ウイルスがばらまかれることを意味していた。
反政府組織“ゲンジ一派”を率いるヨシツネ(香川照之さん)と袂を分かち、より過激な組織“氷の女王一派”を束ねるカンナ(平愛梨さん)は、武装蜂起を企てる。かつて母親代わりだったユキジ(常盤貴子さん)はカンナの身を案じるが、暴走を止められないでいた。
壁を乗り越えて東京に侵入して地球防衛軍の追跡を振り切ったオッチョ(豊川悦司さん)は、ヨシツネとカンナが生きていることを知り喜ぶ。さらに東京の水面下で流行しているという歌を聴いて驚く。オッチョは、カンナに接触して、ケンヂ(唐沢寿明さん)が生きている可能性があることを告げる。その根拠は流行している歌にあった。
国民的歌手・春波夫(古田新太さん)と行動を共にするマルオ(石塚英彦さん)は、ケンヂの姉で、行方不明になっていたキリコ(黒木瞳さん)の居場所を突き止めて訪れる。そこには、ケロヨン(宮迫博之さん)がいた。血の大みそかの際にケンヂからの誘いを断って以来罪の意識を背負い続けていたケロヨンは、殺人ウイルスのワクチンの開発をしているキリコに協力していたのだ。
そんな中、ギターを背負い、歌を口ずさみながら、バイクで東京を目指す男がいるのだった…。
本作の最大の見どころは、試写会では放映されなかったというエンドロール後のお話でした。そこでケンジたちの平和に見えた少年時代に実は何があったのかが明かされ、“ともだち”の本当の正体と、なぜ“ともだち”が誕生したのかがわかる仕組みになっていました。第1章や第2章の中に出てきた何気ないセリフが伏線になっていたりして驚きました。そして、“ともだち”誕生の裏にも、人の言動が大きく影響していて、いろいろと考えさせられました。人が発する言葉は、時として相手を絶望のどん底まで突き落とすこともあれば、勇気と力を与えてくれる場合もあります。第1章でケンヂが発した「命が危ないと思ったら、一目散に逃げてくれ」という言葉は、第3章でもいかされていました。
この作品で大事なのは、“ともだち”が誰なのかというよりは、なぜ“ともだち”が誕生したのかという点にあったのだと思いますが、エンターテインメント性を重視したためか、どちらかというと、“ともだち”が誰なのかという謎解きに重点が置かれた作りになっていたように感じられたのが残念でした。とは言え、印象に残る場面がたくさんありましたし、話もきちんとまとめられていて、全3部作を見終えた充実感や達成感も味わえて良かったです。

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