dinner 最終回 (江口洋介さん & 倉科カナさん)

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フジテレビ系列にて毎週日曜夜9時から放送されていたドラマチック・サンデー枠の連続ドラマ『dinner』は先日、最終回(第11話)を迎えました。
江口洋介さんは江崎究 役で、倉科カナさんは辰巳沙織 役で出演しました。
●あらすじと感想
オーナーシェフの辰巳日出男(風間杜夫さん)がくも膜下出血で倒れ、評判も売り上げも落ちたイタリアン・レストラン「Ristorante Roccabianca(リストランテ・ロッカビアンカ)」。辰巳の娘で支配人の沙織(倉科カナさん)は、辰巳と同じくトリノの有名店「TERESA(テレーザ)」での修業経験がある江崎究(江口洋介さん)を新料理長に迎えることにしました。江崎は「料理の味を決めるのは、チームワークや愛情より1gの塩」と言い切ります。その手腕は確かであるものの、「料理は愛情である」をポリシーとする辰巳とは性格や料理観などが大きく異なっていて、「ロッカビアンカ」の人たちは戸惑いました。でも“料理オタク”ともいえる江崎の料理に対するプロ意識や楽しむ心に触発されてか、一人一人が次第に自分の個性を生かしながらそれぞれの役割をしっかり果たすようになってきました。
最終回では、副料理長の今井耕助(松重豊さん)が頭角を現し、江崎は自分の引き際を悟ります。しかし、今井は自分に対する“自信”がありません。そんな中、イタリアンレストランの世界的格付けガイドブック「カーザ・トリーノ」の格付け審査員が来店。子羊を使った2種類の料理を1皿で楽しみたいとの急なオーダー変更があり、江崎と今井がそれぞれ1品ずつ作り、まかないを賭けて勝負をすることになりました。結果は今井の勝利。その夜、江崎は、「テレーザ」から新しくオープンするシンガポール支店の料理長就任のオファーの話が来ていることを理由に店を辞めることを告げます。その直後、辰巳が目を覚ましたとの病院からの連絡が入ると、みんなは辰巳のもとへ駆けつけ、面識がないとして一人残った江崎は約束のまかない料理を作り、そのまま黙って「ロッカビアンカ」を去っていきました。
1カ月後、「ロッカビアンカ」は、辰巳が車椅子で復帰して食材を沙織と共に買いつけ、今井が料理長を務めています。なんと「カーザ・トリーノ」の格付けでアジア初の2つ星も獲得しました。実は「テレーザ」からのオファーを断っていた江崎は、再び下町の食堂あたりでシェフをしているようです。厨房にてラジオのニュースによって「ロッカビアンカ」の2つ星獲得を知った江崎は、人知れず喜んでガッツポーズをするのでした…。
江崎の「食材×調理方法=味」という方程式には“愛情”が必要最低条件でした。決して辰巳と相反するものではなかったのです。
江崎がイタリアンを始めたのは、「ロッカビアンカ」で辰巳の料理を食べたのがきっかけでした。江崎は辰巳に憧れて、その背中を追うようにイタリアへ渡り「テレーザ」で修業したのです。そんな江崎が「ロッカビアンカ」を辞めた後、買いつけの市場で辰巳と偶然出会い、何も知らない辰巳に「ロッカビアンカ」は最高の店だと話して去っていく場面が印象的でした。さらにその場を離れていた沙織が戻ってきて、江崎の後ろ姿を見つけて追いかけるものの見失ってしまいます。ベタではありますが、なんとも心憎い演出でした。
劇的なことが起きるわけでもなく、大して伏線もないままに物語が進んでいくことに最初は違和感を覚えていましたが、気が付くと「ロッカビアンカ」の日常を覗き見ることにハマっていました。なんだか「ロッカビアンカ」はどこかに本当に存在している気さえしてきます。私にとってそういう風に思わせてくれるような、ある意味癒されるドラマでした。

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