- 2011年10月24日
柄本明さんは、日本テレビ系列にて毎週土曜夜9時から放送されている連続ドラマ『妖怪人間ベム』に名前の無い男と緒方晋作 役で出演しています。
一昨日は第9話が放送されました。
●あらすじと感想
今回はついに謎の男〔=名前の無い男(柄本明さん)〕の正体が明かされました。
その容姿から、緒方家の祖先に当たる生物学者で人間を創り出す研究をしていた緒方晋作博士かと思われましたが違いました。彼はベム(亀梨和也さん)たちの元となる細胞から別に分裂した緑色の液状生命体で、元々心臓が弱かった晋作が研究途中で絶命するのを見て、このままでは人間になれずに朽ちてしまうと感じ、その時“生きたい”という強い衝動に駆られ、晋作の体を奪ったのです。つまり、彼の表面上の体は晋作の死体で、本当の体は緑色の液状物質なのです。その後、誰もいなくなった研究室で、ビンに残された細胞が3つに分裂して、ベム、ベラ(杏さん)、ベロ(鈴木福さん)が誕生したようです。名前の無い男とベムたちは元々は同じ細胞で、いわば兄弟というわけです。
それからというものベムたちは人間の失敗作として辛い道のりを歩んでいくことになります。ベムたちは自分たちの境遇を緩やかに理解し、人間になるために自分たちを生み出したであろう博士を求めて旅を始めたのです。何十年も経った後、ベムたちと名前の無い男は遭遇します。その時も名前の無い男は現在と同じように、心に闇を抱えた人間に接触しては緑色のスライム状の物質を目に送り込んで心の闇を増幅させ、犯罪を引き起こしていました。そのことを知ったベムたちは名前の無い男と語り合って説得しましたが分かり合うことができず、対決することになりました。激しい死闘の末、名前の無い男は深手を負い、ベムたちは記憶を失ったというわけです。
現在、双方は再び会い、名前の無い男によってベムたちはすべてを思い出したわけですが、やはり分かり合うことはできません。名前の無い男の言い分は、人間は善と悪が混在し、悪の部分を自分の中に隠しこもうとしていて苦しそうなので、悪の感情を解放してあげて救っているというものです。その後でどのような悪に手を染めるかはその人間が元々持っていた悪の心次第で、初めから悪の感情が無ければ、何にも起こりはしないと主張します。さらに、ベムたちに自分を受け入れてもらうために、人間が善と悪の両方を併せ持つ生き物であるということを知ってもらう必要があって、ベムたちの身近にいる人間たちの感情を解放してきたのだと言いました。そして、なんと、自分なりに研究を進めた結果、人間になる方法が見つかったと告げます。名前の無い男は、ベムたちはどんなに疎まれようが人間を救おうとする“善”の性質があり、自分は人間の悪を解放することを自らの存在意義だと考える“悪”の性質があると説明した上で、人間は善と悪の両方を併せ持つ生き物なのだから、悪である自分を善であるベムたちの中に取り込むことが人間になる唯一の方法だと言うのでした…。
犯人を殺めるところまではいきませんでしたが、刑事であるにもかかわらず、亡くなった息子のことを考えると自分を抑えられなくなった夏目章規(北村一輝さん)は、自分は正義の人を気取っていただけだったと落胆します。そんな夏目に大学教授・緒方浩靖(あがた森魚さん)が励ますように言った「人間だってただの動物だ。理性のまま生きれるわけじゃない。感情のまま動きたくなる時だってあるさ。そんな危うい境界線上をふらふらとしながら何とか生きてる。そんな感じじゃないのかな。正義の人でいようとする、それだけでいいじゃない」という言葉が印象的でした。
次回はいよいよ最終回です。名前の無い男とベムたちの会話を立ち聞きしてしまった夏目はどう動くのか、そして、ベムたちはどう選択するのか気になるところです。