すずめの戸締まり (Suzume)

suzume

アニメーション映画『すずめの戸締まり』は、『君の名は。』、『天気の子』などの新海誠さんが監督・脚本・原作を務めています。
先日、劇場に観に行きました。以下ネタバレ注意です。
主人公の岩戸鈴芽(声:原菜乃華さん)は、九州の静かな町で暮らす17歳の高校生です。ある日、彼女は登校中に廃墟の扉を探しているという青年・宗像草太(声:松村北斗さん)と出会います。人の住まなくなった集落がある山のことを教えた鈴芽は、後から気になって草太の後を追いかけました。すると、草太の姿は見当たりませんでしたが、水が溜まっている広場にぽつんとある古い扉を見つけました。何かに引き寄せられるように、鈴芽が扉に手を伸ばして開けてみると、扉の向こうには、広い草原と不思議な色をした空が広がっていました。その中へ入っていくと、なぜか元の広場の景色に戻ってしまうのでした…。
様々な要素が詰め込まれていて面白かったです。
2011年の震災で母親を亡くした鈴芽の成長物語。椅子にされてしまった閉じ師の草太と、彼を元の姿に戻そうとする鈴芽との恋愛物語。“後ろ戸”というドアを閉めることで日本各地で起きる地震による災害を防いでいく戸締まりの物語など、見どころが多くありました。
“場所を悼む”という発想も興味深かったです。つまり、かつての賑わいが失われた場所ともそこにいた人々の思い・記憶とも向き合って、弔いながらきちんと悲しみに別れを告げるといったことです。災いをもたらす扉を閉めるには、その場所を悼むことが必要なのです。鈴芽と草太たちが九州から四国、神戸、東京を経て東北へと各地の扉を閉める旅をするロードムービーになっていました。
鈴芽たちが旅の途中で出会う、民宿の娘・海部千果(声:花瀬琴音さん)やスナックのママ・二ノ宮ルミ(声:伊藤沙莉さん)たちもいい味を出していました。鈴芽と叔母・環(声:深津絵里さん)の関係性、草太と友人・芹澤朋也(声:神木隆之介さん)の関係性も興味深かったです。
冒頭の幼少期の鈴芽の記憶と終盤の出来事が繋がっているのも見事だと思いました。鈴芽は自分自身と向き合い、悲しみを受け入れ、未来に目を向けるようになります。「行ってきます」「ただいま」といった言葉も心に響きました。

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