天気の子 (Weathering With You)

tenkinoko

アニメーション映画『天気の子』は、『君の名は。』などの新海誠さんが原作・監督・脚本を務めています。
先月、劇場に観に行きました。以下ネタバレ注意です。
物語は、本作のヒロイン・天野陽菜(声:森七菜さん)が不思議な能力を手に入れるところから始まります。それから1年後、高校生の森嶋帆高(声:醍醐虎汰朗さん)が離島から家出して、天候不順で雨が降り続ける東京にやって来ます。しかし数日でお金が尽きてしまい、帆高は東京に向かう際にフェリーで出会った須賀圭介(声:小栗旬さん)を頼ります。圭介は事務所唯一の従業員・夏美(声:本田翼さん)と共に零細編集プロダクションを営んでいました。帆高は住み込み・食事付きの条件に惹かれてそこで働くようになります。そして早速、オカルト雑誌の企画で「100%の晴れ女」がいるという都市伝説を取材することになりました。そんな中、帆高は東京に来たばかりの時にファーストフード店で出会った天野陽菜と再会します。彼女こそがその晴れ女で、祈るだけで短時間・局地的ではあるものの確実に晴れ間を呼び寄せるという能力を持っていました。小学生の弟・凪(声:吉柳咲良さん)と二人だけで暮らしていて、お金に困っている様子の陽菜を見た帆高は、晴れ女の能力で商売することを思いつきました。晴れの天気を届ける仕事は次第に評判を呼び、ささやかな幸せを感じるようになった陽菜と帆高。しかし、その日々は長くは続かないのでした…。
『君の名は。』同様に映像がとても美しかったですし、主題歌や挿入歌などの音楽も物語とよくマッチしていて感情が揺さぶられました。帆高や陽菜以外の登場人物もそれぞれ何かしらのバックボーンが感じられて存在感がありました。『君の名は。』に出ていた主人公・立花瀧(声:神木隆之介さん)やヒロイン・宮水三葉(声:上白石萌音さん)たちが登場したのもなんだか嬉しかったです。
主人公の帆高と社会の価値観が対立するところも印象的でした。本作に出てくる大人の大半は、帆高たち子どもにとって邪魔もしくは役に立たない存在として描かれていました。大人は社会に属していて、子ども側からすると自由を奪い自分たちを欺いて型にはめようとする厄介者に見えるのかもしれません。そんな大人たちに反抗しながら自分の居場所を追い求める帆高の姿が、劇中で帆高が所持していた本「The Catcher in the Rye – ライ麦畑でつかまえて」(J・D・サリンジャーによる長編小説)の物語に出てくる主人公の少年と重なりました。青春物語として楽しめましたし、まだ青き帆高たちが選択を貫くお話としても興味深かったです。