SCOOP! (福山雅治さん)

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映画『SCOOP!』は、1985年の原田眞人監督・脚本の映画『盗写 1/250秒』を原作に、『バクマン。』などの大根仁監督がメガホンを取った作品です。
福山雅治さんは、主人公・都城静 役で出演しています。
一昨日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
カメラマンの都城静(福山雅治さん)は、かつては写真週刊誌「SCOOP!」に所属し、数々の伝説的スクープを手にしたスター的存在だった。しかし今ではその面影は無く、多額の借金を抱えながら、フリーランスの芸能スキャンダル専門のパパラッチとして自堕落な生活を送っていた。
そんなある日、静はかつて「SCOOP!」でコンビを組んだことがあって現在は副編集長になっている横川定子(吉田羊さん)から高額報酬の仕事を請け負う。ただし条件があって、それは「SCOOP!」に配属されたばかりの新人記者・行川野火(二階堂ふみさん)とコンビを組むことだった。
静は、場数を踏んで培ったベテランならではの勘を発揮し、腐れ縁の情報屋・チャラ源(リリー・フランキーさん)の協力のおかげもあって、野火と共に次々と芸能人の独占スクープをものにしていく。それに伴って雑誌も驚異的な売り上げを記録していく。
そんな中、いわゆる松永事件が発生して日本中の注目を集める。現場検証を松永太一本人立ち会いのもと行うことになり、静たちは松永の現在の顔写真を入手するために大胆な作戦に出るのだった…。
静と野火は、芸能人がよく出没するとされる六本木や西麻布、中目黒、恵比寿などでネタ探しをします。きちんと取材に基づいた演出がなされているとのことで、飲み屋や風俗店、小道具や設定など細部にこだわりが感じられて説得力がありました。ビルの屋上から花火を打ち上げてスクープを狙ったり、半グレに絡まれるシーンなどもリアリティがあって面白かったです。
最初は全く噛み合わない静と野火でしたが、次第にカメラマンと記者として互いを認める存在になっていきます。野火との出会いでかつての仕事への情熱を取り戻していく静。静のおかげで一人前の記者に成長していく野火。そんな2人の関係もよかったです。
静と定子、静と馬場(滝藤賢一さん)、そして静とチャラ源の関係性も興味深かったです。定子は静と以前恋仲になったことがあり、今も静のことを気にかけています。野火と組ませたのは、新人教育のためでもありましたが、再び静を表舞台へ復帰させたいという思いからでもありました。
定子と同様に副編集長である馬場は、現在はグラビア班を仕切っていますが、以前は事件班にいて静と組んで大きな仕事をこなしたこともあるようです。そんな馬場が静との思い出を語るシーンは、内容こそ下世話な話でしたが関係性が察せられて状況等もあいまって感動的でした。
チャラ源は過去に逮捕されたことがあり、その事件にはどうやら静も関わっていたようです。その時に静はチャラ源に助けてもらったようで大きな借りを感じていました。そのこともあって、チャラ源の闇の部分を知りながらも目を瞑って交遊を続けていたようです。でもチャラ源はやがてその自らの闇に飲み込まれて、取り返しのつかないことをしてしまいます。チャラ源 役のリリー・フランキーさんの演技が真に迫っていて凄かったです。
ラストで野火が撮った写真も印象的でした。それは静が中学生の時に見てカメラマンを目指すきっかっけとなった戦場カメラマンのロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」と呼ばれている写真と似ていました。実はその写真は、キャパが撮影したものではなく、彼の恋人で写真家活動のパートナーであったゲルダ・タローが撮ったものではないかという説もあります。深読みし過ぎかもしれませんが、静が最後に愛した野火がその写真に似たものを撮るというのもなんだか感慨深かったです。
静が野火に話した「いつか何者かになれると思ってただけなんだろうな。結局カメラしかないんだろうな、俺には」といった言葉も印象的でした。中年の悲哀とルーキーの成長、世代交代など、いわゆる諸行無常も感じました。