恋は雨上がりのように (小松菜奈さん)

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映画『恋は雨上がりのように』は、眉月じゅんさんによる同名漫画を実写映画化した作品です。『世界から猫が消えたなら』などの永井聡監督がメガホンを取っています。
小松菜奈さんは橘あきら役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
17歳の高校2年生・橘あきら(小松菜奈さん)は、『cafeレストラン ガーデン』でウェイトレスのアルバイトをしている。店長は、バツイチで別れた妻との間に息子が1人いる45歳の男性・近藤正己(大泉洋さん)だ。店員に威厳を示せず、客のクレームにはペコペコ頭を下げる、うだつが上がらない典型的な“冴えないオジサン”だが、実はあきらはそんな店長に密かな恋心を抱いていた。
あきらは高校では陸上部に所属し短距離走のエースとして活躍していたが、練習中に右足のアキレス腱断裂の重傷を負った。失意の中、術後の経過観察をしてもらっている病院の帰りに、たまたま雨宿りで立ち寄った『cafeレストラン ガーデン』で、店長・近藤と出会った。近藤は元気のないあきらのことを気にかけ、コーヒーをサービスしてちょっとした手品を見せた。そんなやり取りがあきらの心を大いに励ますこととなり、その後、あきらはアルバイトとして同店に入ったのだ。
ある日、客が店に携帯を忘れて帰ってしまい、それを知ったあきらが後から走って追いかけた。相手は自転車であったが、あきらの足が速かったおかげで信号のところで追いつき、携帯を渡すことができた。しかしその後、あきらは店先で足を痛がってしゃがみこんでしまう。近藤は慌ててあきらの腕を自分の肩に回して車に乗せ、病院へ連れて行く。原因は軽い炎症だった。家に帰ったあきらは、車に乗せてもらう際に近藤に触れられたことを思い出していた。
翌日、足のケガで暇していたあきらは、松葉杖でコンビニへ向かう。するとメモを見ながら歩く近藤の姿を見つけて声を掛ける。近藤はあきらの親にお詫びに行くところだった。あきらが親は仕事で留守中だと伝えると、近藤は近くのファミリーレストランに誘った。近藤はあきらの足のケガを気遣い、お詫びに御馳走すると言う。そんな中、近藤への想いを抑えきれなくなったあきらは、ついに近藤に告白するのだった…。

陸上部に所属し短距離走のエースとして活躍していたが、ケガをして部活から遠ざかっているあきら。小説家を志望していた時期があり、今でも夢を捨てきれず密かに執筆を続けながらファミレスの店長をしている近藤。そんな2人が結果的にお互いに良い影響を与え合うところがよかったです。
近藤があきらに言った、やりたいことを止める理由がただの諦めだとしたら立ち止まることになってしまうという言葉が印象的でした。それは間違いなく近藤自身の経験からきた言葉でしょう。また「若さっていうのは時に乱暴で狂暴なものなんだ。それでもその時に感じた感情というのは、いずれかけがえのない財産になる。今はわからなくても…」という言葉も心に響きました。あきらは、短距離走のライバル・倉田みずき(山本舞香さん)の出現、幼馴染で親友の喜屋武はるか(清野菜名さん)との友情、そして何よりあきらのことを思いやってくれる近藤のおかげで、陸上部に復帰することにしました。
自身のことを「何をやっても中途半端で人に誇れることなんて何ひとつない」と言っていた近藤は、若くて希望に満ち溢れていてキラキラ輝いているあきらと関わることにより、忘れかけていたかけがえのない財産を思い出し、停滞していた執筆を再開することができました。
近藤の大学時代からの友人で売れっ子小説家の九条ちひろ(戸次重幸さん)が近藤に言った言葉も印象的でした。それは、夢を諦めきれないことを“未練”と言う近藤に対し、「“未練”じゃない。“執着”と言うんだ。小説が好きで仕方がない。だから執着する」と指摘したことです。否定的で消極的なイメージの事柄が、言い方ひとつで肯定的で積極的な意味合いに感じられるというのも新鮮でした。そしてかなり久しぶりに会ったにもかかわらず、大学時代の頃のように話せる近藤とちひろの関係性もなんだかよかったです。ちひろが近藤に言った「俺たちは大人じゃない。同級生だろ」という言葉には、そういった意味も込められているのでしょう。
ラストで近藤とあきらが土手の上で再会するシーンも感動的でした。特にあきらの表情が素晴らしかったです。とことん真っ直ぐなあきらととことん誠実な近藤。そんな不器用ともいえる2人が人生の雨宿りの中で出会い、お互いに良い影響を与え合って、再び夢に向かって動き出す。そんな2人の姿が雨上がりの青空のように爽やかで清々しく、観ているこちらも心が洗われる思いがしました。
ちなみにGYAO!にて本作のスピンオフドラマ『恋は雨上がりのように~ポケットの中の願いごと~』も配信中です。映画では、あきらと近藤を中心にストーリーが展開していきますが、同作では、あきらのアルバイト仲間である西田ユイ(松本穂香さん)と、同じくアルバイト仲間であきらのクラスメイトでもある吉澤タカシ(葉山奨之さん)の2人の恋愛模様が描かれています。映画と並行する時間軸で物語が展開していて、エピソードもリンクしていて面白かったです。