- 2012年1月14日
映画『あしたのジョー』は、昭和40年代に講談社の「週刊少年マガジン」に連載された同名漫画を実写化した作品です。
山下智久さんは、矢吹丈 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
昭和40年代、東京のドヤ街でケンカに明け暮れていたジョーこと矢吹丈(山下智久さん)は、その天性の身のこなしから、アル中の元ボクサー・丹下段平(香川照之さん)にボクサーとしてのセンスを見出される。しかし、問題を起こして警察沙汰になったジョーは少年院へと送られてしまう。
ある日、少年院のジョーあてに、「あしたのために」の書き出しで始まる段平からのハガキが届く。その内容は、左ジャブの打ち方から始まるボクシング技術の講義であった。ジョーは、試しにそのアドバイスに従ってパンチをしてみたところ、今までと比べ物にならないほどパンチの切れが向上してゆくのを実感する。
少年院でも乱闘騒ぎを起こすジョーは、事件を起こして少年院に入れられてなければ今頃チャンピオンであったといわれるプロボクサー・力石徹(伊勢谷友介さん)に打ちのめされる。そのことがジョーをボクシングの道へと向かわせる。力石はジョーの秘められた才能を身を持って感じ取り、ライバルとして一目置く。
やがてプロのリングに戻った力石は、圧倒的な強さで世界タイトルに手が届くところまで登り詰める。そして、ジョーもまたプロボクサーとなり、日々成長を遂げていくのだった…。
昭和40年代に社会現象を巻き起こし、戦後最大のヒット漫画の1つに数えられる『あしたのジョー』。本作はその原作のうち、ジョーと力石との出会いから宿命の対決までが描かれています。私は昭和50年代生まれなのですが、再放送でアニメを観たことがあります。観たのは子どもの頃なので記憶がおぼろげですが、泪橋や橋の下のおんぼろジム、クロスカウンター、ノーガード(両手ぶらり)戦法などを見て懐かしさがこみ上げてきました。
力石との闘いを目標にどん底から這い上がってきたジョー。ジョーとの階級の差を埋めるために過酷な減量を乗り越えてきた力石。そんな2人の宿命の対決は興奮しました。特にジョーとの対決に向け、命懸けの減量に臨む力石の姿は鬼気迫るものがありました。そして、やはり目を奪われたのは2人の肉体美です。山下さんと伊勢谷さんは、この映画のためにハードトレーニング&減量で、過酷なまでの肉体改造に挑戦したそうです。その成果は十分出ていました。
白木葉子(香里奈さん)の設定がいじられていたり、全体的に綺麗過ぎて泥臭さが足りなかったりと、原作やアニメファンの方からすると不満な点は多々あるかもしれません。また、この映画単体で判断すると、何が2人をあそこまで駆り立てたのかとか、力石との最後の対決後にジョーが苛まれたであろう絶望感と罪悪感など、説明や描写が不足していていまいち伝わりづらい感じもしました。ただ、映画の時間枠を考えると、よくまとまっていたと思います。
「明日ってやつは、今日という日を綺麗ごとだけで過ごしてたんじゃ永久に来ない。血にまみれ、汗や泥にまみれ、傷だらけになって、そんな今日という日があるからこそ、明日が来るんだよ」という段平の言葉が身にしみました。私も「あしたのために」努力を惜しまず精進していかなければいけないと改めて思いました。