ヒア アフター (マット・デイモン)

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映画『ヒア アフター』(原題:Hereafter)は、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務め、クリント・イーストウッドが監督を務めた作品です。
マット・デイモンは、ジョージ 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
サンフランシスコに住むジョージ(マット・デイモン)は、死者と話すことができるという能力を持ち、かつて霊能者として活動していた。しかし、霊能力を使うことで人間関係に支障をきたして人生に疲れ、自分の才能を“呪い”だと嫌悪するようになり、今は霊能者としての過去を隠して生きている。
パリで活躍するジャーナリストのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、津波にのまれて生死の境をさまよった時に見た不思議なビジョンが頭から離れない。
ロンドンに住む少年マーカス(ジョージ・マクラレン)は、双子の兄を交通事故で失ってしまい、もう一度兄と話すことを望んでいる。
大きな喪失感を抱えた3人は、それぞれ死の意味を模索するのだった…。
死者の声を聞く者、臨死体験をした者、身近な人間を亡くした者の3人の物語です。3人はそれぞれ“死との隣接”を実感します。そして3人の運命はやがて交錯し、生きることの大切さを見いだしていきます。その過程は穏やかで淡々としています。それがリアリティを感じさせる要素の1つになっているのかもしれません。映画のタイトル“Hereafter”は来世といった意味がありますが、本作では死後の世界がスペクタクルな映像で繰り広げられるというようなことはありません。あくまでも舞台は現実の普通の世界で、“生きている人”に焦点をあてています。劇的なこともほとんど起こらないので、人によっては退屈に感じるかもしれません。私は味わい深かさや優しさ、温かさを感じました。運命としか言いようのない奇跡的な出会いを果たした3人が前向きになって新たなる一歩を踏み出していく姿は感動的でした。ただ、残念なことにこの作品のテーマであろう“生きることの素晴らしさ”といったものは、登場人物と同じような死との隣接を実感する経験がなければ、本当の意味での理解は困難かもしれません。とは言え、死まで関係していないにしろ、時間を戻したいというような出来事は誰しも経験していることでしょう。そして時間を戻すことはできません。そのような状況で私たちができることは、悔いを残さぬよう努めること、今を大切に生きることでしょう。
冒頭で、東南アジアの小さな海辺の街が巨大な津波にのみ込まれるというシーンがあるんですが、怖いくらいに迫力があり印象的でした。