鉄の骨 最終回 (陣内孝則さん)

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陣内孝則さんは、NHKで毎週土曜夜9時から放送されていた土曜ドラマ『鉄の骨』に尾形総司 役で出演しました。
先週は最終回(第5回)が放送されました。
●あらすじと感想
富島平太(小池徹平さん)の知り合いの何人かが業界の中で居場所を失った。1人は、平太の元上司で、バイパス工事を取り損ねて左遷された遠藤安男(豊原功補さん)。もう1人は、舗装の下請けの社長で、平太の一谷組の落札に社運を賭けたために会社を潰してしまった坂元敦志(寺島進さん)。もう1人は、真屋建設営業部長で、談合グループのベテランであったが、検察から厳しい取り調べを受け、追いつめられて自殺した長岡昇(志賀廣太郎さん)。みんな建設業界に強い愛着を持っていた人たちだ。それらの大きな要因となったのは、談合のフィクサーでもある山関組顧問・三橋萬造(中村敦夫さん)が、義兄・城山和彦(北村総一朗さん)代議士という強力な後ろ盾の地位を磐石なものにして、業界に1つでも多くの公共事業を持って来ようとしたためだ。三橋は自ら監督を務めた工事現場で起きた平太の父親の事故死に責任を感じて、長年、平太の養育費を送り続けてくれたという、平太にとってはいわば恩人でもある人物。しかし、平太は、仕事、業界を愛する人が誇りを持って働けるようになるために、三橋に対し、東京地検特捜部に出頭して、談合のことや城山代議士の関与を自白するように頼んだ。三橋は平太の願いを一笑に付し、城山代議士との夢が実現すれば、御裾分けが回ってくると言って取り合わない。
一谷組常務・尾形総司(陣内孝則さん)の指揮のもと、談合決別に踏み切り、地下鉄入札をガチンコ勝負で勝つためにコストダウンの努力を続けた平太たちだったが、結局は城山代議士の選挙前の業界結束を促す圧力のために、談合を受け入れ、落札延期を承知することになっていた。そして迎えた入札当日。三橋の説得に失敗した平太は、出来レースに臨む虚しさと、あることを行ったことに対する自己嫌悪を抱えながら、退職願をポケットに忍ばせていた。入札の結果は驚くべきものだった。なんと、一谷組が落札したのだ。尾形常務が会社を辞める覚悟で、三橋の指示には従わず、平太たちが一生懸命たたき出したコストダウンの数値を落札希望価格として書き記していたのだ。そこへ東京地検特捜部が、バイパスの談合容疑で三橋を逮捕しにやって来た。平太が検察に捜査協力したからだ。三橋への裏切りに対する罪悪感を抱いていた平太は、入札後に退職願を尾形常務に渡すつもりだったが、尾形常務も事情聴取で警察に連れて行かれてしまった。それから大手ゼネコン各社に談合容疑で一斉家宅捜索が行われ、営業担当者も任意で事情聴取された。尾形常務が一谷組の談合はすべて自分の指示だと供述したので、平太や西田吾郎(カンニング竹山さん)課長代理は罪に問われることは無かったが、尾形常務、山関組営業部長・和泉勇人(金田明夫さん)、三沖建設営業課長・田中勝(田中実さん)、村河建設営業課長・岸原薫(菅原大吉さん)、岩波工務店営業課長・牛島雅彦(草見潤平さん)らは、三橋と同様に逮捕された。談合によって得た資金の一部が政界に渡っていたという疑いも浮上し、義理の弟・三橋との関係が取りざたされている城山代議士は、総裁選への出馬を断念した。
一谷組の営業は大幅な配置転換と組織改革が進められるらしい。西田は積算課に、平太は設計課に戻ることが決まった。平太は、東京拘置所にいる尾形元常務と面会し、一緒に仕事ができてとても幸せだったと話した。それから退職願を出すつもりだったことを告白し、その理由を打ち明けた。尾形は、そんな平太におまえは間違っていないと励まし、一谷組で自分の分まで働き続け、ゼネコンマンの原点である“ものづくり”を続けるよう言った。
一谷組の旗が掲げられたある現場には、清々しい笑顔で仕事をする平太の姿があるのだった…。
平太の成長物語として、とてもよくできていると思いました。
業界の将来像を説く三橋が、昔ながらのやり方から脱却できなかったところや、業界の共栄のために談合は必要という信念を持っていた尾形常務が、最後には談合と決別してガチンコ勝負を挑んだところなどは、なんとも皮肉めいていて興味深かったです。
平太の「誇りを持ってやりがいのある仕事をしたい」という願望に共感しました。平太の葛藤が痛いほど伝わり、忘れかけていたハングリー精神が呼び覚まされたような熱い感覚を覚えました。
平太と恋人・野村萌(臼田あさ美さん)との関係は、掘り下げ方が浅く中途半端に感じましたが、最終的にはお互いを思いやる心が通じ合ったようでよかったです。