GANTZ ガンツ (二宮和也さん)

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映画『GANTZ』(ガンツ)は、集英社の「週刊ヤングジャンプ」に連載されている奥浩哉さんの同名漫画を、前・後編の2部作で実写化した作品の前編です。後編『GANTZ PERFECT ANSWER』は今年4月に公開予定です。
嵐の二宮和也さんは、玄野計 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
就職活動中だが内定の取れない大学生・玄野計(二宮和也さん)は、地下鉄のホームで小学生時代の友人・加藤勝(松山ケンイチさん)を見かける。正義感の強い加藤は線路上に落ちた酔っ払いを助けようとするが手間取り、助けに入った玄野と共に電車に轢かれてしまう。
次の瞬間、彼らはマンションの一室にいた。そこには、同じ様に死んだはずの人々が集められていた。彼らは、部屋の中央にある謎の大きな黒い球体“GANTZ”に、星人をやっつけるように指示され、戦いの場へと転送されていく。戦いを終えて部屋に戻されると“GANTZ”による採点が行われる。星人を倒し得点を重ね“100てん”になると、記憶を消されこの世界から解放されるか、好きな人を生き返らせることができるらしい。採点が終わると元の世界に一時的に戻され、またしばらくするとマンションの一室に呼び戻されて星人との戦いを強いられる。どうやら“100てん”を取ってこの世界からの解放を希望するか、星人にやられて死ぬまではそれが繰り返されるらしい。玄野や加藤たちは、そんな世界に翻弄されていくのだった…。
流れは基本的には原作に沿っていましたが、私的感覚としては、詰め込んでまとめたというよりは、だいぶ端折ってまとめたという印象が強いです。そういう意味では、原作ファンの人にとっては物足りなさや展開のじれったさを感じるかもしれません。特に前半は、登場人物に関する描写が少ない割には“GANTZ”の世界をじっくり描いている感じで、テンポが遅く感じられました。とはいえ、原作を知らない人にとっては、登場人物の背景よりも“GANTZ”の世界観の方が興味あるでしょうし、そもそも映画の時間的制約を考えると、すべてを描くのは不可能なのであれぐらいが丁度よいのかもしれません。
多くの人が注目しているであろうCGやSFアクションは、過度な期待をしていなければ、十分楽しめるレベルだと思います。個人的に凄いと思ったのは、パワード・スーツともいえるGANTZスーツや、銃、刀などの小道具が見事なまでに具現化されていて、それらが発動する時の仕掛けや見栄えも素晴らしかったです。
登場人物に関する描写が少ないとは言いましたが、メインである玄野と加藤に関してはそこそこ描かれていて、生と死をテーマにした人間ドラマも構築されています。自分に自信が持てずに無気力な生き方をしていた玄野は、戦いに自分自身の存在意義を見出し、喜びさえ感じるようになります。それに対し、小学生の弟と2人暮らしをしている加藤は、暴力に支配された世界を嫌悪し、可能な限り皆で協力し合って、弟のためにも生き残ることを最優先と考えます。そんな2人の考え方の違いが次第に明確になっていき、衝突さえ生み出す様子は興味深いものがありました。「人にはそれぞれに与えられた役割がある」と自分に言い聞かせる玄野は、死と隣り合わせの戦いの中で自分の役割を見つけていきますが、それはある意味、現実社会にも通じていると思います。人は意識的にしろ無意識的にしろ、自分の役割を模索していて、大げさに言えば、それが生きることや、困難と闘うことの意味に繋がっているのかもしれません。
プロデューサーによると、ストーリーについては「前編はほぼ原作を基に進むが、後編は映画オリジナルの結末で物語を終える」そうです。前編の最後には、原作にない映画オリジナルキャラクター・重田正光(山田孝之さん)が登場しました。どのような結末を迎えるのか今から楽しみです。
ちなみに“GANTZ”は、石森章太郎さん原作のテレビ番組『がんばれ!!ロボコン』のガンツ先生が名称の元です。GANTZの採点シーンも、ガンツ先生がロボコン達の行動を採点するシチュエーションのいわばパロディです。

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