白夜行 (高良健吾さん)

korakengo

映画『白夜行』は、東野圭吾さんの同名小説を、深川栄洋監督が映画化した作品です。
高良健吾さんは、桐原亮司 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
昭和55年、密室の廃ビルで質屋の店主・桐原洋介(吉満涼太さん)が殺されるという事件が起きた。決定的な証拠がないまま、事件は容疑者・西本文代(山下容莉枝さん)の事故とも自殺ともとれるガス中毒死によって一応解決を見る。しかし、当時の担当刑事・笹垣潤三(船越英一郎さん)は、何か腑に落ちないものを感じていた。
容疑者・西本文代の娘である雪穂(福本史織さん→堀北真希さん)は、唐沢家の養女となり、学業や礼儀作法を身に着けてゆく。一方、被害者・桐原洋介の息子である亮司(今井悠貴さん→高良健吾さん)は、事件後極端に人と交わることもなくなり、家を出ていた。やがて2人の周辺で不可解な事件が次々と起こり始めるのだった…。
原作小説やテレビドラマに比べれば、薄味であることは否めないでしょう。映画は時間の都合上、原作よりも登場人物が少なく、エピソードが削られていたり、簡略化されていたりします。でも全体的にはよくまとまっていると思いました。
テレビドラマでは、雪穂と亮司の葛藤や成長などの心理的部分も描いていましたが、映画では、2人の感情を一切排除して、現実に巻き起こる事件や事実のみを見せています。そして、お互い決して会うことも言葉を交わすこともないので、2人の“光と影”という関係が鮮明になっていました。これは原作に近い演出と言えましょう。
残念だったのは、やはり時間的な問題でしょうけど、描写不足な面が多く見受けられた点です。例えば登場人物の関係性や、物語の核心となる真実が明かされる場面などが少し唐突に感じられました。
なにはともあれ、笹垣が刑事を定年退職してからも愚直なまでに追い続けて明らかになった真実は、観る人によってさまざまな感情を呼び起こし、その結末はなんとも言えない余韻を残すことでしょう。