ダンダリン 最終回

takeuchi05kitamura04
matsuzakatori02triendl02
日本テレビ系列の毎週水曜夜10時枠にて放送されていた連続ドラマ『ダンダリン 労働基準監督官』は一昨日、最終回(第11話)を迎えました。
●あらすじと感想
南三条和也(松坂桃李さん)が暴行未遂容疑で逮捕されたのは、『アプリドリーム』社長・飯野慎司(柄本明さん)が仕組んだことでした。飯野は『御子柴電機』の元社長で、1年前、行政指導に従わなかったため、段田凛(竹内結子さん)によって労働基準法違反で逮捕されました。その結果、会社も潰してしまい、婿養子だったため離縁されて家族まで失いました。それから凛に復讐するべくすぐにアプリドリームを立ち上げて再出発して急成長の会社にしました。そして、労働基準監督官として動き続けることで周りの人間が巻き込まれて傷つくことを凛に思い知らせるために、社会保険労務士の胡桃沢海(風間俊介さん)をそそのかして事件を起こさせたのです。
凛には、駆け出しの監督官の頃、学生時代の同級生・岸本義明(金井勇太さん)が目の前でビルから飛び降りて亡くなったという悲しい過去がありました。その理由は、岸本が社会保険労務士として初めて1人で担当することになった会社を、凛が臨検によって結果的に倒産に追い込んでしまったからです。岸本はその責任を感じて自ら命を絶ってしまったのです。自分のせいで今度は南三条が犠牲になると考えた凛は、監督官を辞める決意をしました。凛が監督官を辞めれば、被害届を出した小西美月(石橋杏奈さん)がそれを取り下げてくれることになっていたからです。拘束中の警察で凛から直接その話を聞いた南三条は、「あなたには責任がある!僕を叱り飛ばし、僕に監督官を続けたいと思わせた責任がある!働く人を守ることは、僕たち監督官の仕事の根っこだと教えてくれたのは、段田さんですよ!だから今段田さんがすべきことは、監督官を辞めることではなく、小西美月さんを救うことです!」と凛に強く言いました。
凛から事情を聞いた西東京労働基準監督署の署長・真鍋重夫(佐野史郎さん)、課長・土手山郁夫(北村一輝さん)、温田祐二(水橋研二さん)、小宮瑠璃子(トリンドル玲奈さん)、田中正一(大倉孝二さん)たちは、南三条にも凛にも監督官を続けてほしいと、南三条の無実を証明するために一丸となって動き出します。しかし、南三条が送検されてしまうであろう夜11時近くになっても、逮捕の理由になっている証拠を崩すことはできませんでした。凛は真鍋署長に退職届を提出。凛の行動を監視していた胡桃沢が被害届取り下げを手配しました。
容疑が晴れて戻ってきた南三条と西東京署の面々は安堵しますが、真鍋署長から凛の退職届の話を聞いてショックを受けます。土手山は、せめて凛の代わりに働く人を守ろうと、アプリドリームへの臨検を提案。どうにかして社員の小西美月にもう一度正式に申告してもらおうと動き出しました。実はそれは真鍋署長と土手山の作戦でした。凛が辞めないと美月は姿を現さないと考え、 「敵を欺くには先ず味方から」ということで、西東京署の面々に公務員宿舎引き払いまでさせて凛の退職を信じ込ませました。凛自身も知りませんでしたが、実は凛は退職扱いにはなっていなかったのです。真鍋署長と土手山の狙い通り、美月と接触することができ、凛も含めた西東京署の人たちは美月から話を聞きます。美月の父・小西健司(布施博さん)は、元御子柴電機社員でした。美月は、ただ単に社長・飯野に利用されていたわけではなく、父親の恨みを晴らそうという思いもあったのです。凛が退職していないことを知って、美月は感情をむき出しにして凛に今すぐ監督官を辞めるよう迫りますが、そこへ真鍋署長が健司を連れてやって来ます。土手山から事件のことを聞いた健司は、娘・美月と会って話がしたいと頼んでいたのです。健司は、昔より今の方がずっと幸せであると美月に説明します。昔と違って今は幸せのために働いているという実感があり、あのまま働いていたら過労死していたかもしれないと言う健司は、凛に感謝の言葉を述べました。美月は割増賃金未払いの申告をすることにしました。
そして西東京署はアプリドリームへの臨検を実行します。労働時間は社員の自己責任で、時間ではなく成果に給料を支払うという、専門業務型の裁量労働制を採用していると主張する飯野は、「実際何時間働いてるかなんて、社員が勝手にやってることは知ったこっちゃない!」と言い放ちます。それに対して、西東京署の面々は「使用者は義務の1つとして、労働者の健康、福祉確保措置を取らなければいけません。そのためには労働時間の状況を把握する必要があります」と指摘しました。凛は飯野に向かって「仕事、楽しいですか?ご自身が社長をやっている会社で社員が疲れた顔をしているのをどう思われていますか?」と質問します。飯野は「仕事ってのはな。楽しいとか幸せとかそういう物差しでするもんじゃないんだよ。どれだけ利益を上げ、どれだけ株主の皆さんに還元できるか。それがビジネスだ!!」と答えました。そこで凛は「人は幸せになるために生きているんではないんですか?幸せになるために働きお金を稼ぎ、家族や友人との生活を守っているのではないんですか?幸せなんて関係ないって言ってしまったら、そこには働く意味なんてないんじゃないですか?そんなビジネスに一体何の意味があるんですか?」と反論しました。
そんな中、アプリドリームと顧問契約を結んでいる相葉社労士事務所の所長・相葉博美(賀来千香子さん)が部下の胡桃沢を連れて現れました。胡桃沢は、飯野にそそのかされて自分の犯した悪事をすべて相葉所長に告白したのです。相葉所長から「社労士として今できる最良のことを考えなさい」と指導された胡桃沢は、アプリドリームの大株主を1人ずつ訪ね、飯野と自分とでやってしまったことを洗いざらい話したとのことです。それから、経営手腕以前に人間性に問題があった飯野に対して危機感を抱いた大株主たちは、臨時株主総会を開いて飯野の解任を決定。そのことを知らせに相葉たちはやって来たのです。胡桃沢は解任勧告書を飯野に見せました。自分の過ちを悔いて「今回、社労士最後の仕事と思ってやりました」と言う胡桃沢は、南三条と凛に謝罪しました。そして相葉は「私は企業の存続こそが最も大事だと思っています。企業あればこそ人は仕事を得、生活を営め、社会は豊かになります。あなたのような人間が社長ではいつかアプリドリームは潰れてしまいます。ですから手遅れにならないうちに対策を講じたまでです」と飯野に言いました。
飯野は自分を正当化し、資本主義を理由に、自分の次に続く社長たちもみんなバレないように知恵を絞ってなるべく安い賃金で労働者を働かせようとすると力説します。それに対して凛は「そういうことをさせないために、私たち監督官はいるんです。経営者が法律をきちんと守らないなら、私たちは何度でも現れますよ。何度でも何度でも!」と言いました。それでも引き下がらない飯野は「そんなあんたらの言うような“桃源郷”のような会社があるもんか!!」と叫びます。しかし、怯まずに凛は「私はあると信じています。“希望”はある!そう信じています」と答えました。
そして、西東京署の面々は日常に帰ります。でも以前よりなんだか幸せそうです。凛の影響を受けたおかげでしょう。南三条は胡桃沢を訴えませんでした。相葉所長も胡桃沢をクビにしませんでした。その知らせを南三条から聞いた胡桃沢は「お互い、いい指導係に巡り合えて幸せだな」と言います。南三条は「すっごい厳しい指導係だけどな」と、段田凛を思い浮かべながら明るく答えました。
南三条は、凛が口ずさむカール・ブッセの詩『山のあなたの空遠く 「幸」住むと人のいふ。』には何の意味があるのかと尋ねます。凛は嫌々ながらも亡くなった同級生・岸本との学生時代の話を明かしました。岸本が「幸せなんてどこにもない」という詩であると解釈するのに対し、凛は「とっても遠くてなかなか手には入らないけど、でも幸せは山の向こうのどこかにはあるんだ」という解釈をして議論になって、話は平行線で終わったというエピソードでした。凛は「そして私はずっと“幸は山のかなたのどこかに絶対にある”そう思って仕事をしてきました。これからもそう思って仕事を続けるつもりです。あれはそう信じる希望の詩だと…」と言いました。その道中、凛と南三条は“Cafeホールスタッフ大募集”の看板を見てはっとします。男性より女性の時給の方が低く設定してあったのです。これは労働基準法第4条の男女同一賃金の原則に違反します。2人は同時に看板を指さして「それ、労働基準法違反です」と声を揃えて言うのでした…。

“働く人の権利を守る”凛と、“企業を守る”相葉があたかも協力体制となり、飯野社長を追い詰めていく場面が印象的でした。確かに相葉は“企業”を守るのが仕事であって、“社長”を守るのが目的ではありません。敵対する立ち位置が多かった2人だけに、今回の展開はいっそう面白かったです。
凛は“幸は山のかなたのどこかに絶対にある”と思って仕事をしてきたし、これからもそう思って仕事を続けるつもりであると言っていましたが、幸せを目指すその過程にも幸せは存在するのではないでしょうか。凛を取り巻く南三条をはじめとする西東京署の人たちは、ある意味凛の良き理解者であり、そんな人たちと共に仕事に邁進できる凛は幸せ者だと思います。西東京署の人たちも、凛によって多少の苦労を強いられることもありますが、良い影響も受けていて幸せそうです。
私も希望を持って仕事をしていきたいと思いました。