- 2013年11月6日
竜雷太さんは、『SPEC(スペック)~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』シリーズに野々村光太郎 役で出演しています。
一昨日、スペシャルドラマ『SPEC~翔~』がTBS系列にて放送されました。
●導入部のあらすじと結末を含めた感想
捜査一課が手に負えない特殊な事件を捜査するために公安部が設立した未詳事件特別対策係、通称“未詳(ミショウ)”。その“未詳”の活躍のおかげで、ニノマエ(神木隆之介さん)を裏で操っていた黒幕・地居聖(城田優さん)の野望が阻止されて1年が過ぎた。未詳では、瀬文焚流(加瀬亮さん)がその戦いで負傷した目の療養から復帰し、野々村光太郎(竜雷太さん)は係長待遇に降格、新たに係長の市柳賢蔵(でんでんさん)と捜査員で元組織犯罪対策部の吉川州(北村一輝さん)が加入していた。
そんな折、白昼の街中でマシンガンによる銃撃事件が発生する。その被害者の中には、かつて当麻紗綾(戸田恵梨香さん)と瀬文が確保した女性占い師・サトリ(真野恵里菜さん)も含まれていた。目撃者の女子高校生・久遠望(谷村美月さん)によれば、犯人は全身黒ずくめの男で瞬間移動で逃走したという。瀬文はニノマエの犯行を疑うが、当麻はそれをかたくなに否定。瀬文は1年前の決戦以来当麻に抱いていた不信感をぶつけ、やがて当麻の左腕に関する謎を知ることとなるのだった…。
本作は、2010年10月~12月にTBS系列にて放送された連続ドラマ『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』と、4月7日に公開される『劇場版 SPEC~天~』とをつなぐスペシャルドラマでした。連続ドラマの最終回で残された謎を解決した上で、また新たな謎を提示していて、映画版に期待を持たせる終わり方でした。
本作で起きた銃撃事件の犯人は、黒男こと殺し屋・乙部直樹かと思われましたが、瞬間移動させるスペックホルダー(特殊能力を持つ人)は別にいて、黒男をおとりに使ったことが判明しました。黒男は用済みなったから捨てられたのです。瞬間移動のスペックを持つ犯人は工事現場の男・神戸明(宅間孝行さん)でした。スペックホルダーを大勢かくまっている安全安心完全無欠な保護施設“デッドエンド”の場所を知り、その中に潜り込むことが神戸の目的でした。しかし、サトリをはじめスペックホルダーたちを殺した犯人は別にいたのです。それは銃撃事件の目撃者である望でした。望には血をなめたりすることによって、そのスペックホルダーのDNAを取り込んで特殊能力を自分のものにすることができるというスペックがありました。デッドエンドに来て、いろんなスペックホルダーのDNAを取り込むことが望の目的だったのです。望は、自分以外の人間が自分と同じスペックを持っているなんて気持ち悪いという理由で、殺す必要もないのに命まで奪っていました。そんな望に、当麻は「スペックってのは、その人の思いに応じて目覚めるもの。思いのこもってないスペックなんて所詮子ども騙し。そんなバッタもんが通用するほど、世の中甘くねえんだよ!」と言いました。なかなか深い言葉です。
今回特に注目すべき点は、当麻もスペックホルダーであったことが明かされた点です。当麻の左手には死んだスペックホルダーを召喚する能力があったのです。地居との対決で最後に起こった不思議な現象は、どうやら当麻が左手でニノマエを召喚することに成功し、弾道を変えてもらったおかげのようです。今回もニノマエ、冷泉俊明(田中哲司さん)、サトリ、海野亮太(安田顕さん)を召喚して事件を解決に導きました。でも当麻は召喚した海野に「私のこの左手のすべての感覚を殺してください。二度と動かないように」とお願いしました。それは今の幸せを失いたくないからだと言い、当麻は次のように語りました。「このスペックを得て、私の人生は一変しました。たくさんの人間が私を利用し、私も自分の能力に酔いしれた。誰が来ても何が起こっても怖くなかった。それはある意味、怖い者知らずだったけど、実は私は、ずっと孤独でした。そんなある日、陽太に左腕を切られスペックを失ってしまったけど、逆に自分の人生は豊かになった。それは多分、死者との絆に逃げ込んでいた私を、現実との絆に引き戻してくれた“未詳”の仲間に出会えたからだと思っています。スペックが一旦戻って、今回いろいろな出来事を通してやっとそのことが分かりました。私がこれから生きていきたい人生は、未詳の仲間との人生だってことです。その絆が壊れるくらいなら、何もいらない。瀬文さんが意地になって黒男を倒そうとしたことの意味、私分かってますよ。闇に落ちそうだった私にとって今回は、瀬文さんが、私の光でした」
それから当麻は海野の処方を受けました。痛くもかゆくもない、ピクリとも動かないくっついているだけのただの肉となった当麻の左手。でも瀬文はそんな手を掴んで、「おまえの手は、温かいよ」と言いました。当麻のスペックのことで距離が開いたように見えた2人でしたが、むしろ絆が深まったようでよかったです。
そういえば、係長待遇に格下げされた野々村は、今回も“刑事魂”をみせてくれました。「信じるかどうか、迷う権利は我々にはない。我々にできることは、大切な者たちの未来を守ることだけだ」というセリフがカッコよかったです。そんな野々村は、捜査一課弐係係長・近藤昭男(徳井優さん)経由で謎の人物Sからの極秘情報を受け取り、密かに動いていました。Sは警察上層部の人間のようで、世界観が共通している『ケイゾク』に登場していたかつての部下・柴田純を彷彿とさせます。警察内部にもいろいろ確執があって、盗聴等に用心しながら近藤係長は野々村に情報を伝えているのですが、その手段が変で面白かったです。
本作でいい味を出していた元マル暴の吉川は、瞬時にミイラにされてしまいました。新たなスペックホルダーの仕業なのでしょうか。その謎は映画版に続くようです。
それにしても、公安部公安零課の津田助広(椎名桔平さん)は何人も影武者が存在して、立ち位置が分かりづらいです。今回未詳に新係長として配属された市柳も津田助広の一人で、しかも野々村のかつての部下だったようです。野々村の“心臓が息の根を止めるまで真実に向かってひた走れ”という刑事魂も知っていて、まさか『ケイゾク』に登場した部下・真山徹ではないかと一瞬思いましたが、さすがに違うでしょう。でも彼が目覚めてスペックを身につけ、津田助広の一人になったと妄想してみるのも面白いです。
『劇場版 SPEC~天~』では、死んだはずのニノマエが再び登場し、新たなスペックホルダーも登場するようです。スペックを失った当麻と筋肉バカの瀬文がどのように立ち向かっていくのか楽しみです。