ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 (エディ・レッドメイン)

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映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(Fantastic Beasts and Where to Find Them)は、『ハリー・ポッター』シリーズの1作目から約70年前のアメリカが舞台で、原作者J・K・ローリングが映画の脚本に初参加しています。監督はシリーズ5~8作を手掛けたデイビッド・イェーツが務めています。
エディ・レッドメインは、主人公のニュート・スキャマンダー役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
1926年。ニューヨークでは、謎の突風により建物等が破壊される事件が多発する。目撃者によると、突風は黒い塊で目があって白く光っていたという。街では、魔法すべての根絶を目指す過激派組織セカンド・セイラマーズのリーダーのメアリー・ルー・ベアボーン(サマンサ・モートン)が、養子クリーデンス・ベアボーン(エズラ・ミラー)たちを従えて、魔法使いの仕業であると騒ぎ立てていた。一方、MACUSA(アメリカ合衆国魔法議会)では事件の原因が特定できず対応に苦慮していた。MACUSAの長官で闇祓いのパーシバル・グレイブス(コリン・ファレル)は、ケモノすなわち魔法動物の仕業であると言う。
そんな中、イギリス出身のある一人の青年がニューヨークに降り立つ。彼はニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)で魔法動物学者だ。実は所持品であるトランクの中には不思議な空間が広がっていて、世界中で保護したたくさんの魔法動物がいる。スティーン国立銀行のところで、その内の1匹ニフラーが逃げ出してしまう。捕まえようと奔走する最中、パン屋開業のために融資をお願いしに来ていたジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)と出会う。魔法力を持たない人間“ノーマジ”のジェイコブに魔法を見られた上に、トランクを取り違えられてしまうという失態を演じるニュート。そのことはトランクから魔法動物たちが逃げ出す事態を招き、ジェイコブをはじめ、たまたまニュートを見かけて不審に思って監視していたMACUSAのティナ・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン)、ティナの妹のクイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル)たちを巻き込んで、大騒動に発展するのだった…。
ハリー・ポッターたちがホグワーツ魔法魔術学校の授業で使っていた教科書“幻の動物とその生息地”を編纂した魔法使いニュート・スキャマンダーを主人公とした物語が描かれていました。
ニュートは、世界中を旅しながら魔法動物を助けて育てて保護しています。魔法の腕は超一流ですが、おっちょこちょいで内向的でシャイな性格です。ティナはMACUSAで以前は花形部署の捜査官である闇祓いでしたが、あることに関して職務を逸脱したことで窓際部署に異動を命じられ、闇祓いへの復帰を望んでいます。正義感が強くまっすぐな性格です。ティナと一緒に暮らす妹クイニーは、同じくMACUSAに勤めています。相手の心を読む能力を持ち、自由奔放な性格ですが姉思いです。ニュートたちと違ってノーマジのジェイコブは、缶詰工場で働いていて、パン屋の開業を目指しています。素直で表裏のない性格です。そんな4人が、トランクから逃げ出した魔法動物を捕まえるために奔走する過程が面白かったです。
魔法動物も興味深かったです。モグラとカモノハシの中間のような見た目で、大好きなキラキラ光るものを見つけると俊敏な動きで手に入れようとするニフラー。小さい樹木のような姿をしていて、ニュートに懐いていつもそばにいて、内気でおとなしくいじけてしまうこともあるボウトラックルのピケット。サルのような姿で、姿を消す能力と予知能力があるデミガイズ。アリゾナ原産の巨大な鳥類で、羽ばたきで嵐を巻き起こすことができるサンダーバード。爬虫類と巨大な蝶を掛け合わせたような姿をしていて、人間の脳みそを吸って食べるという噂があるスウーピング・イーヴル。胴体はヘビのようですが翼があり、環境に応じて体の大きさを変化させるオカミー。大きな角を持つサイに似た容姿で、体内には赤く光る毒液を蓄えているエルンペントなど、愛らしくもあり恐ろしくもある摩訶不思議な動物たちが多数登場しました。
本作において『ハリー・ポッター』シリーズと決定的に違うのは、メインキャラに魔法力を持たない普通の人間がいることです。それによって魔法界のみならず、人間界とのかかわりも少し突っ込んで描かれていて興味深かったです。『ハリー・ポッター』シリーズの前半と違ってメインの登場人物がもう大人なので、魔法もいわゆる上級の魔法が当たり前のように出てきました。バトルシーンはもちろんのこと、何気ないシーンでの魔法もなかなかのもので、時代設定は昔ですが舞台が魔法界ではなく人間界なので、現実と魔法の世界が交錯した様子が見れて面白かったです。
完全なるアウトサイダーなニュートと、アウトサイダー気味のティナ、クイニー、ジェイコブが心と力を合わせて物事に取り組み、影響を与え合って成長していくのも素晴らしかったです。また偏見や抑圧、環境や政治といった現代社会に関係するテーマが織り込まれているのもよかったです。
ニュートは、かつてホグワーツ魔法魔術学校の生徒でしたが、魔法動物に関連したことで人の命を危険にさらしてしまったために退学処分となったようです。その際にニュートをかばって処分に反対した教師がいました。それが『ハリー・ポッター』シリーズでもおなじみのアルバス・ダンブルドアです。本作では会話の中で名前が出てきただけですが、第2作では若き日のダンブルドアが実際に登場する予定とのことです。本作のラストで少しだけ姿を現した闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルド(ジョニー・デップ)もダンブルドアとかかわりの深い人物です。MACUSAに捕まりましたが、恐らくこのままでは終わらないでしょう。気の早い話ですが、続編も楽しみです。

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