カーズ2 (Cars 2)

cars2

アニメーション映画『カーズ2』は擬人化された車たちが活躍する世界を描いた『カーズ』の続編です。ディズニー/ピクサーの25周年記念作品でもあります。監督は『トイ・ストーリー3』の製作総指揮と脚本を務めたジョン・ラセターです。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
陰謀の存在を嗅ぎつけた英国スパイのフィン・マックミサイルは、陰謀を暴くために海上油田に侵入する。そこには国際指名手配中の科学者であるザンダップ教授がいて、テレビカメラのようなものを取引していた。詳細を写真に収めようとしたフィンは、敵の一味に見つかってしまい、激しいカーチェイスの末にやられたふりをして姿を消す。
一方、田舎町であるラジエーター・スプリングスでは、ピストン・カップ4連覇を成し遂げた天才レーサーのライトニング・マックィーンが戻って来て、マックィーンの親友であるメーターは大喜び。マックィーンはしばらく休暇を取る予定だった。しかし、テレビに登場したイタリアのトップレーサーであるフランチェスコ・ベルヌーイの挑発にメーターがマックィーンを擁護する形で乗ってしまい、マックィーンは結局ワールドグランプリへ参戦するはめになった。ワールドグランプリは、元石油王のマイルズ・アクセルロッド卿が、新しいクリーン燃料“アリノール”を宣伝するために開催した世紀のレースらしい。
マックィーンのチームのピット・クルーのメンバーとして初めて誘われたメーターは大喜び。マックィーンたちは、ワールドグランプリ第1戦の開催地である日本に降り立つのだった…。
本作の主人公はマックィーンではなくメーターです。東京でひょんなことからスパイと誤解されたメーターが、本物のスパイであるフィンやホリー・シフトウェルと共にワールドグランプリの裏にうごめく陰謀を暴いていくお話です。日本、フランス、イタリア、イギリスと世界を股にかけてカーレースとスパイ戦が交錯し、ハラハラ、ドキドキ、ワクワクの興奮や楽しさがつまっていました。
やはり日本人としては、カーレースの舞台の1つとして日本が選ばれ、カブキ・カーやスモウ・カーといった日本の伝統を表現するキャラクターたちが登場したこと、全世界共通挿入歌に日本の女性3人組テクノポップユニットPerfumeが歌う「ポリリズム」が採用されたことは注目すべきことでしょう。ハイテク日本の象徴として温水シャワー付きトイレも登場し、ユーモアあふれるシーンが展開されていました。
本作の主体はカーレースではありません。マックィーンとフランチェスコのライバル関係といった見どころもあるのですが、それはあくまでもサブ的な要素に過ぎません。そういう意味ではカーレースを期待して観ると不満が残るかもしれません。本作はいわゆる“スパイ映画”で、悪の組織と正義の諜報機関が戦うことがメインとなっています。スパイ・スリラーになっていて、アクション満載でテンポが速く、謎解き要素もあるので、大人も楽しめると思います。
ピクサー作品といえば、エンターテインメント性もさることながら深いメッセージも込められているという印象が私の中で強いのですが、本作はエンターテインメント性を重視した作品という印象です。もちろん本作でも友情やエコロジーに関連したメッセージはありますが、あまり深さは感じられませんでした。とはいえ、マックィーンとメーターの友情は感動的でしたし、メーターが自分の体の“へこみ”をいわば経験のあかしとして大切なものと捉えていることなども印象的で良かったです。

同時上映の短編映画は『トイ・ストーリートゥーン ハワイアン・バケーション』(Hawaiian Vacation)です。『トイ・ストーリー3』のその後の物語で、舞台はオモチャたちの新たなオーナーとなったボニー・アンダーソンの寝室でした。ウッディやバズ・ライトイヤーをはじめおなじみの面々が登場し、ある目的に向かって力を合わせて取り組みます。コメディで面白かったです。ちなみになんと本作で監督を務めたゲイリー・ライドストロムは、今回のような『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフ新作がディズニーの最新映画『マペッツ』と同時上映されることを示唆しているそうです。