不毛地帯 最終回 (原田芳雄さん)

haradayoshio

原田芳雄さんは、フジテレビ系列にて毎週木曜夜10時から放送されていたフジテレビ開局50周年記念ドラマ『不毛地帯』に大門一三 役で出演しました。
一昨日は第19話(最終回)が放送されました。
●あらすじと感想
五号井は正常循環に戻り、ガス暴噴は油がある兆候だという現地にいる兵頭信一良(竹野内豊さん)の言葉を信じ、壹岐正(唐沢寿明さん)は、すべてを兵頭に任せて掘削の再開を指示しました。
近畿商事社長の大門一三(原田芳雄さん)の綿花相場による損失が深刻であると知った壹岐は、綿花部長の伊原(上杉祥三さん)に進退伺を出すよう指示し、大門社長にも綿花相場から手を引くよう進言して、聞き入れられない場合は役員会議で決議を出すと言いました。いよいよ危機感を抱いた大門社長は、里井達也(岸部一徳さん)の、壹岐を社外に出すのなら戻るという条件を聞き入れ、里井を近畿商事に副社長として復帰させようとしました。ところが、その重要な役員会議において、石油が出たとの知らせが届き、役員たちの間でもすっかり壹岐を支持する雰囲気になり、記者会見において、油田発掘の成功は大門社長のおかげであると壹岐に持ち上げられた大門社長はすっかり上機嫌。その様子を見た里井は、諦めて去っていきました。
しかし、そんな大門社長に、壹岐は勇退を進言。それを聞き入れようとしない大門社長を追い詰めるために、壹岐は、大門社長が綿花相場で巨額の損失を出したという情報を毎朝新聞の田原秀雄(阿部サダヲさん)に流して、記事にしてもらいました。それでもなお抵抗を見せる大門社長に、壹岐は自らも近畿商事を辞める意思を示し、これからは組織で動く時代であることを諭し、ワンマン社長・大門に引導を渡しました。
そして、壹岐は、谷川正治(橋爪功さん)の遺志を継ぎ、長期シベリア抑留者の親睦団体である朔風会の仕事をやって行くつもりであることを娘の直子(多部未華子さん)と息子の誠(斎藤工さん)に報告して、今まで迷惑をかけてきたことを謝罪しました。長らくギクシャクしていた息子との関係も改善したようで良かったです。朔風会の仕事でシベリアに行く壹岐は、秋津千里(小雪さん)にその旨を伝え、別れを切り出しました。千里は、待ってますと言って微笑みました。東京商事の鮫島辰三(遠藤憲一さん)は、ライバルがいなくなって寂しいからなのか、壹岐が勝ち逃げするようで悔しいからなのか、壹岐が自分とは無縁の世界の人間になるのを認めようとはせず、空港で会った壹岐に「辞めるな」と叫びました。
壹岐が訪れたのは、シベリアの雪原の中に広がる、日本人抑留死没者の眠る墓地でした。シベリア抑留の過酷な日々を思い出しながら涙を流す壹岐は、手を合わせ、静かにたたずむのでした…。
11年のシベリア抑留生活の後、壹岐は近畿商事に入社して第二の人生を踏み出しました。戦争の責任を強く感じて、この国を守り発展させていくことで自らの罪を償おうとしたのです。しかし、きれいごとだけでやり過ごせるほど商社の世界は甘くはなく、結果的に、家族に心配をかけたり、いろいろな犠牲を払いながら新たな苦悩を抱えることとなりました。壹岐や彼を取り巻く人たちが見せる不屈の精神力と行動力は凄まじいものがあり、いろいろと考えさせられましたし、自らの意志で決定して行動することの大切さも感じました。
最後、壹岐は第三の人生として、谷川の遺志を継ぎ、朔風会の仕事をやって行くことに決めました。戦中は大本営参謀の立場で国家に仕え、戦後は企業経営戦略を練って日本経済の復興に尽くした壹岐は、今度は国家や企業のためではなく、シベリアの地で亡くなった日本人の遺骨を家族のもとに戻すために動き始めました。自らの罪を償うという点では自分のためかもしれませんが、壹岐を突き動かしたのは、私利私欲のためではなかったということに好感を持ちました。