- 2011年6月29日
『映画 鈴木先生』は、テレビ東京系列にて2011年に放送された連続テレビドラマ『鈴木先生』の劇場版であり、そのテレビドラマの続編にあたります。原作は武富健治さんの漫画作品です。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
緋桜山中学の2-A担任・鈴木章(長谷川博己さん)は理想のクラスづくりを目指して奮闘中だ。彼は普通に見える生徒ほど心のケアを必要とするとの自説から独自の教育メソッドを構築し、日々起こる問題に対処していた。
鈴木先生は、独特の雰囲気を持つ優等生タイプの生徒・小川蘇美(土屋太鳳さん)を理想のクラスをつくる上でのファクターに据えてきたが、いつしか小川を異性として意識し、性的な妄想に取りつかれるようになった。しかし、それは1学期までの話。鈴木先生は付き合っていた麻美(臼田あさ美さん)の妊娠を機に入籍。今は妄想を克服して邪な思いを乗り越えたはずだった。
ところが2学期を迎え、生徒会選挙と文化祭の準備がスタートする中、鈴木先生は久々に、小川が登場する邪な夢を見る。それはこれから発生することになるストレスの予兆であった…。
視聴率はあまり芳しくなかったものの、第49回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞(2012年)、平成23年日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞(2011年)、第38回放送文化基金賞テレビドラマ番組賞(2012年)などを受賞し、内容は高い評価を受けたテレビドラマ『鈴木先生』。
本作でも黒縁メガネとループタイがトレードマークの悩める教師・鈴木先生のいわゆる鈴木式教育メソッドは健在でした。そして、鈴木先生との教育方針の対立で壊れてしまった教師・足子瞳(富田靖子さん)も特別な力を身に付けてパワーアップして復帰。今回も問題を深刻化させる要因を作って物語を盛り上げてくれます。
ドラマ同様、教室が社会の縮図になっていて、学園ドラマという枠を超えて社会派ドラマになっていました。出水正(北村匠海さん)がテロを起こす生徒会選挙、竹地公彦(藤原薫さん)が熱くなる文化祭の出し物の演劇、そして勝野ユウジ(風間俊介さん)が起こす立てこもり事件などを通して、規制の意義と問題点、自らの役割と責任を理解することの大切さ、教育の重要性と課題などが描かれ、いろいろと考えさせられました。
「教育だけが世界を変えられると思っている」という鈴木先生。そんな鈴木先生は勝野に「俺も一歩間違えればおまえのようになっていたかもしれない」と言い、「おまえもまた、世界を変える一人のはずだ」と励ましました。2年指導主任・川野達郎(でんでんさん)が言うように、問われているのは“大人”なのかもしれません。