ホットロード (能年玲奈さん)

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映画『ホットロード』は、1986年から翌年まで「別冊マーガレット」で連載された紡木たく氏の同名漫画を実写映画化した作品です。『僕等がいた(前篇・後篇)』『陽だまりの彼女』などで知られる三木孝浩監督がメガホンを取っています。
能年玲奈さんは、宮市和希 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
亡き父の写真が1枚も無い家で母(木村佳乃さん)と暮らす14歳の少女・宮市和希(能年玲奈さん)は、自分が望まれて生まれてきた子どもではないことに心を痛めていた。母は、高校時代に交際していた相手で離婚調停中の鈴木(小澤征悦さん)と付き合っている。
どこにも居場所がない和希は、転校生で友人のえり(竹富聖花さん)に誘われ、横浜の夜の街へと繰り出す。えりが横浜にいた頃の先輩・宏子(太田莉菜さん)に会わせたいと言ってきたからだ。そこで和希は、宏子の恋人の後輩・春山洋志(登坂広臣さん)と出逢う。春山は総勢500人の暴走族チーム「NIGHTS〔ナイツ〕」のメンバーで、チーム内でも一目置かれる存在だった。そんな春山が身を置く未知の世界に最初は戸惑っていた和希だったが、いつしかNIGHTSメンバーたちとの時間に安らぎを覚えるようになっていく。そして、ぶつかり合いながらも急速に惹かれていく和希と春山。2人はやがてお互いかけがえのない存在であることに気づいていく。
そんなある日、宏子の恋人でNIGHTSの総頭である玉見トオル(鈴木亮平さん)が引退の意思を表明し、本部に次の7代目総頭を春山にやらせたいと報告。その動きを知った新宿の新興勢力のチーム「漠統」は、 総頭交代により勢力が落ちるであろうNIGHTSを今のうち潰して名をあげようと画策。漠統がNIGHTSを挑発するが、総頭交代の大事な時期であるため、本部は無視するよう通達していた。しかし、トオルからNIGHTSのリーダーを直接任された春山は黙っていられなかった。漠統のもとにたった一人で乗り込んだ春山は、わき目もふらずリーダー赤根(野替愁平さん)に向かっていくのだった…。
若い2人が織りなす不器用ながらも真っ直ぐで純粋なラブストーリーが切なかったです。鈴木が和希の母に説明した「十代なら誰でも、何も見えないで走ってしまう瞬間があると思う。もしかして彼らにとって一番怖いのは、止められない自分なのかもしれない」という言葉が印象的でした。
また、和希の中学校の新担任・高津(利重剛さん)が和希に話した“命の話”も印象的でした。確かに若者は分かっているのに分かっていないふりをしている面もあるでしょう。分からないふりをすれば許されると思っているのかもしれませんが、世の中には取り返しのつかないこともあるのです。和希と春山を待ち受ける過酷な試練がそれを意味していました。
和希は春山と出会うことにより、自分より人を大事に思う心を知り、人の痛みが分かる人間になりたいとまで思うようになりました。そして母親との関係も変わりました。「この女のためなら死ねる」と言っていた春山も和希と出会うことにより「この女のために生きたい」と思うようになり、投げやりな生き方を改めます。人生を変えるような出会いもあるがゆえに、一つ一つの出会いを大事にしなければとあらためて思いました。
本作後半で鈴木が言うように、親でも友達でも恋人でも自分が誰かに大切にされているんだってことを本当に知っていたら、自分の命を粗末になんか決してできないはずです。人と人との結びつきの大切さもあらためて感じました。
本作の主題歌は、尾崎豊さんの「OH MY LITTLE GIRL」でした。本作の世界観にマッチしていました。