アンフェア the end (篠原涼子さん)

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映画『アンフェア the end』は、フジテレビ系列にて放送されたテレビドラマ『アンフェア』の劇場版第3弾にしてシリーズ完結編です。前作『アンフェア the answer』に引き続き、佐藤嗣麻子さんが脚本・監督を務めています。
篠原涼子さんは、雪平夏見 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
豊洲警察病院占拠テロ事件やネイルガン連続殺人事件を経て、国家の中枢で権力を濫用する組織に関するデータを手にした雪平夏見(篠原涼子さん)。彼女はそのデータを有効活用すべく協力者を探していたが、いまだ見つけられずにいた。
雪平が組織に反撃する機会をうかがう中、ある転落死事件が発生。雪平は、その死体現場で「アンフェアなのは誰か」というメッセージが記されたしおりを発見する。それはまさに10年前に起きた推理小説事件の遺留品と同じだ。しかもその死体はネイルガン連続殺人事件の黒幕ともいうべき検事・村上克明であることが判明。さらに別の現場で村上検事の父親で元検事総長である村上成明の死体も発見され、同様にしおりが残されていた。そして時を同じくして、消滅していたはずの“Xサイト”も復活。サイトには「雪平の復讐が始まった」とのメッセージが記されていた。
最高検察庁監察指導部の検察官・武部将臣(AKIRAさん)は、雪平を呼び出して、村上がある組織に所属していたことを明かし、その組織の不正を暴きたい旨を話し、協力を申し出る。
その矢先、4年前のネイルガン殺人事件で逮捕されて拘置所で首を吊って死亡したことになっていた一条道孝(佐藤浩市さん)が雪平の前に姿を現す。一条は村上親子殺しの犯人の目星が付いたら自分に知らせるよう要求。見返りは雪平の警護だと言う。当然ながら雪平は拒否するが、一条は気を付けるようアドバイスして立ち去る。
そんな中、村上殺しの犯行現場のマンションの防犯カメラに映っていた男が別件で逮捕される。その男はシステムエンジニアの津島直紀(永山絢斗さん)で、なぜか面識のないはずの雪平を呼ぶよう要求。相手が雪平であれば話すと言うのだった…。
2006年にテレビシリーズ『アンフェア』、同年にテレビスペシャル『コード・ブレーキング 暗号解読』、2007年に劇場版『アンフェア the movie』、2011年に劇場版『アンフェア the answer』、同年にスピンオフ第1作となるテレビスペシャル『ダブル・ミーニング 二重定義』、2013年にスピンオフ第2作のテレビスペシャル『ダブル・ミーニング Yes or No?』が放送されました。
そしてついにシリーズ完結編となる本作。24年前に雪平の父親を殺害した実行犯の正体、警察・検察・裁判所にまたがる闇組織との対立の行方が描かれていて、一応の決着がつけられていました。
実行犯の正体を知った雪平は、その相手に銃口を向けるもののためらいます。その時に雪平が言った「復讐に復讐を重ねても連鎖は終わらない。誰かが止めなきゃいけないの。でもあなたを殺せないのはそんなことじゃない」という言葉が印象的でした。
前作において闇組織側の人間であることが判明した一条と三上薫(加藤雅也さん)。そんな彼らの雪平に対する愛情と裏切りの狭間で揺れる姿、そして既視感はあったものの、最後に判明する裏切り者もまた雪平に対して同じような感情を抱いていたようで、その葛藤が描かれていてよかったです。
その裏切り者は「簡単に人を信じて騙されてしまう。それがあなたの弱さなんだ」と雪平に言っていましたが、本当は分かっていたのでしょう。それが雪平の“強さ”であり“優しさ”なのだと。一条も雪平に「何度人に裏切られても、おまえは人を信じてた。たとえ口では信じないと言っていても。悲しいくらいに優しいな」と言っていました。
シリーズファンとしては、雪平の娘・美央(向井地美音さん)、元上司・山路哲夫(寺島進さん)、捜査一課課長・小久保祐二(阿部サダヲさん)の出番が少なめだったのが残念でしたが、終盤で山路と小久保がペアで行動する場面は何だか嬉しかったです。
車中での津島と雪平のある会話にニヤリとしました。テレビドラマでの安藤一之(瑛太さん)と雪平の関係を彷彿とさせました。
これでシリーズが終わりだと思うと寂しい限りです。でも今月の15日にスピンオフ第3作となるテレビスペシャル『アンフェア the special ダブル・ミーニング~連鎖』が放送されます。スピンオフシリーズの主人公・望月陽(北乃きいさん)はもちろんのこと、山路、小久保、三上、そして雪平も登場するようです。あの人が生きているということは、時系列的には本作映画より前のエピソードということですね…。とにもかくにも楽しみです。