劇場版 MOZU (西島秀俊さん)

nishijimahidetoshi07

『劇場版 MOZU』は、逢坂剛さんの小説『百舌の叫ぶ夜』『幻の翼』を原作とするテレビドラマシリーズの劇場版です。
西島秀俊さんは倉木尚武 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
倉木尚武(西島秀俊さん)は、妻子の死の真相を追い続け、その果てに警察内部に存在する闇を暴いた。
それから半年後。東京都港区で謎の武装集団による高層ビル爆破・立てこもり事件が突如として発生。さらに時を同じくして、ペナム共和国大使館の車が襲撃を受ける。犯行グループが狙ったのは、大使館員の娘・エレナ(マーシュ彩さん)だった。偶然現場近くに居合わせた倉木が事件を収め、エレナを救出。そして、かつて倉木と同じ事件を追いかけた元刑事で、今は私立探偵となった大杉良太(香川照之さん)がエレナを保護することになった。
2つのテロ事件は、犯罪プランナーの高柳隆市(伊勢谷友介さん)と犯罪実行部隊のリーダー・権藤剛(松坂桃李さん)が率いるグループによる犯行だった。エレナを狙う権藤は、大杉の探偵事務所を襲撃。大杉とエレナは不在であったが、たまたま居合わせた大杉の娘・めぐみ(杉咲花さん)が拉致されてしまう。それから、大杉と同じくかつて倉木と同じ事件を追いかけた刑事・明星美希(真木よう子さん)も拉致される。倉木は、2人を返してほしければペナム共和国に来るよう高柳から命令される。
高柳と権藤たちは、戦後犯罪史に残る組織的犯罪や経済事件に関与していると噂される人物・ダルマ(ビートたけしさん)の指示のもと、ある犯罪計画を極秘裏に進行していたのだった…。
「他の奴に俺たち(=新谷和彦&宏美)の衝動が分かるはずはない」として、宏美の模倣犯を次々と殺していく新谷和彦(池松壮亮さん)。そんな和彦と権藤の対決シーンが凄かったです。
また、フィリピンで撮影されたペナム共和国での銃撃戦やカーチェイスシーンも、映画ならではの大掛かりなものになっていて見応えがありました。
大川が倉木に言った「自分の子どものためだったら、どんな危険な所だって行く。俺もだ」という言葉や、明星がめぐみを慰めるために言った「家族を見捨てるような親なんていないよ」という言葉が印象的でした。主演の西島さんも言っていましたが、MOZUシリーズは、アクションの凄さももちろん見どころの1つですが、家族や何かを守るために戦っている男たちの物語というのが根幹にあります。そういった意味で、今回ようやく倉木の娘の死の真相がはっきりしてよかったです。
本作で初登場の権藤や高柳、そしてダルマの悪役ぶりも凄かったのですが、やはりシリーズファンとしては、「チャオ」こと東和夫(長谷川博己さん)の狂気的な悪役ぶりにもしびれました。しかも本作では東の倉木に対するねじれた愛情表現がパワーアップ。さらに閉じ込めていた良心も見せてくれました。
突っ込みどころが多く、謎もすべてすっきり解けたという感じではありませんが、何より倉木の胸のつかえが下りたようなのでよかったです。倉木は妻と同じ痛みを知って背負うことで気持ちの整理がついたようです。私もいちいち人に導いてもらうのではなく、自分で行き先を決めて、なおかつ辿り着く場所を間違わないようにしたいものです。

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