- 2009年7月13日
武田鉄矢さんは、TBS系列にて先日の日曜夜7時から放送されたスペシャルドラマ『3年B組金八先生ファイナル~「最後の贈る言葉」4時間SP』に坂本金八 役で出演しました。
●導入部のあらすじと感想
桜中学校の教師・坂本金八(武田鉄矢さん)は、この春に定年退職を控えている。彼が受け持つ3年B組には、高校受験を控えてナーバスになる生徒がいる一方で、問題児である景浦裕也(岡本圭人さん)がいた。
景浦は都内の中学校をたらい回しにされた札付きの不良で、それを知った金八の強い希望で桜中学に転入してきたのだ。金八は景浦を3Bの一員として同級生と共に卒業させようとあれこれ手を焼くのだが、当の本人は暴力やカツアゲを行い、意に介さない。
そんなある日、3年B組の黒板に理科担当教師・香坂保(加藤虎ノ介さん)を中傷する落書きがされていて、香坂はその犯人が景浦であると決めつけた。それに反発した景浦は大暴れして教室を飛び出すのだった…。
1979年から32年間にわたって断続的に制作・放送された『3年B組金八先生』シリーズが4時間スペシャルをもってファイナルを迎えました。
定年退職を間近に控えている金八先生が体調不良を抱えながらも景浦の更生に奮闘する姿を中心に描かれていました。
シリーズの懐かしいシーンが随所に盛り込まれ、3Bの卒業生たちがさまざまな場面で登場しました。ラストの3Bの卒業生150人以上が集う金八先生の卒業式のシーンは圧巻でした。
今回印象的だったのは、新潟の建設会社の社長になった加藤優(直江喜一さん)に、金八先生が少年鑑別所に入った景浦の面倒を頼むシーンです。金八先生は、加藤に「本当に悪い奴は学校なんか行くかよ。なんでそいつは学校で暴れるんだ。先生におまえの居場所はここだって言ってもらいたいからじゃないのか。金八先生に見離された奴に生きる道はないよ」と逆に諭され、むせび泣きます。そして「何をやってるんだ!俺は!!」と奮起するのです。健康への不安からか歳のせいか、自分と生徒を信じ抜く力を失った金八先生と、金八先生が若い時に体を張って更生させて立派になった加藤。この2人の師弟関係をはじめ、金八先生と3Bの卒業生たちの師弟愛がなんとも言えず感動的でした。
「皆さん方の心の中に“悪”はあるんです。他人の悪を批判するというならば、自分の悪をしっかり見つめ認識しなさい。それが悪を批判するということです」という金八先生の言葉が印象的でした。いつからだったか、金八先生の言葉がやたらと説教臭く感じるようになっていたんですが、今回の言葉は心に響きました。脚本のせいかと思っていたんですが、受け止める側である私の心の問題だったのかもしれません。金八先生の贈る言葉は、いつだって愛にあふれていたのです。
金八先生の最後の贈る言葉は「一隅を照らす者になってください」とのことでした。街の片隅にいても自分のいる場所を赤々と照らす人はこの国の宝であると言うのです。それは、家庭や職場など自分自身が置かれたその場所で、精一杯努力して全力を尽くすことによって、社会全体が明るく照らされていくということのようです。続けて金八先生は「人を包んであげられる優しい人になってください」と言いました。自分を照らすのではなく、自分のいる場所を照らす、すなわち、自分の周りにいる人のために明かりを照らす。それが優しさなのでしょう。人が喜んでくれれば、自分も嬉しいですしね。
一番最後に荒川の土手を金八先生が歩いていく後ろ姿が映し出されました。それは思い残すことがなく颯爽と歩いているようでもあり、一線を退いていく様子を表しているようにも見えました。なんだか寂しい感じがしましたが、金八先生が「私のゴールをみなさんのスタートラインにしてください」と3Bの卒業生たちに言っていたように、これからは自分たちが金八先生のように先陣を切っていき、困っている人を正しい方向に導いていけるような人間に成長しなければならないのだと思いました。