ヒックとドラゴン2 (How to Train Your Dragon 2)

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映画『ヒックとドラゴン2』は、イギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェルの児童文学をアニメ化した映画『ヒックとドラゴン』の続編です。
監督は前作に続きディーン・デュボアです。本国アメリカでは2014年に公開されましたが、日本では一部の特別上映を除いて劇場未公開です。
先日、ブルーレイで鑑賞しました。
●導入部のあらすじと感想
バーク島に平和が戻ってから5年。島では人間とドラゴンが見事に共存していた。そんなある日、ドラゴンレースが賑やかに開催。ヒックはレースに参加せずに、ドラゴンのトゥースと一緒に空中散歩を楽しみながら、まだ地図には載っていない場所を探検していた。そこへドラゴンレースで優勝した婚約者アスティが合流。巨大な氷で覆われて荒らされた島を遠くに見つけて近づいてみると、何者かがドラゴンを捕らえようといきなり襲いかかってきた。それはドラゴン・ハンターのエレットたちだった。エレットは、ドラゴン軍団を率いるドラゴ・ブラッドビストにドラゴン献上のノルマを課せられているのだ。さらに自分たちのドラゴンを盗んで砦を壊したのはヒックたちの仕業であると勘違い。ヒックは無実を訴えるが攻撃されてしまい、急いでその場から立ち去る。
島に帰ったヒックは、父ストイックに事情を説明する。話を取り合おうとしないストイックだったが、ドラゴ・ブラッドビストの名を聞いた途端に目の色を変えて、島の防衛の準備を始める。ヒックはドラゴを捜し出して思いとどまるよう説得することを提案するが、ストイックは話してもどうにもならない奴もいるとして却下する。
それでもヒックは説得に向かおうと島を出て行ってしまい、アスティもその後を追う。ヒックはエレットを見つけ出して、自ら囚われの身となる。そうすることで、生けにえとしてドラゴのもとへ連れて行ってもらう魂胆だ。しかし、仲間のスノット、タフ&ラフや鍛冶の師匠ゲップ、そして父ストイックたちが引き止めに来て、その作戦は失敗に終わる。
それでもドラゴの説得を諦めないヒックは、トゥースと共に飛び出してしまう。そんな彼らの前に、たくさんのドラゴンを引き連れた謎のドラゴン乗りの女性が現れるのだった…。
今回ヒックは、父親から島の長を継ぐよう促されて悩みます。まだ自らのアイデンティティーを見出せず、自信が無かったのです。そんなヒックに対してアスティがアドバイスした「探している答えは外の世界には無いわよ、ここ(=心)にあるの。あるけど見えてないだけ」という言葉が印象的でした。
ドラゴンを意のままに操れるドラゴを相手に、父ストイックは「理屈もなく人を殺す奴に、理屈を説いたところで無駄だ」とさじを投げ、実は生きていた母ヴァルカも「人は変われないの、どうしたって。分かり合えない人間もいるのよ」と弱腰。ヒックは、それではドラゴンも人間も守りきれないとして立ち上がりました。アスティがアドバイスしていた通り、もうこの時点でヒックははっきりと“自分”を持っていたのです。それは目には見えないけれども確かにヒックの心に宿る“信念”“情熱”です。でもそれだけで世の中うまくいくとは限りません。前作ではヒックは左足を失いました。今回も、自らの身体ではありませんが、大きな代償を払うこととなります。そして「善良なドラゴンたちも、悪い人間に操られれば悪いことをする」ということを思い知ります。
最大のピンチを救ったのは、やはりヒックたちとドラゴンたちとの絆・信頼関係でした。人間もドラゴンも、リーダーに必要不可欠なのは、仲間を犠牲にするのではなく、守り抜く精神。ヒックもトゥースもそれを実践して仲間の信頼を勝ち取りました。
ドラゴもドラゴに操られていたドラゴンの王ワイルダービーストも、敗北はしましたが完全にやられたという感じではありませんでした。予定されている続編での再登場もあり得そうです。なにはともあれ、平和を叫ぶヒックたちがどのようにして世界を変えていくのか楽しみです。