- 2016年3月26日
映画『海街diary』は、吉田秋生さんの同名漫画を実写化した作品です。『そして父になる』などの是枝裕和監督がメガホンを取っています。
広瀬すずさんは、浅野すず 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
鎌倉で暮らす香田家の幸(綾瀬はるかさん)、佳乃(長澤まさみさん)、千佳(夏帆さん)三姉妹の元に、15年前に家を出て行った父親の訃報が届いた。父親は、不倫に走って家族を捨て、仙台に移り住んで不倫相手との間に娘・すずももうけていたが、その不倫相手が亡くなり、すずと共に山形に移って、連れ子のいる陽子(中村優子さん)という女性と再々婚していた。
幸の頼みで佳乃と千佳は、葬式に出るために山形へ赴く。そこで自分たちにとっては腹違いの妹にあたる浅野すず(広瀬すずさん)と出会う。中学生の割にしっかりしているすずに対し、亡父の妻・陽子は泣いてばかりで頼りない。そこへ夜勤を口実に欠席予定だった幸が、徹夜を押して葬式に駆けつける。
血の繋がりのある両親がいなくなって今後の生活が不安なはずのすずだが、気丈かつ毅然と振る舞おうとする。その姿を見た幸は、別れ際にすずに向かって鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。すずは快諾し、後日、鎌倉での四姉妹の生活が始まるのだった…。
父親が家を出て行った後、母・都(大竹しのぶさん)も幸たちを祖母に押し付けて、再婚相手となる男のところへ逃げるように去っていきました。今はその祖母も亡くなり、鎌倉の古い家には、家を切り盛りするしっかり者の長女・幸、酒好きで自由奔放な次女・佳乃、マイペースでいて姉たちの喧嘩を仲裁する緩和剤的存在の三女・千佳が暮らしていました。そんな三姉妹の生活に、すずが加わります。日常的に幸と佳乃の喧嘩がありながら、姉妹で食卓を囲み、それぞれの悩みや喜びを分かち合っていく過程がなんだか温かかったです。
そして祖母の七回忌に、音信不通だった母・都が現れたことで、一見穏やかだった四姉妹の日常がかき乱されます。でもそれもすずが本当の家族になるためのいわば試練でした。鎌倉の衣張山の頂上付近で、幸は下界に向かって大声で叫ぶようにすずを促し、やがてすずがそれまで封印してきた自分の母や父への思いを口にする場面が感動的でした。
四姉妹が自家製梅酒の元となる庭の梅の木を見る場面で「毛虫とったり消毒したり、生きているものはみんな手間がかかる」と、幸が祖母から教わったことをすずに説明するところも印象的でした。人間生きづらくて当たり前、でもそれを乗り越えた先に光があることを物語っているようです。
家族の在り方、自分の居場所を定めて生きていくことについても色々考えさせられました。