おくりびと (本木雅弘さん)

motoki
本木雅弘さんは、映画『おくりびと』に小林大悟 役で出演しています。
第81回アカデミー賞外国語映画賞、および第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作品ということで、先日、遅ればせながら劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
小林大悟(本木雅弘さん)は、プロのチェロ奏者として東京のオーケストラに所属していたが、ある日突然楽団が解散。大悟は自分レベルの奏者は掃いて捨てるほどいるとして夢を諦め、購入したばかりの1800万円もするチェロを売り払い、妻・美香(広末涼子さん)とともに田舎の山形県へ帰る。
早速、就職先を探していた大悟は、好条件の求人広告を見つける。「旅のお手伝い」という広告のキャッチフレーズを見て、旅行代理店だろうと思い、その会社・NKエージェントの面接へ行く大悟。社長・佐々木生栄(山崎努さん)に即採用されるが、会社の業務内容は、遺体を棺に納める、納棺だった。“旅”のお手伝いではなく、“旅立ち”のお手伝いだったのだ。社長の強引な勧誘や生活のこともあって、大悟はとりあえず就職を決めたものの、妻・美香には「冠婚葬祭関係」とだけ伝え、結婚式場の仕事だと勘違いした美香に本当のことを言えずにいた。
大悟は納棺師の見習いとして働き出すが、目の当たりにした死の現実に身も心も疲れ果ててしまう。しかし、次第にその仕事の奥深さに触れ、様々な境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事にやりがいや誇りを見いだし始める。
そんなある日、美香に仕事の内容がばれて、「そんな汚らわしい仕事は辞めてほしい」と懇願される。しかし、大悟はそれを受け入れることができず、美香は実家に帰ってしまう。同級生で役所勤めの山下(杉本哲太さん)も、大悟が納棺師になったことを知ると態度が一変し、交流を避けるようになるのだった…。

恥ずかしながら“納棺師”という職業があることを初めて知りました。納棺師は、死者を棺に納めるために必要な作業を全般的に行うそうです。
山崎努さん、本木雅弘さん演じる納棺師が行う、いわゆる納棺の儀式では、死者の肌をさらさないようにして、体を拭いたり着替えさせたりします。その所作一つ一つがスマートで美しく、印象深いものでした。
そして、亡くなった人の様々な境遇と家族をはじめとする見送る側の人たちの思いも印象的でした。ニューハーフになった息子から目をそらしていた父親がその死に顔を見て自分の子どもだと認めて送り出される青年、妻や娘たちのキスマークで送り出される大往生のおじいさん、孫娘に生前言っていた、ルーズソックスをはきたいという望みが叶えられて送り出されるおばあさんなど、親子、家族の愛や絆のようなものも感じられ、コミカルながらも温かい気持ちになりました。葬儀が死者にとって旅立ち=出発を意味するように、それを見送る人たちにとっても、感情に区切りのようなものをつけ、新たなる出発点になっているようです。そういう意味でも、火葬場職員・平田正吉(笹野高史さん)が、死ぬということは“門”を通るみたいなものだと言っていたのが印象的でした。
大悟が自らも辛い別れを経験して成長していく姿も感動的で、すがすがしかったです。その際に登場した石文(いしぶみ)のエピソードも良かったです。
大悟がチェロで織りなす音楽や物語の舞台となった山形県の景色も美しくて、物語の世界観をよりいっそう引き立てていました。
納棺師という職業を通して、死の尊厳、死生観といったことが表現されている深い作品だと思いました。

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