家族はつらいよ (妻夫木聡さん)

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映画『家族はつらいよ』は、『男はつらいよ』シリーズや『たそがれ清兵衛』などの山田洋次監督によるコメディードラマです。
妻夫木聡さんは平田庄太 役で出演しています。
先日、J:COMオンデマンドによる先行試写会で鑑賞しました。来週3月12日より全国公開されます。
●導入部のあらすじと感想
平田周造(橋爪功さん)は、妻・富子(吉行和子さん)、長男・幸之助(西村雅彦さん)とその嫁・史枝(夏川結衣さん)とその子ども2人、次男・庄太(妻夫木聡さん)と暮らす三世代同居だ。
サラリーマンだった時期を終えて今はすっかり隠居生活を送る周造は、仲間とゴルフを楽しんだ後、そのまま行きつけの居酒屋に寄って上機嫌で帰宅。妻・富子の誕生日であることをすっかり忘れていた周造だが、そのことを知って気ままに富子に誕生日プレゼントとして何か欲しいものはないかと尋ねてみる。すると、450円という答えが返ってきた。その理由を尋ねると、戸籍謄本を取るための金額だと答え、何と離婚届を突きつけてきた。
周造が思わぬ事態に呆然とする中、金井家に嫁いだ長女・成子(中嶋朋子さん)が夫・泰蔵(林家正蔵さん)と夫婦喧嘩して別れたいと泣きついてくる。成子は周造に冷たくあしらわれて激怒。その後、成子を追いかけて泰蔵が平田家にやって来た。周造は泰蔵と2人きりで外で話すことにし、一緒に行きつけの居酒屋へ行く。泰蔵のくだらない言い訳を聞いてイライラした周造は、思わず自分も離婚の危機にあるからそれどころではないのだとぶちまけるのだった…。
ギャンブル・ゴルフ・酒好きな周造は典型的な頑固親父。富子はそんな夫に対する積年の不満が限界を超えて離婚を決意したようです。
実家暮らしを続けている次男・庄太は、看護師の間宮憲子(蒼井優さん)と結婚前提に交際中。よりによって憲子を親に紹介する日と、周造たちの離婚問題に関する緊急家族会議の日が重なってしまいました。
本作は山田洋次監督の真骨頂ともいえる喜劇です。『東京家族』(2013年)で“家族”を演じた橋爪功さん、吉行和子さん、西村雅彦さん、夏川結衣さん、中嶋朋子さん、林家正蔵さん、妻夫木聡さん、蒼井優さんの8人の実力派俳優陣が再結集し、同作と同じ家族構成ながら、全く異なる別の家族の物語が面白おかしく描かれていました。
メインの平田家はもちろんのこと、居酒屋の女将・かよ(風吹ジュンさん)、コーヒー好きの警備員(笹野高史さん)、浮気調査に乗り出す探偵・沼田(小林稔侍さん)、テレビでよく見る落語家にそっくりな医師(笑福亭鶴瓶さん)、調子のいい鰻屋(徳永ゆうきさん)などもいい味を出していました。
お話としてはベタで展開も読めますが、お約束通りの面白さと、その中に家族の関わり合いの本質をのぞかせるペーソスも感じられてよかったです。
ピアノ調律師の庄太がショパンのピアノ曲を引き合いに出して、美しい音楽をつくるために不協和音が必要なように、人間関係にも時として不協和音が必要だと話していたのも印象的でした。