ヤメゴク 最終回 (勝地涼さん)

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勝地涼さんは、TBS系列の毎週木曜夜9時枠にて放送されていた連続ドラマ『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』に佐野直道 役で出演しました。
先週は最終回(第10話)が放送されました。
●あらすじと感想
2年前、永光麦秋(大島優子さん)は、自分は外から関東貴船組を追い詰めるので、中から追い詰める人間をつくって欲しいと人事課長・谷川永徳(山口馬木也さん)にお願いしていました。そこで谷川は、佐野直道(勝地涼さん)に白羽の矢を立てました。証券会社のトレーダーから捜査二課の財務捜査官になった彼が適任だと考えたのです。佐野は生きている実感としてハラハラドキドキの刺激を求めて刑事を希望。そこで谷川は、貴船組壊滅の計画が成功したら捜査二課の刑事に推薦すると約束しました。表向きは時間の自由がきく暴追センターに出向し、裏では水千組の客分として違法な潜入捜査をしていたのです。そして今回、ついに大きなチャンスが訪れました。水千組の組長である水田千一(金すんらさん)が橘勲(遠藤憲一さん)の回復祝いを兼ねた上納金のため、莫大な儲けを得るように依頼してきたのです。水田は橘の許可を得て貴船組本部の金も持ち出して、佐野の指示通りに43億円の資金を調達します。佐野は特別な取引と称して全額をつぎ込み、大損害を出しました。貴船組と水千組はかなりの負債を抱えて破綻する運びとなったのです。
医師の有留章子(山口紗弥加さん)による橘の手術は無事成功し、橘と水田たちは逮捕されることになりました。橘は貴船組顧問兼系列赤城会会長の石川道三(石橋蓮司さん)に二次団体を任せ、貴船組と水千組の組員への危害を抑えてもらうのと引き換えに、その2つの組を解散する約束をしました。
貴船組と水千組の組員から命を狙われる立場となった佐野は、章子の勧めで身の安全を確保するために警視庁に戻りました。佐野は谷川に刑事推薦の約束の話をしますが、谷川は、違法捜査を楽しむ人は刑事に向かないとして約束を反故にしようとします。すると佐野は、「違法捜査を課長にさせられたことを公表したら、課長はどうなりますかね?」と谷川を脅しました。その後の処遇は本作では描かれませんでした。
橘と水田は麦秋により公務執行妨害で逮捕されました。その連行中、組長である水田をダメにしたとして橘を恨む鷲頭健介(戸次重幸さん)が短刀を振り上げて橘を襲撃しますが、それを水田が庇って刺されて亡くなってしまいました。橘と水田の親子の絆を目の当たりにした麦秋は、橘を心配して駆けつけた母・由美子(名取裕子さん)と和解しました。
翌日、拘置中の橘は、仮出所した息子・麦蒔(渡部豪太さん)と面会します。本来であれば暴力団員としては認められない仮釈放を得るために離脱承諾書を提出し、一般人と養子縁組した麦蒔。彼がそんなことをしてまで1日も早く出所しようとしたのは、静岡刑務所で出会った土木会社の社長であり、実は養子縁組をした義理の父親であるその人が、一足先に出所した後に倒れたからでした。麦蒔は橘のおかげで義理の父親の最期を看取ることができたと感謝を述べ、橘や貴船組の人間の受け皿に自分がなってもいいかと尋ねました。麦蒔の養子先の土木会社が、カタギになるなら雇ってもいいと言ってくれているのです。しかし橘は、極道を続けたい人がいるならその人たちを見捨てるわけにはいかないとしてその話を保留にしました。
そこで麦秋たちは、解散した組員らの受け入れ先を手配します。赤城会が引き受ける310名以外の362名から離脱承諾書を取ることができました。そのうち341名は麦蒔の土木会社に引き受けてもらうことになり、残り21名は橘についていくことを希望する人たちでした。警察を出たら自分が引き受けると言う橘は、ヤクザ以外道はないと告げます。しかし麦秋は、カタギになるのが条件で、自分たちに縁のある麦踏神社で的屋として再生する道を示しました。橘はカタギになる道を選びました。
1カ月後、麦踏神社では橘率いるカタギの的屋たちが屋台を並べて、人々が祭りを楽しんでいました。その中には見知らぬ子どもたちに絡まれている三ヶ島翔(北村一輝さん)と、喪服ではなくグレーのパンツスーツを着た麦秋の姿もあります。足抜けしても当分は暴力団の周辺者として扱われて前途多難の橘ですが、大丈夫かと三ヶ島に問われると「苦しんで苦しんでカタギにはい上がる、そう教えてくれた子がいますから(大丈夫です)」と、麦秋を見ながら清々しい表情で答えました。そんな橘に大丈夫かと訊かれた麦秋は「麦は踏まれて踏まれて強くなる、私にそう教えてくれた親がいますから」と答えました。そんな中、麦秋の携帯に室長・石山博文(田中哲司さん)から足抜けコールが入ったという知らせが来ました。橘に見送られ、麦秋が三ヶ島と共に笑顔で仕事に向かって行ったところで物語は幕を閉じました。
「もう誰も傷つけないために、ヤクザを憎み続け、取り締まりを続けます」と言っていた麦秋ですが、ラストでは「ヤクザを抜ける人とヤクザにかかわった人を助けるために(足抜けコールを続けています)」と橘に話していました。三ヶ島の言う通り、麦秋も橘も「踏まれて踏まれて、あとは実るだけの人生」となるのでしょうか。苦難にあっても、強くなっていけばその先に希望があると信じたいものです。
堤幸彦作品ファンとしては、会話に“元未詳”や“弐係”が出てきてニヤリとしました。