アーロと少年 (The Good Dinosaur)

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映画『アーロと少年』(The Good Dinosaur)は、ディズニー/ピクサーによる3Dアニメーションです。
昨日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
6500万年前、地球に隕石がぶつからず、恐竜たちは絶滅することなく進化した。
それから数百万年後、畑を耕して暮らすアパトサウルスのヘンリーとイダの間に3人の子どもが誕生する。やがて成長した子どもたちにはそれぞれ仕事の役割が与えられるが、一番末っ子のアーロだけは、甘えん坊で臆病な性格のせいもあってか何をしても失敗ばかり。やるべき仕事をやり遂げたらサイロの壁に足跡を残すのが“一人前”の証なのだが、アーロだけそれを達成できずにいた。鳥の餌やりもうまくできないアーロを見かねた父ヘンリーは、新しい手伝いを頼む。それは、サイロに貯蔵している農作物を盗み食いする動物を、罠を仕掛けることによって捕まえて退治する仕事だった。罠で捕獲されたのは人間の少年だった。しかし、アーロは怖がって逃がしてしまう。それを知ったヘンリーは、仕事をやり遂げることの大切さを教えるために、アーロを連れて人間の足跡を追う。アーロが転んでケガをしたこともあってヘンリーは引き上げようとしたが、突然の嵐に見舞われる。洪水が押し寄せてきて、ヘンリーはアーロを安全な場所に逃がしたところで濁流に飲み込まれてしまう。
後日、アーロは、再びサイロに忍び込んで農作物を盗み食いする人間の少年を発見する。父親を失ったのはその少年のせいであると怒って追いかけるが、誤って川に落ちて流されてしまう。アーロが目を覚ますと見知らぬ土地にいた。そこでアーロは再び人間の少年と出会うのだった…。

本作では、地球が隕石の衝突を逃れ、恐竜たちが絶滅することなく進化したといういわばパラレルワールドが舞台です。恐竜が文明を持って言葉を話し、人間は言葉を話す文明を持たないため、感情表現は表情やしぐさ、遠吠えとなります。恐竜のアーロが人間の少年に「スポット」と名付ける展開となっていて、アーロとスポットがあたかも少年と犬のような関係となっていました。
恐竜なのに怖がりで外の世界にいつもビクビクしているアーロ、恐いもの知らずで自分より大きな相手にも果敢に飛びかかっていくスポット。そんな大きさも性格も正反対で言葉も通じない2人が、お互いに助け合いながら影響を与え合って絆を育んでいく姿が感動的でした。そしてアーロとスポットが様々な困難に立ち向かう冒険の中には、家族への想いや内に秘めた葛藤も描かれていて、物語に奥行きを与えていました。
2人の冒険を盛り立てるキャラクターたちもいい味を出していました。スポットのことを執拗に狙う、陰険で嫌味な性格のサンダークラップをはじめとするプテロダクティルスたちは、2人に試練を与えてくれます。旅の途中で出会ったT・レックス一家とは仲良くなり、いい影響を受けました。特に一家の父親ブッチが、怖さを感じない奴は生き残れないとして、逃げも隠れもせず怖さを受け入れ、自分を信じることが大切だとアーロに教えるところが印象的でした。
もちろん、ピクサーならではの圧倒的な映像美も見どころの1つです。大自然が実に精密でリアルに表現されていました。それでいてデフォルメされたキャラクターとのバランスも絶妙で、違和感を覚えることなくその世界観に没入できました。アーロが怖がっていると自然が恐ろしく危険に表現されたり、アーロ自身が強く成長すると自然が美しく穏やかなものとして表現されたりと、風景自体も一種のキャラクターのように変化して物語を盛り立てていました。個人的に特に印象に残ったのは、アーロとスポットの2人が親友になって鳥の群れを追いかけて走っていくシーン、夜の草原でホタルが幻想的な光を放ちながら飛ぶシーンなどです。木々をなぎ倒す濁流のシーン、シビアな弱肉強食の世界を示すシーン、2人が誤って幻覚症状を起こす木の実を食べてしまって酩酊状態になるシーンなども衝撃的でした。
そしてヘンリーが、息子アーロに対して諭すように言っていた「怖さを乗り越えることで、初めて見ることのできる世界がある」という言葉は、大人になった自分にも当てはまることだと改めて思いました。