スター・トレック BEYOND (クリス・パイン)

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映画『スター・トレック BEYOND』(Star Trek Beyond)は、2013年に公開された映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の続編です。
クリス・パインは引き続きジェームズ・T・カーク役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
船長のジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)は、ティナクシ星人とフェノピアン星人の停戦協定締結のために媒介役となる。フェノピアン星人から“平和の象徴”として預かった古代遺物「アブロナス」を渡そうとするが、ティナクシ星人から武器とみなされてしまう。怒ったティナクシ星人が一斉に襲いかかってきて、カークは急いでモンゴメリー・スコット(サイモン・ペッグ)に指示を出して自身をU.S.S.エンタープライズに転送してもらって逃げ帰る。
そんな中、U.S.S.エンタープライズは物資補給のために宇宙補給基地ヨークタウンに寄港する。それから惑星連邦から次なる任務が与えられる。それは、星雲探査中に未知のアルタミッド星系で遭難した探査船のクルーの救助に向かうことだ。ところが任務の最中、U.S.S.エンタープライズは、クラール(イドリス・エルバ)率いる謎の敵の大群によって襲撃される。圧倒的な攻撃を受けてシステムが不能になり、なす術もなくなったカークは、ある重大な決断をする。それは艦を放棄して脱出することだ。
U.S.S.エンタープライズはアルタミッド星に墜落し、脱出したクルーも散り散りになり、次々とクラールたちに捕らえられる。ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)とヒカル・スールー(ジョン・チョー)も捕まるが、密かに敵地を探索する。一方、負傷したスポック(ザカリー・クイント)はボーンズことレナード・マッコイ(カール・アーバン)と、カークはパヴェル・チェコフ(アントン・イェルチン)とそれぞれ行動を共にして敵の追っ手から身を隠す。スコットは敵に見つかって襲われるが、異星人のジェイラー(ソフィア・ブテラ)に助けられるのだった…。
本作はJ・J・エイブラムスがシリーズを再構築した、いわゆる“ケルヴィン・タイムライン”作品群の第3作です。ちなみにケルヴィン・タイムラインとは、U.S.S.ケルヴィンの破壊に端を発した新たなタイムラインの世界を舞台にしていることからそう呼ばれるようになったそうです。
今回、クルーはいくつかに分断され、互いに連絡が取れずに窮地に追い込まれます。そんなクルーの別行動、意外な組み合わせが新鮮で、登場人物たちの新たな魅力も引き出されていてよかったです。例えば、感情豊かで興奮しやすい性格のボーンズと冷静で論理至上主義なスポックの、対照的とも言える組み合わせが面白かったです。互いに文句を言い合いながらも、共通の目的のために協力し合うシーンがあって、信頼関係が感じられてよかったです。またボーンズは、船長として苦悩するカークを慰めるシーンもあって、自称「ミスター気配り」も伊達じゃないと思いました。
カークは、長旅の徒労感もあって、U.S.S.エンタープライズを降りて副提督へと進み、スポックを船長にするよう惑星連邦に進言していました。一方、スポックもヴァルカン人の種族維持のためにウフーラと別れ、スポック大使(レナード・ニモイ)の死を知って、ヴァルカン族再興という大使の仕事を引き継ぐためにU.S.S.エンタープライズを降りようと考えていました。そんな2人が船を降りるのを思いとどまる経緯が描かれていてよかったです。そしてカークがスポックに対して言った「おまえがいないとダメだ」というセリフが印象的でした。
カークはクラールの「仲間との絆は強さじゃない、弱みだ」という考え方を真っ向から否定して仲間と共に戦います。スリル、笑い、感動など様々な要素があるのもよかったですし、シリーズ全体にも通じる作品の核ともいえる“仲間との固い絆”が描かれていてよかったです。
エンドロールでは、2015年に亡くなってしまったレナード・ニモイと、映画公開を目前に控え不慮の事故で亡くなってしまったアントン・イェルチンに対する追悼文が表示されました。
前2作で監督を務めたJ・J・エイブラムスは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で多忙なため本作では製作に回り、『ワイルド・スピード』シリーズなどのジャスティン・リンがメガホンを取りました。J・J・エイブラムスは第4作を製作する予定があることを認め、今のところカークの父親であるジョージ・カーク(クリス・ヘムズワース)を再登場させるつもりだと明かしたそうです。気の早い話ですが今から待ち遠しいです。